谷間世代のマネジメント

日本が良かった時代を知っているかどうか

日本が相対的に貧しくなってきて久しい。

ただこの認識には世代間格差がある。

そしてその認識の違いによって、マネジメントの考え方も変わってくる。

僕はそんな風に考えている。

もう少し分かりやすく書くと、日本が良かった時代を知っているか(体感しているか)どうかによって、仕事や将来に対する考え方が異なるので、マネジメントのやり方も変わってくる、ということになる(余計分かりづらくなったかもしれない)。

要は、会社には日本が良かった時代を知っている「旧世代」それを知らない「新世代」がいて、マネージャー層には「旧世代」の割合が、メンバー層には「新世代」の割合が高い、というのが大体の組織の内訳であると思う。

そして残念ながら、「旧世代」のやり方は「新世代」には響かない。

今日はそんな話をしていく。

僕は旧世代の教育で育った。けれど…

僕自身は日本が良かった時代を知らない世代に属する。

ただ、会社に入った頃には、その残滓みたいなものがあって、というか、良い時代を味わった人達がたくさんいて、何となくの雰囲気(残り香)みたいなものは感じることができた。

そういう人達からの教育が僕の仕事のある種「原体験」となっていて、昭和的な仕事のやり方というものに対して、僕自身はどちらかというと「ポジティブ」なスタンスを取っている。

ただ、時代は変わり、その仕事のやり方が必ずしも「ポジティブ」なものにならないというのが現代である。

現代はもっと本質的なもの、精神面よりも実態面(効率面)を重視する時代である。

そして「なぜそれをやらなければならないのか?」という「意味」が求められる時代である。

そういう意味では、僕は「新世代」の考え方にシンパシーを感じる

あの頃に戻りたいとは思わない

僕は「旧世代」のOJTによって育ったけれど、そこには昭和暴力的な雰囲気はあったし、根性至上主義みたいなものに対して嫌悪感を覚えていたことも事実である。

「意味のないこと」を一生懸命やる、「一生懸命やること自体に意味がある」という考え方がイマイチしっくり来ていなかったし、それによって、たくさんの人から嫌われたり、叱責されたりしてきた。

郷愁は感じるけれど、あの頃には戻りたくないとも思う。

無駄のスパイラル現象

それが今回のタイトルである「谷間世代」という言葉に繋がってくる。

僕は「旧世代」の言うこともわかるし、「新世代」の言うこともわかる。

そしてどちらの長所も短所もわかる。

ただ、残念ながら会社という組織においては、まだまだ「旧世代」がパワー(権力)を持っていて、「新世代」は疑問を持ちながらもそれに従わざるを得ない、というのが実情である。

ただ(繰り返しになるが)、「旧世代」のやり方は現代に全くハマっていない。

だから努力をしても、徒労に終わることが多い。

でも「旧世代」はそれを「努力が足りないからだ!」と捉えてしまうので、この絶望的な「無駄スパイラル」が続けられていく。

心ある人は会社から去り、そうでない人が会社に残る。

そりゃ組織が良化する訳ないよな。

建設的な議論と具体的な方策の提示を

以前にも書いたことであるけれど、僕は日本的マネジメントは限界が来ていると思っている。

というか、そもそも日本にはマネジメントという文化がないと思っている。

そのようなマネジメント不在の状況においては、本格的にマネジメントというものを考えて、マネジメントによって組織を良い方向に進めていく、ということを真剣に考えなければならないようになってきているのだと僕は考えている。

「旧世代」のやり方は捨てる。

「新世代」のやり方を取り入れる。

根性とか精神主義では相対的貧困になっていくだけだ。

本質を見なければ事態が好転することはないのだ。

余計な忖度は不要。

本音ベースの建設的な議論と具体的な方策の提示。

それが「新世代」のマネジメントだ。

部下のケツを叩くことをマネジメントとは呼ばない

僕もマネージャーになって数年が過ぎた。

以前に比べると、僕の発言力というものも(多少は)増してきている(はずだ)。

ただ、僕の考え方や手法というのはまだまだ少数派である。

根性と精神主義と恐怖政治で部下のケツを叩く、それこそがマネジメントである、そう考えている人がマネージャーの大半(たぶん9割以上)だ。

だからこそ僕は僕のやり方で結果を出さなければ(出し続けなければ)ならないのだ。

パワハラ型マネジメントに終焉を

短期的にはパワハラ型マネジメントは効果的である。

それは間違いなく即効性がある。

ただ、それはカンフル剤みたいなもの、麻薬みたいなものであって、長期的に続けると確実に組織やチームを蝕むのだ。

マネージャーはそこからいなくなれば自分には関係なくなるかもしれないけれど、チームはそこに残るし、そこで働いているメンバーはパワハラ時代のツケを払わなければならない。

そしてそのデメリットがその当時のマネージャーの責になることはない。

次代に負債として押し付けられるだけだ。

この負の連鎖を断ち切らなければならない。

パワハラ型マネジメントに適合する社員だけが優秀である、という概念を打ち破らなければならない(こうやって書いていると部活時代と何も変わっていないのだ)。

僕はここで孤軍奮闘を続ける。

仲間になってくれたらこれ以上嬉しいことはない。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

無策逆ギレ。

マネジメントができない人の典型的な行動様式です。

昔はそれでもどうにかなったのでしょう。

でもそれはもう通用しません。

どうやって部下を「腹落ち」させるか、その方策を具体的に示せるか、そこがマネージャーの腕の見せ所です。

異なる角度からの物事の見方、違う切り口の提示を繰り返し行いながら、建設的な議論を行っていきましょう。