感情をコントロールする方法

自分を客観視する

マネージャーは感情をコントロールする必要がある。

流石に現在ではちょっとやそっとのことでは腹が立たなくなったけれど、駆け出しの頃にはこれがなかなか難しかった。

年齢のせいもあるだろう。

若くしてマネージャーになった僕は、部下の行動に対して腹を立ててばかりだった。

もちろん自分の中に収めようと努めてはいたけれど、どうしても外へ出てしまうことがあって、その度に大きな後悔をしたものである。

アンガーマネジメントと言えるほどではないけれど、僕なりの対処法を今回は書いてみようと思う。

結論から言うと、自分を客観視する、ということになる。

第三者視点を持つ、と言い換えてもいい。

それでは始めていこう。

怒りは体重が乗るから生じる

怒り(悲しみなど他の感情でも構わない)というのは、「体重が乗る」から生じるものだと僕は思っている。

その事象(対象)に対する思い入れがあるから、そしてそれが叶えられないから、怒りというものが生じる。

「なんでこんなこともできないのか」という怒りは、必ずしもネガティブな意味だけではなく、「できて欲しい」という願いも含まれているから厄介なのだと思う。

そもそも何の思い入れもない相手であれば、怒りすら湧かないだろう(呆れは生じるかもしれないが)。

この呆れた状態というのは、先ほどの例えと繋げると、「体重が乗っていない」状態だと言える。

前傾姿勢ではなく、直立のようなイメージである。

これを他の事象においても意識することが、怒り(感情)をコントロールすることに繋がるのである。

自らにツッコミを入れる

怒り自体が湧いてしまうのは避けられないことである。

それは感情であり、ある種本能的にそのようになってしまうわけである。

でも、それを客観視することはできる。

怒っている自分を「ああ、今怒ってんなあ」と見下ろすことはできるのだ。

そしてその怒っている自分を茶化すのが大事である。

「何そんなにマジになってんの? 相手に気持ちが通じるなんて大間違いだし、そんなのお前の独りよがりだし、っていうか、そもそも他人だし」

みたいな感じで、自分にツッコミを入れていく。

俯瞰するというスキル

これは営業においても同様である。

自分と顧客という2者ではなく、自分と顧客と俯瞰から見ている自分という3者に持っていくと、自分の話していることに客観性が生じるようになる。

これは先ほど書いた「体重を乗せない」ことに繋がってくる。

営業マンというのは、どうしてもプッシュ型セールス(売り込み型セールス)になってしまいがちで、それに相手が引いているのに、自分では気づけないことがよくあるものである。

もちろん、慣れないうちはマネージャーが横につくなりして、「かかっている」ということを教えるべきであるが、ある一定程度経ったら、自分1人だけでこれをできるようにならなければならない。

その場の空気感がどのようなものなのか、を冷静な第三者(俯瞰している自分)が判断し、その中で適切な言葉を選んでいくのだ。

対立構造ではなく疑似的なトライアングルに

またアンガーマネジメントに話は戻るけれど、2者だとどうしても対立構造になりがちで、3者にすると「角度がつく」ので、話はもう少しマイルドにできるのだ。

もちろん実際の三者面談というのは込み入った話の時には不可能であるので、それを疑似的に自分を分身させて(二者面談を三者面談のように)行うのである。

これに慣れてくると、そもそもあまり腹が立たなくなる。

それはそれでどうかとは思うけれど、部下との間に一定の距離を置くことができるようになり、「体重をかけなくても」指導ができるようになるのだ。

あなたも部下だった時に、感情的な上司は嫌であっただろう?

それと同様に、部下だって感情的な上司は嫌なのである。

円滑になるとは限らないけれど、楽にはなる

第三者視点を持つことができるようになると、部下との関係性だけでなく、上司との関係性においても客観視できるようになるので、人間関係がとても楽になる

円滑になるわけではない。

楽になるのだ。

僕から見ると、多くの人は相手との距離を詰め過ぎである。

だから面倒なことになるし、傷ついたり、嫌な気持ちになったりする。

仲良くなる必要などないのでは?

職場における人間関係など、ドライな関係で十分である。

いや、きっと学校におけるクラスメイトだって、そのくらいの関係性で十分なのだ。

僕たちは必要以上に他人を意識するあまり、怒りや嫉妬や恨みなどのネガティブな感情に支配されてしまう。

そんなものテキトーでいいのだ。

もっと大事な人と距離を詰めればいい。

万人と仲良くすることはできない。

ましてや職場には色々な人がいる。

その人達と上手くやることは大事なことではあるけれど、必ずしも必要なことではない。

成果を出せばいいのだ。

それが何よりも有効な解決策である。

暇な時間をなくすこと

自分を俯瞰から見て、成果を出すことに集中する。

他人の動向はその後の話である。

感情に左右されていては成果を出すことも難しくなってしまう。

大抵の問題は他人に構いすぎること、そしてその構いすぎる時間があること(暇であること)から生じるのだ。

それよりも成果を。

何よりも成果を。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

「怒れる」ということは必ずしも悪いことではありません。

そこには思いがあるからです。

ただ、その思いが他者に向かう際にどのような形状を帯びるのか(本当に相手のことを思っているのか、ただ自分がスッキリしたいだけなのかなど)、は人によって異なりますし、それが相手にきちんと伝わるとも限りません

そして現代においては、そのリスクはとても高いものでもあります。

そういう意味では、感情をコントロールできるようになってから、上手に感情的になればいい(感情を使い分ければいい)のだと僕は思っています。

あまり期待せず、ほどほどにやっていきましょう。