センサーの感度

生データを生のまま拾えるかどうかが重要

あなたのセンサーの感度は適切な状態だろうか?

今日はそんな書き出しで文章を始めてみる。

マネージャーをやっていて重要だと思うのはセンサーの感度、つまり自分の言動や行動に対する反響をありのまま感知できるか、である。

ざわめきや広がり、波立つ感じ、その辺をできるだけ細やかに拾い上げること。

この感度が鈍っていたり、逆に強すぎたりすると、判断にブレが生じてしまう。

生データはできるだけ生の状態であることが重要で、そこにバイアスが入っていると生データが生データである必要性が損なわれてしまう。

だから日々のメンテナンスをきちんと行っておく。

日々のメンテナンスとは、メンバーからの声に耳を傾けることである。

それでは詳しく書いていこう。

判断は後

まず前提として、これは「迎合する」とか「阿る」とか、そういう話ではない。

あくまでもデータをデータの形で拾うことが重要なのである。

判断はその後行えばよい。

耳触りの良い意見、耳障りな意見、データは様々であるけれど、それをできるだけ鮮度が高い状態で入手する。

こうあって欲しいというような願望や、きっとこういうことだろうという解釈は不要だ。

純粋な声のみを採取する。

そこから必要だと思えば変えれば良いし、そうでない(現状のやり方で良い)と思えばそのまま続ければ良い。

要は、分かった上でどうするかはその後の話である、ということだ。

意見をよく聞きなさい、ということではあるけれど、それは判断を変えなさい、ということと同義ではないことをまずはご理解いただきたい。

データと感覚を照らし合わせる

そしてそのデータを分析するのが次の段階である。

主観と客観の差異客観の中での差異、それぞれをできるだけバイアスを排した状態でデータマップを作成する。

「点毎の距離」みたいなものを測るイメージである。

そして大体の「穏当な意見」「中心点」みたいなものを見つける。

そこと自分の感覚を照らし合わせる。

何らかの言動や行動に対して起こるであろう反応(予想していた反応)と実際に起きた反応を比べて、合っていればセンサーの感度は良好であり、そうでなければ調整する必要がある、ということを認識する。

これを適切な頻度で行う。

これが今日の話の趣旨である。

外れ値ばかりだとえらいことになる

センサーの感度が合っていないと、チームの運営を行っていてもしっくりこないことが増えていく。

そしてそれを自分のせいではなく、「誰か」のせいにしたくなってしまう。

これはあまり好ましいことではない。

いつも書いていることではあるけれど、マネジメントというのは言葉を介して行うものである。

言葉を介してメンバーの行動を(自分が良いと思う方向に)変え、チームの力を高めていくことがマネジメントである。

その際に、自分が想定している反応と違う反応が起きると、それも続いてしまうと、どんどんイメージとズレていってしまうのだ。

もちろんある程度の誤差みたいなものはある。

ただその誤差がレンジ内で収まるのでなく、「外れ値」のようになっているのであれば要注意である。

1回、2回ならまだしも、ずっと「外れ値」ばかりになっているのであれば、それは機械の側(マネージャー)が故障している可能性がある。

それを修正していくこと。

その為にはメンバーから率直な意見を貰えるような関係性を築いておく必要がある。

思いのほか自分では自分の間違いに気づけないものである

マネージャーも全能ではない(当たり前だ)。

間違った判断や言動をすることだってある。

そういう時に自分で気づければ問題が大きくなることは少ない。

軌道修正を行うことができるからだ。

それが(今回の話でもある)センサーの微調整である。

ただ自分で気付けない時もある。

もしくは気付いていても、自分では大したことがないと思っているけれど、実は想定以上にズレていることだってある。

そんな時にはメンバーから「ズレてますよ」と言って貰えるようにしておく必要があるのだ。

言ってと言っても言ってくることはない

繰り返しになるけれど、言って貰ったからといって、それを鵜呑みにする必要はない。

ここでも生データとして採取するだけである。

判断はその後の話だ。

ただ、その生データが入ってこないようでは困るのである。

「王様」になってしまって、誰も進言できないような状況だけは避けなければならない。

もっと言うと、「問題があるなら何か言って」とこちらから問いかけることなく、自然とその問題に対する指摘が出るような関係性を築いておくのが理想である。

誰だって上司には直言しづらいからである。

そして言葉と行動(表情)はまた別物であったりするからである。

イエスマンばかりの組織は健全ではない

日本組織において、部下が上司に対して「間違っている」と言うような状況は滅多に起きないし、それが起きているのはかなり末期的(危機的)な状況であるはずである。

そこまでセンサーがぶっ壊れている状態を放置しているのは論外として、冗談めいたものも含めて、マネージャーに率直にモノを言えるような環境を作っておくことが大事なのである。

ここには「多様性」という概念もある。

イエスマンだけを置かない、ということも関係している。

それらについてはまた別の機会に書こうと思う。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

僕は部下から「占い師みたいだ」と言われることがあります。

それはたぶん僕が相手の言葉でなく、表情から心情を探ることに長けているからだと思います。

僕はHSPであると自己診断していますし、それが子供の頃から嫌でたまらなかったのですが(今でも嫌であることは変わらないのですが)、マネージャー(と営業)という仕事にはとても役に立っていると思います。

僕は相手がどのように考えているのか、どういう思考を辿るのか、を人よりも敏感かつちょっと早く感じ取れるようです。

それを言い当てる行為が、部下にとっては「占い師」のように映るのでしょう。

欠点とは長所にもなり得ます。

何事もポジティブに捉えていきましょう。