部下を自発的にする方法

UnsplashJohnson Wangが撮影した写真

自発的であるマネージャーも殆どいない

「部下が受け身で困っている…」

そんな相談を死ぬほど聞いてきた。

その度に思うのは、「無意識的にあなたはその状態を望んでいるのだろうし、そう言うあなた自身も自発的ではないのだろうなあ…」ということである。

前者についてはこのブログ内でも何度か書いてきたことなので、今回は割愛する(簡単に言うと、部下が受動的である方が御しやすく、マネジメントの難易度は下がる、だからそのような状態を無意識的に望んでいるマネージャーは多い、ということだ)。

今回のテーマは後者である。

「部下に自発性を求めるマネージャーはたくさんいるが、自身が自発的であるマネージャーは殆どいない」

これが僕の体感であり、1つの理論のようなものだ。

そして、「もしあなたが本気で部下を自発的にしたいと思うのであれば、あなた自身が率先してその自発性を発揮する必要がある」ということも付け加えておく。

何だか書きたいことは全て書いてしまったような気がするけれど、取り敢えず始めていこう。

「意見の表明=批判」となる社会

「部下から意見やアイディアが出ない」

これはどの職場においても普遍的に見られる現象のようだ。

そして、それを変えるのは結構難しいとも思っている。

というのは、日本という国においては、上司(や年長者)にモノを申すというのは「批判」や「反抗」を自動的に意味するようで、そのような体験は社会人になる前からずっと体に染みついているからである。

学生時代から、もっと言えば幼少期から、僕たちは「和を以て貴しとなす」ことを叩きこまれる。

集団に馴染むこと、周囲と円滑にやっていくこと、それが日本における学生時代をハッピーにする(もしくはバッドにしない)秘訣である。

また、その中で「目立つこと」は嫌悪や嘲笑の対象にすらなる。

授業中に手を挙げて発表するなどの「意見の表明」は、どちらかというとネガティブなことと捉えられる。

そのような二十数年を経て、社会人になるのである。

そりゃ自発的な部下なんていないわな。

あなたは上司に意見を表明していますか?

そして、これはあなた自身にも当てはまる。

あなたもきっとそのような学生生活を送ってきたはずだ。

自分の意見を表明する、それも年長者に対して(特に反対意見を)表明する、なんていう経験は殆どしてこなかったはずである。

そんなあなたは、現在の職場においても、部下と同じように、自分の上司に対して自発的に意見を表明するなんてことはしていないはずである。

そんなあなたの姿を見て、部下も自身の振る舞い方を決めているとしたら?

それが連鎖しているとしたら?

あなたの職場に自発的な部下が誕生する確率は物凄く低いだろう。

まずあなたが意見を表明すべき

この流れを変える為にはどうしたらいいのか?

簡単なことだ。

まずはあなた自身が率先して自分の意見を表明すべきである。

それも上司(や年長者)に対して、もっと言えば、その意見と異なる場合であっても表明すべきである。

ここで大事なのは、「自分の意見の表明=批判」と受け取られ、ネガティブな反応が起こり、周囲の人間が「やっぱり意見の表明をしてはいけないのだ…」と感じることがないようにコトを進めることである。

これは簡単なようであるが、結構難しい話である。

もちろん、勤めている企業の社風や規模によっても変わってはくるだろう。

ただ、もしあなたの上司がそれなりの年齢の人であるなら、対応方法についてはよくよく考える必要がある。

ここで間違えると、更に部下が委縮することになってしまうからだ。

対案を添える

では、具体的にどのように行ったらいいだろうか?

色々なことを書いたけれど、僕の場合はストレートに言ってしまうことが多い。

もちろん、節度や言い方については細心の注意を払う。

別にケンカしたい訳ではないのだから。

そして、意識すべき点として、意見を表明するだけでなく、そこに対案というか、具体的な手法を添えて話をすることがあると僕は思っている。

「批判だけして何もしない人」と一線を画す

あなたの職場にもいると思うが、「批判だけして何もしない人」はたくさんいる。

意見の表明は、あなたもその一派だと受け取られる可能性を秘める。

だから、そうではないことを同時に示していく必要があるのだ。

その為には、現状分析とそれに対する打ち手を考え、それを上司に対して適切にプレゼンする必要が出てくる。

面倒に思えるだろう。

ただ、これを繰り返すうちに、段々と自分の人となりがその上司にも理解して貰えるようになる。

環境は与えられるものではない

僕から見ると、多くの人達は、周囲の環境を「所与のもの」だと見做しているように思える。

そして、それに抗う術はないとハナから諦めている。

一方で、そこに対する不満は一丁前に述べる。

改善する為の具体的な方法などは一切考えずに。

部下たちは自身をそのような「受動的存在」と捉えている。

そこに一石を投じるのだ。

少なくとも、あなた自身がそのカテゴリーから抜け出る必要がある。

まずあなたがリスクテイクを

当然ながら、そこにはリスクが存在する。

でも、そのようなリスクテイクなくして、部下が自発的になるなんてことは起こらないのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

リスクを取ること。

それが管理職の役目です。

でも、大抵の人はリスクを取りたがりません。

それなのに、リスクを取らない部下のことを批判していたりします。

フェアじゃなくね?

それが僕の言いたいことです。

自発的な部下を生む為にリスクを取っていきましょう。