人望とは機嫌が良いことである

人望とは?
管理職の後輩から「自分には人望がない。どうやったら人望を集めることができるのか?」という相談を受けた。
難しい質問である。
それもなぜ僕に聞くのだろう?
僕は自分自身で人望があるなんて考えたこともない。
むしろない方だと自認している。
でも、彼は僕にその相談をしてきた。
ここから考えると、僕には人望があると彼は思っているということになる(こうやって文章に書くと非常に恥ずかしいが…)。
さて。
そんな自分自身に人望がないと思っている僕が、人望について考えてみようというのが今回のテーマである。
そして、僕なりに人望というものを分解していった時に、思い当たったのが「感情の起伏がない」ということである。
また、そこで大切なことは「自分の時間の所在がどこにあるか」ということなのだろうと思っている。
意味がわからないかもしれないけれど、それでは始めていこう。
感情の起伏が激しい人に人望はない
人望というものを考える際に、僕が取ったアプローチは、「では、人望がない人というのはどういう人なのだろうか?」というものである。
僕が考える人望がない人というのは、「感情の起伏が激しい人」「機嫌が悪い人」である。
要は、部下がその人の機嫌を伺うような人には人望がない。
そして、その時間の使い方が自分自身のことに向けられている人(そう思われている人)には人望がない、そのように思うのだ。
忙しさで精一杯
これは冒頭に書いた後輩マネージャーにも当てはまるように思う。
彼自身は悪い人間ではない。
というか、むしろ良い人であると僕は思う。
でも、マネージャーになってから経験が浅いこともあって、忙しさにいっぱいいっぱいになっているように見受けられる。
また、その時間の使い方が、その忙しさに対処することに全ブリされている、そんな風に思うのだ。
たとえいい人であっても…
もちろん、これはある意味では仕方のないことではある。
マネージャーは忙しいから。
そして、彼自身、まだまだこれからの人間であるから。
といっても、部下からしたらやっぱりちょっと問題である。
自分の仕事に対処することに忙殺されている上司。
一生懸命であるし、真面目ではあるけれど、声が掛けづらい上司。
これでは人望なんてものが生じるはずがない。
そう思うのである。
人は暇だと感情が安定する
翻って僕の話。
僕は暇そうに働いている。
それは経験の為せる業ではある。
仕事の大半は既知のことで、特に頭や体を使わなくてもできることであるから。
また、「自分でやる仕事」が僕には殆どないから。
結果として、僕には余裕が生まれる(ただ仕事をしていないだけとも言える)。
余裕があるので、感情も安定する。
暇そうであり、感情も安定しているから、部下も気軽に(というか暇つぶし的に)僕に話しかけてくる。
これが彼が僕に人望があると勘違いしている理由だと思う。
機嫌を良くしておく仕組みを作る
ここから逆算すると、機嫌を良くするためには自分でやる仕事を減らす必要があることがわかる。
「人望とは機嫌が良いことであり、その為には自分自身が忙しくない方が簡単である」
それが彼の質問に対する僕の回答である。
もちろん、人間が出来ていて、どんな状況でも機嫌良くいられるという素晴らしい人も存在するだろう。
でも、僕のような狭小な心しかない人間にはそれは不可能である。
となると、仕組みとして機嫌良くいられる状態を作るしかない。
部下に仕事をさせる上司は人望があるのか?
人間は忙しいと機嫌が悪くなる生き物である。
だから、忙しくしなければいい。
その為には、仕事を任せる必要がある。
まあ、論理的な流れである。
ただ、ここで1つ疑問が生まれる。
「部下に仕事をさせる上司は人望があると言えるのか?」というものである。
部下に仕事を任せるということは、部下により多くの仕事をさせることを意味する。
そして、その上司と言えば、暇そうにしている訳だ。
となると、「アイツあんなに暇そうにしやがって。オレはこんなに忙しいのにふざけるな!」となって、人望なんて生まれなさそうである。
さて。
部下に仕事を任せる上司に人望はないのだろうか?
責任を取ればOK
僕はそんなことはないと思う。
というか、むしろ人望が生まれるような気もしている。
というのも、僕自身もそうであるが、部下側からすると仕事を任せて貰えている状態というのは、自分自身が認められているような気がするし、信頼されているような気がするからである。
もちろん、投げっぱなしではいけない。
また、責任は取らなければならない。
でも、それが担保されていれば(担保されていると部下が感じていれば)、仕事を任せることでネガティブな状態にはならないだろうと僕は思う。
そう考えると、人望の要件として、「責任を取る」ということを加える必要があるようにも思う。
部下に時間を使う
「部下に仕事を任せ、自身は部下からの相談に乗り、その責任はきちんと取る」
これが僕が考える人望がある人の定義である。
そう考えると、後輩の彼が僕に人望がある勘違いする理由もわかるような気もしてくる。
マネージャーは部下に対して時間を使うことがその仕事の全てである。
というか、他にやることなんてないのだ、きっと。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
最後少し尻切れトンボ気味になってしまいましたが、「機嫌良くしていれば部下が寄ってくるし、そこで部下の為に時間を使えば人望があるように見える」というのが僕なりの回答です。
そして、もちろん、責任を取ることを忘れてはいけません。
というか、それさえ出来ていれば、マネージャーとしては十分だと思います。
機嫌良く仕事をしていきましょう。