会議はいらないけれど、議論はいるのでは?

会議は非効率。だけど…
会議は非効率だ。
というか、非効率な会議しか僕は知らない。
他社ではどうかわからないけれど、入社してからずっと、僕にとって会議というのは偉い人への報告会であって、「そんなもの資料を読めばいいんじゃね?」という内容のものばかりであった。
そういう意味での「会議」はいらないのではないかと僕は考えている。
そして、そのように考える人が増えてきたのか、会議自体が格段に減っていった(コロナも関係しているのかもしれない)。
そんな現在において、ふと思う。
「そうは言っても議論の場はいるのでは?」と。
物事を円滑に進める為には、そこにいる成員たちの腹落ちがいる。
そして、腹落ちさせる為に手っ取り早いのは、プロセス自体を共有してしまうことである(この辺の話は以前のブログをご参照)。
そのプロセスの共有において、デジタルツールを使うのもいいけれど、リアルの場で話し合うというのもやっぱり効果的なのではないか、というのが今日の話である。
書いていて、当たり前のような感じはするけれど、取り敢えず始めていこう。
飲み会の代わりにランチ会?
腹を割る機会がない。
そこまで行かなくても、心の内を晒す機会がない。
そんなことを思う。
これは飲み会の減少も関係しているのだと思う。
よく飲み会の代わりに「ランチ会を」なんて話を聞くけれど、そして僕もその効用は理解できるけれど、ちょっとニュアンスが違うんだよな、ということを思う。
もちろん、飲み会というものが現代という時代にそぐわないことはよくわかる。
でも、それを代替するものは少なくとも「ランチ会」や「おやつ会」ではないと僕は思う。
というのも、腹の割り具合が全然違うと思うからだ。
それらによってコミュニケーションは確かによくなるかもしれない。
やらないよりはやった方がいい、それもわかる。
ただ、それで成果が大きく向上するかと問われれば、僕には疑問である。
言いたいことを言わずに
成果を大きく向上させる為には腹落ちが必要で、腹落ちの為には、それぞれの心の内を曝け出す必要がある。
でも、ビジネスの場で心の内を曝け出すことは、かなりのリスクを伴う。
衝突したり、嫌な気分になったり、場合によっては憎み合ったり、そんなことが生まれる可能性が高いからだ。
だから皆あまり言いたいことを言わず、腹のうちに想いを留め、静かに仕事をしていく。
ただ、だからと言って、腹落ちしている訳ではなく、モヤモヤしながら仕事を続けている。
このような状態で成果など上がるはずがない。
チームを変える為にはイニシエーションが必要
10年ほどマネジメントという仕事をやってきて、成果が大きく上がるようにチームを変える為には、「衝突」や「不和」のような、ある種のイニシエーションを経る必要がある、そんなことを思う。
もちろん、やり過ぎて「空中分解」のような状態になってしまっては元も子もないのだけれど、一定の「嫌な気分」を味わう時間は必要であるように僕には思える。
それはモヤモヤを吐き出す際には、避けては通れない道である。
以前であれば、そのようなモヤモヤを飲み会が一定程度吸収していたのだろう。
酔っぱらって、くだを巻きながら、言いたいことを言う、そんなシチュエーションがあったように思う。
でも、そんな機会はめっきり減ってしまった。
それを代替するものが必要なのではないか?
そんなことを思う。
言いたいことを言う場が必要
すぐに浮かぶのは会議である。
会議の場で、皆が腹を割って話をする、それが理想である。
でも、僕が知る会議というのは冒頭にも書いた「報告会」のようなもので、そんなものは時間の無駄である。
みんなで言いたいことを言う場。
それを実現するのは難しいけれど、それが求められているように思う。
心理的安全性を先に確保するのは難しい
もちろん、ここには心理的安全性というものが密接に絡んでいる。
それがないと、誰も腹を割るなんてことは起こらないから。
そういう意味においても、僕らはお互いのことを知り合うべきだし、そのステップとして先述した「ランチ会」や「おやつ会」のようなものは確かに意味を為すかもしれない。
でも、逆説的に、心理的安全を確保する為に言いたいことを言う、一足飛びで議論をしてしまう、ということもあるように思うのだ。
若干の一か八か感はありながらも、そういう「修羅場」を経なければ、真の心理的安全性は確保できないのではないか、とも思うのである。
まずマネージャーが腹を割る
これはファシリテーターとしてのかなり高い能力が求められる。
コンサルファームが言うようなレベルのファシリテーションではなく、人間性が大きく問われるような議論の運営能力が必要となる。
でも、それが出来ると、チームは大きく変わる。
そこには、マネージャー自身の「腹割り」が絶対的に必要となる。
まず自分が口火を切る。
適時適切なタイミングを見計らった上で、そのような話を切り出す。
すると、空気が一瞬にして凍る。
ただ、それが上手くいくと、誰かがそこにボソボソと賛同してくれる。
小さな種火と賛同による焚火。
誰かを責めるのではなく、よりよいチームにする為に、思っていること言うこと。
それは結果的に誰かを傷つけてしまうことがあるかもしれない。
でも、そういう過程を経ないと、良いチームはできないのではないかとも思うのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
言いたいことを言うこと。
それが成果を上げるチームには必要です。
でも、そんなチームはなかなか存在しません。
また、そのようにチームを変えるのもかなりの困難を伴います。
ただ、だからと言って不可能ではありません。
マネージャーが率先して腹を割っていきましょう。