戦略を机上の空論としない為に

UnsplashDaria Romが撮影した写真

要点を捉える

戦略と机上の空論は違う。

当たり前の話だ。

でも、実際に仕事をしていると、机上の空論のような戦略によく出会う。

それもどんどん空論が肥大化していってしまっているような状態の戦略に(というか、そんなものを戦略と呼んではいけないのだ、きっと)。

これは要点を捉えていないことから生じる。

そして、願望が現実を大きく超越したところで起きる。

何年もマネージャーをやってきて思うのは、「要点を捉える」というのは1つの才能である、ということである。

どんなに経験を積んでも、要点を捉えられない人はいつまでも要点を捉えられない

悲しいけれど、これが現実である。

そういう人はマネジメントから離れた方がいい、それくらいのことを僕は思う。

また、願望ばかりが先行して、現実を捉えられない人もたくさんいる。

今日はそうならないようにする為の方法論について書いていく。

それでは始めていこう。

戦略と戦略めいたもの

要点を捉えること。

これはマネージャーとして必須のスキルである。

というのも、これができなければ、戦略を立てることがままならないからである。

というか、「戦略めいたもの」は立てられても、それがポイントから大きくズレてしまっているので、成果を上げるには至らなくなってしまうからである。

ただ、先述した通り、経験を積んだとしても、要点を捉えられない人はとても多い。

僕はこれを才能だと一蹴してしまいたい願望に駆られながらも、何とかそれを言語化し、ちょっとでもスキルで補えないかと思って、ここから先のことを書いてみようと考えている。

レバレッジが掛かるポイント

要点を捉えるとはどういうことか?

それは「ゴールとベストエフォートの距離感を探る行為」だと僕は考えている。

そして着地点を見つけることだと思っている。

現状の戦力やリソースから考えて、最大限ストレッチした時に到達できるところと、叶える必要がある目標や目的との折衷点をギリギリまで探っていく行為。

あまりにも低過ぎてもダメだし、高すぎてもダメな絶妙な地点。

これを違う角度から言うなら、「どこにレバレッジが掛かるポイントがあるかを探る行為」ということになるのかもしれない。

それは正に「秘孔を突く」みたいなもので、物事には重心というか、「まあそれだったらポイントはここだよね」というような点がある。

そこに触ることが出来れば、物事が大きく動き出すような、そんな部分がある。

そこに到達する為の方法が「戦略」である。

願望と現実

でも、この「要点を捉える」ことができる人は実はあまり多くない。

彼(彼女)らは自分では要点を捉えていると思っているけれど、僕からすれば論外であることが多い。

それは上述したように、願望が現実を大きく超えてしまっているからである。

願望は願望だ

物事を議論する際には、願望と現実を切り分ける必要がある。

そんなのは当たり前の話だ。

でも、願望ベースで話をしていると、いつしかそれに飲み込まれて、それが現実であるかのように錯覚してしまうということがよく起こる。

もちろん、そのまま願望の中にいつまでもいられるのであれば、問題は生じない。

そしてそれは自分だけでなく、周囲の人間も同様である。

集団催眠のように、願望ベースの議論を続けていれば、その内部において問題は生じない。

ただ、当然のことであるが、願望はあくまでも願望に過ぎない。

強く願ったとて、それが叶うことはない。

強く願わないから叶わない?

でも時に、その願望の強さによって、現実すらも変えられるのではないか、という謎の合意が生じることがある。

またそれはひとりでに肥大化していく。

いつしか、願いの強さが忠誠心であるように捉えられ、強く願わないから叶わないのだ、という宗教めいた方向に物事が向かい出す。

馬鹿みたいな話だけれど、日本社会というのはこういう傾向を少なからず持っていると僕は思っている。

「願えば叶う」みたいな信憑、それが戦略の机上の空論化を招いていると言えなくもないような気がしている。

願ったって叶わないものは叶わない。

それがベストエフォートを越えているなら、叶うはずなんてない。

ただ、そういうことを言うと、「空気を壊す奴だ」という排斥的な動きが生じる。

僕はそれがとても嫌なのだ。

現実を直視する

戦略とは現実的なものだ。

もちろん、そこにはというか、大きな目標があって然るべきだとは思う。

でも、それだけでは目的を叶えることはできない。

空論をいくら弄んだところで、その空論が現実になることはない。

確かに現実は厳しい。

ただ、そこを直視しなければ、成果を上げることなんて不可能なのである。

現実と責任と

これは裏を返せば、現実を直視し、要点を捉えることが出来れば、成果を上げることはそこまで難しいことではないことを意味する。

でも、多くの人はそこに気づけない(というか、敢えて気付かないフリをしている)。

現実を直視すると、非難を受けると思っているから。

責任の矛先が自分に向いてくると考えているから。

その覚悟がある者だけが戦略論を語ることが許されるのだ、きっと。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

現実的なことを言うと批判的だと言われる傾向。

僕はこれがずっとよくわからないでいます。

戦略において最悪の事態を考えておくのは基本のキだと思うのですが、それが出来る人は殆どおらず、皆戦略がすべて上手くいった時のことしか考えていません。

机上の空論は現実から離れたところで生じます。

要点を捉え、現実を見ていきましょう。