お花畑の住人たち

UnsplashNorikio Yamamotoが撮影した写真

痛みから逃げるとお花畑になってしまう

理想と現実。

その2つに分けるなら、僕は現実主義者であると自認している。

もちろん理想は持っている。

それも結構崇高な。

でも、マネジメントという仕事に関して言うと、理想を追うのはかなり困難であり、どうしても現実的なアプローチを取らざるを得ない、というのが実情であると思っている。

もう少し正確に言うなら、本来的には理想を追求した先に大いなる成果があるのであるが、それができるメンバーは殆どいない為、分かり易い現実的な方法を取らなくてはならない、ということになるのかもしれない。

そして、現実的なアプローチというのは、痛みを伴うものでもある。

さらに言えば、痛みを伴うものは避けたい、というのが人間の性だ。

でも、ここから逃げてしまうと、戦略や戦術というものは急にお花畑みたいな話(空論)に堕してしまう。

今日はそうならない為の手段について書いていく。

プラスを増やす理想主義。マイナスを減らす現実主義。

プラスとマイナス。

アプローチの方法として、理想主義を「プラスを増やすもの」、現実主義を「マイナスを減らすもの」、だと僕は捉えている。

これはどちらが優れているとか、劣っているとか、そういう話ではない。

その局面局面において使い分けて然るべきものである。

また、価値観や好みの問題でもあるとすら思う。

結局のところ、大事なのはチームの状態を改善することであって、どちらも十分にワークするならそれで構わない、というのが議論の前提である。

その中で、「どちらの方が、チームが上手くいっていない状態、もしくはメンバーのレベルが低い場合、に効果的なのか?」ということを考えた時に、僕は現実的なアプローチが効果的であると考えている。

その方が費用対効果が高い(レバレッジがかかる)というか。

理想は誰も傷つけないが、何も生み出さない。

でも、どうやら多くのマネージャーはこの種の現実的なアプローチを取りたがらず、理想主義的なアプローチを取ることが多いようである。

それはなぜか?

現実的なアプローチは、痛みを伴うからである。

そして、その痛みを生じさせた要因が自分にある(自分だと思われる)、ことに向き合えないからである。

もっと平たい言葉で言うなら、「部下に嫌われたくない」のだ。

だから、理想を追いたがる。

理想は誰も傷つけない。

でも、何も生み出すことはない。

僕はそう考えている。

今なのか?

「正しい姿」「あるべき姿」「理想像」の類。

理想主義的なアプローチを取るマネージャーは、事あるごとにその話を展開する。

内容については僕も共感できることばかりである。

でも、「今それなのか?」とは思うのだ。

理想主義的なアプローチを取ることは否定しないけれど、それをやるには段階があって、ある程度チームが成熟してきた時にやるべきなのではないか、と僕は思うのである。

それがまだまだチームが途上である時、もしくは全然うまく行っていない時に、その打開策として理想的なアプローチを取ろうとするのは、あまり良い打ち手とは言えない。

何というか、問題が覆い隠されてしまうからである。

マネージャーが批判を恐れて現実的なアプローチを取っているなら末期

もちろん、人間は現実だけでは生きていけない。

適度な理想は不可欠ではある。

でも、そのバランスというか、加減というか、はチームの段階によって変えるべきなのだ。

そして、現実的なアプローチを取れない理由として、「マネージャーが批判を恐れている」なんて話があるとするなら、それはもう終わっているに等しい。

厳しい言い方だ。

ただ、本当にそうなのである。

誰も理想的に働きたいなんて思っていない

理想を追求すれば、素晴らしい未来が待っている。

まあ否定はしない。

でも、それは一定程度以上の能力や意欲がメンバーにある場合に限る、という留保条件は付けておいた方がいい。

そして、多くのメンバーというのはそこまでのレベルに達しない(し、望んでもいない)、という悲しい現実も言い添えておく。

僕がマネージャーを7年以上やって思うのは、仕事に対して情熱を持って取り組んでいる人間なんていうのは1割もいない、ということである。

多くの人は、ただ漫然と仕事をしている。

そこに理想なんてものはない。

できるだけ楽に、効率よく金が得られるなら、それでOK。

面倒くさいこと、負荷がかかることは、NG。

そういう人ばかりである。

やや極端な言い方をしていることは承知の上で、僕はこんな風に思っている。

理想郷は遠すぎる

だから、理想主義的なアプローチというのは、「距離が遠すぎる」のである。

言っていることは間違っていないし、そちらの方向に進むべきではあるのだけれど、多くの人にとっては、その理想郷は遠すぎて、リアリティがあるものとして受け取られない。

結果として、「ふうん…」くらいの反応で終わってしまう。

もっと言えば、「また何か現実離れしたこと言ってるよ…」みたいな感じに捉えられてしまう。

もちろんある程度の戦力が揃っているチームであれば、理想主義的なアプローチが絶大な効果を上げることもあるだろう。

でも、少なくとも(日本の)多くのチームには当てはまらない。

それだったら、もう少し視線を下げて、近い距離を見た方がいい。

手触り感のある、具体的な戦術を示した方が、チームの体温は上がってくる。

理想の話はその後からでも遅くはないはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「正論は正しい、だから誰もが従うはずだ」

そう能天気に思っている人が多すぎるように感じています。

正しいからといって、人が従うわけではありません。

そして、もっと言えば、正論に従うべきでもありません。

お花畑を脱して、戦場を駆け抜けていきましょう。