旅に出ようぜ

UnsplashMesut Kayaが撮影した写真

仕事に主体を乗っ取られてはいけない

皆さんは旅が好きですか?

唐突であるが、そんな質問から今日は文章を始めてみる。

というのも、この仕事をしていると、視野狭窄というか、余裕がないというか、とにかく「目の前の仕事」に囚われている人によく出会うからである。

そして、そのような人は大抵の場合、懐が深くない。

僕は仕事なんてものは人生の一部でしかなくて、言わば暇つぶしのようなもので、そこに関心を向けすぎると碌なことはないという考え方を持っている。

もちろん、一生懸命、誠心誠意仕事はする。

でも、主体が乗っ取られてはいけないとは思うのだ。

あくまでも、コントロールするのは自分であり、仕事の側ではない。

ただ、そうは言っても、日々は途轍もなく忙しい。

だんだんと視野が狭くなり、余裕がなくなってくる。

そのような状況の中で、視野を広げる(余裕を持つ)為にはどうしたらいいのだろうか?

「仕事以外に目を向ける」

「仕事以外の価値観に浸る」

それしかない。

今日はそんな話である。

現在位置から離れる

冒頭の質問に答えるなら、僕は旅が好きである。

いや、この問いの対象は別に旅じゃなくてもいいのだ。

ここで言う旅という言葉は、実際の旅ももちろん当てはまるけれど、「現在位置から離れる」ということをその意味の大半として使っているものである。

現在時点の自分から離れること。

その自分を遠くから見てみること。

それが視野を広げたり、余裕を取り戻す為には重要なことである。

というのも、そのような強制的な仕組みを取り入れない限り、自分が視野狭窄になっているということにはなかなか気づけないからである。

自分は正しくて、他人は間違っている?

普段通りの仕事を続けていると、それが当たり前のものとなる。

そこで起きる事象に対する反応も、まあ一定程度のレンジはありながらも、大体予測可能なものに留まる。

こうやって日常が固定化されていく。

それは「効率的に日々を過ごす」為には必要なことだ。

あらゆることに対して、一からその回答を探すことを都度都度やっていたら身が持たないから。

ただ、あまりにもそれが普遍化し過ぎると、価値観自体が所与のものとなってしまうというか、他の価値観を認めないというような心の狭さが生じてくる。

もっとザックリとした言い方をするなら、「自分は正しくて、他人は間違っている」と思いがちになる。

それを打ち破る方法が「旅」である。

ハレとケ

この「旅」は何でもいい。

普段の自分から離れられるものであれば、どんなものだっていいのだ。

それも実際の旅のように、何日も取る必要さえなくて、数時間でできるものだっていい。

とにかく、「仕事における自分」から離れられるような装置を自ら作っておくのである。

僕の場合は旅の他に、ライブに行くというものがある。

それも簡単なモッシュが起きるくらいのものが好きだ。

そして、いつも行くバンドに加えて、時々はまだ行ったことのないバンドのライブにも行くようにしている(もちろん、対バンで勝手にそのような状況になることもある)。

それは何と言うか、違う文化みたいなものを感じられるからである。

ファン層も違うし、そこでのお作法のようなものも微妙に変わるし、もちろん実際の音楽性や、メッセージみたいなものも変わる。

何よりもそこに集まる人たちが、「普段は普通に何食わぬ顔して働いている」訳で、そのギャップというのか、ハレとケの違いというか、それがとても面白いのである。

そしてもちろん僕もそこに含まれている。

そのような非日常を自分の日常の中に取り入れること。

それによって、自分の価値観が如何に自分だけのものに過ぎないのかということを体感すること。

そうやって、自分をどんどんと揺さぶっていく。

「仕事上の自分」が主体?

音楽や絵画や小説や舞台や、その他諸々の文化芸術的なもの。

もしくはスポーツや武術などの、身体に関係するもの。

それらを鑑賞したり、実際にやってみたりすること。

それだって「旅」の一種である。

また、それは何も自分だけに生じている訳ではない。

マネジメントというテーマに戻すなら、そこで働いている上司や同僚・部下もそのような側面を持っているはずである。

仕事においてはどうにもこうにもならない部下が、ある分野においては卓越したスキルを持っていたり、特定の話において並々ならぬ知識を持っていたり、そのようなことは結構な頻度で起きる。

でも、僕たちは、何と言うか、「仕事上での自分」からそれを眺めているような気がしている。

「仕事上の自分」が自分の本体で、「それ以外の自分」は格下というか、本体じゃないというか、そのような価値観を持って日々暮らしているような気がする。

それも自分だけでなく、他者にも当てはめて。

仕事以外の他者を知る

多様性というのは、LGBT的なものを認めるという話ではないと僕は思っている。

また人種や性別というものを尊重しようという話だけに留まらないものだと思っている。

そこにいる人たち、当たり前のように存在している人達の違う分や変な部分を見つけて、それを面白がること。

「仕事以外の他者」の他者性を尊ぶこと。

それが多様性に繋がり、チームをカラフルにし、仕事を面白くする。

僕はそんな風に考えている。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

凝り固まった価値観を持った人が苦手です。

でも、自分自身も下手をするとそのような人の仲間になりそうになる。

そんな時は「旅」に出ることが重要です。

非日常に浸かって、価値観を揺さぶっていきましょう。