適度な忙しさを
暇すぎるのもまた問題
「チームが暇だと色々と問題が起きる」
「課長は暇そうでいい」と常日頃考えている僕も、チームはそれなりに忙しい方がいい、その方が人間関係の面倒くさい問題が起こりにくい、そのように感じている。
というのも、人間は暇になると、視線が外に向かいがちになるからである。
それも些細なことというか、どうでもいいことに。
長年マネージャーという仕事をしてきて思うのは、それなりの忙しさを維持することがチーム内の揉め事を減らし、成果を向上させる、というある種当たり前のことである。
もちろん、多くの職場においては、どんどんと人員削減が進んでいて、何もしなくても忙しい状態が続いているのだろうけれど、忙し過ぎるのもまた問題で、これはこれで職場が殺伐としてくる。
なので、「適度な」というのがポイントである。
また、「忙しさ」に対処する方法論については今まで結構書いてきたと思うけれど、「暇さ」に関する方法論についてはあまり書いてこなかったような気がするので、今日は後者に重点を置いて書いていこうと思っている。
それでは始めていこう。
忙しさへの対処法は他のブログ記事をご参照
チームが忙しい時には、やることを減らす、というのが大事である。
できるだけやることを減らし、できれば1つにまで絞っていく。
これはある種それ以外の仕事を捨てるということを意味する。
上記のような話が、僕が今までこのブログに書いてきたことの要点である。
であるからして、忙しさへの対処についてはそちらをご参照頂きたい。
客観的にそこまで忙しくはない状態への対処方法
今日の本題は、「暇さ」への対処方法である。
チームが暇である時、マネージャーはどのようにすればいいのか?
これはなかなかの難問である。
もちろん、暇と言っても、種類があると思う。
一時的なものなのか、恒常的なものなのか、それによっても対処方法は異なるはずだ。
なので、今日は恒常的な暇さ、それもそこにいるメンバーが暇だとは思っていないくらいの状態(でも客観的にはそこまで忙しくはない状態)、への対処方法について書いていこうと思う。
仕事に関する愚痴と、人間関係に関する愚痴を聞き分ける
まずは、チームが暇かどうかをどうやって判別するか、についてである。
上記したように、チームメンバー自身は暇だと思っていない場合、マネージャーはどうやったらチームが暇であるかを知ることができるのだろうか?
今日の話の文脈からわかるとは思うけれど、チーム内で人間関係に関する愚痴が増えてきたら、チームの「暇度」は上がっていると考えて良いと僕は思っている。
部下というのは愚痴を言う生き物ではあるが、その愚痴の内容が仕事に関するものなのか、人間関係に関するものなのか、は聞き分けた方がいい。
仕事が忙しい(大変だ)ということであれば、忙しさを減らす動きをマネージャーはすべきだし、人間関係で困っている(問題が起きている)ということであれば、暇さを減らす動きをマネージャーはすべきなのである。
もちろん、これはあくまでも感覚論であり、極端にどちらかが多くなるということは現実的には起こり得ないだろう。
ただ、普段から話を聞いている中で、同僚に対する愚痴が増えてきたなと感じたら、チーム内コミュニケーションを改善する方向性を考えると同時に、暇さを下げる(忙しくする)ことを考えても良いかもしれないと僕は思う。
それによって、部下の視線が外部に向くようになるから。
暇度を下げるのは簡単
では、暇さを下げる(忙しくする)にはどうしたらいいのだろうか?
これは忙しさを緩和するよりはそこまで難しくはないと思う。
それは、仕事は減らすよりも作ることの方が圧倒的に簡単であるからだ。
もちろん、折角仕事を増やすことができるのだから、そして仕事というのは始めるとなかなかやめることができないものであるから(慣性の法則があるから)、やる内容については十分に吟味をすべきである。
何かチーム内で不足している部分、例えば忙しさを緩和する為に捨ててしまった部分、それを補うような仕事をやればいい。
人員配置を換えてみる
また、方向性は変わるけれど、人員配置を換える、というのも1つの手である。
チーム内で暇さに差があるのであれば、人員配置の調整を行うことで、片方は忙しさを緩和することができ、片方は暇さを緩和することができるようになる。
そうやって、適度に忙しい状態を作っておく。
忙しさをコントロールするのもマネージャーの仕事
これは目に見えない部分ではあるけれど、マネジメントとしては結構重要な仕事であると僕は思っている。
もちろん、露骨にやってはいけない。
部下にバレないように、慎重にコトを進める必要はある。
ただ、このような仕事の配分(傾斜の付け方)は、まさにマネジメントの仕事と言うべき仕事であり、これが上手にできるようになると、成果は上がるし、チーム内の揉め事も少なくなる。
そういう意味では、適度な忙しさによって、チームが活動的である状態を維持することがマネジメントであるとも言える。
人事の関する権限を持っているミドルマネージャーは少ないかもしれないけれど、チーム内での配置転換ならそこまで難しくはないはずだ。
そうやってチームの忙しさをコントロールしていこう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
暇だと(余計な)揉め事が起きる。
これはマネージャーをやらなければわからなかったことかもしれません。
というのも、「忙しいと職場が殺伐とし、揉め事が起きる」というのは想像するのが難しくないのに対し、「暇だと他人の粗に目が行き、揉め事が起きる」というのはなかなか想像しえないからです。
同僚への愚痴が増えてきたら、仕事自体を増やしてしまうことを検討してみてもよいかもしれません。
そうやってチームをコントロールしていきましょう。