1on1の時間がない?

UnsplashCody Engelが撮影した写真

あなたにとって、マネジメントとは?

「1on1の有用性はわかりました。でも、忙しくて時間が取れません」

そんな声をよく聞く。

まあ気持ちはわかる。

マネージャーは死ぬほど忙しいから。

ただ、その話を聞く度に僕はこう思うのである。

「優先順位が間違っているのでは?」と。

マネージャーの仕事はマネジメントである。

これに異を唱える人はいないだろう。

では、マネジメントというのは、どのようなことを指すのだろうか?

忙しい方は1on1以外で「マネジメント」をどのようになさっているのだろうか?

僕にはこれがよくわからない。

マネジメントにおいて大事(かつ効果的)なことは部下との対話である。

これ以上のことはない。

となると、それをまず1番に考えるべきなのでは?

今日はそんな話である。

それでは始めていこう。

先に時間を確保する、だけ

僕は毎週1on1をやっている。

そういう話をすると、時に驚かれることがある。

「どうやって時間を捻出しているのですか?」と(そこには「暇そうでいいな…」という嘲りもきっと含まれている)。

これは「貯金がどうやったらできるか」というのと考え方は一緒で、先にその分を確保してしまって、残りの部分でやりくりをする、それだけのことである。

何も難しいことはない。

もちろん、部下の人数にもよる。

個人的な体感では20人を超えてくると、だいぶキツくなってくる。

でも、もしそうだとしても、毎週ではなく隔週にするとか、頻度を変えることで何とか対応できる(実際に僕はできた)。

少なくとも、「定期的に部下と1on1の機会を作る」ということはそこまで難しいことではない。

後は覚悟の問題である。

まずはここをご理解頂きたい。

他に方法ある?(煽り)

グーグルカレンダーでも何でもいいので、自分のスケジューラーで1on1の時間を先に押さえてしまう。

それ以外の仕事を残りの時間でやりくりする

やりくりできそうにないものは部下に権限委譲する。

それ以外に何か言うことある?

煽っているみたいな言い方であるが、僕はそのように思うのである。

部下との対話の有効性に疑問を持っているマネージャーは多い

たぶん潜在的な意識として、「部下と対話して何か意味ある?」と多くのマネージャーは思っているのだと思う。

まあ確かに言っていることはわからなくはない。

1on1に即効性はないから。

でも、逆に問うが、部下をマネジメントするに際して、他に何か有効な方法があるだろうか?

未だかつて、この問いに対して納得的な答えが返ってきたことはない。

となると、そのマネージャーは普段何をやっているのか?

プレイヤー業務だろう?

そういう風に思ってしまうのである。

わかるよ。でも、それでいいの?

「いや、簡単に言いますけれど、人も減っているし、そんなこと無理ですよ!」

「権限委譲って言ったって、部下は仕事ができないのですから、私がやるしかないんですよ!」

いや、言っていることは理解できるのだ。

確かに、人は減っているし、部下は仕事ができない。

「自分でやるしかない」という局面もあるだろう。

ただ、また問うけれど、それでいいのですか?

その状態をずっと続けて、何も変えないのですか?

僕はそう思ってしまうのである。

理不尽な大きな流れの中で

人員削減等の「大きな流れ」に対して、僕なりに思うことはある。

それが正しいことなのか、という疑問もある。

でも、だからと言って、今日の仕事は変わらないし、明日の仕事も変わらない。

そこにあるものをやるしかない。

そこに「仕事のできない部下」という要因が絡んでくる。

確かに部下は仕事ができない。

だから、仕事ができるようにするしかない。

それも「能力を向上させる」という方向性ではなく、「今ある能力をどうやって有効に活用するか」という方向性の中で仕事をするようにさせる。

こうやって、それぞれの部下に仕事を振っていく。

それと同時に、1on1において、振った仕事のフォローや、そもそもの考え方、その他諸々の話を繰り返ししていく。

もちろん、一朝一夕にはいかない。

というか、1年続けたところで大した変化はない。

でも、それこそがマネジメントなのでは?

僕はそう思うのである。

1on1とは共に作っていく行為だ

大事なことは、「答えを共に見つけていくこと」である。

「結論ありき」で1on1をやっても何の意味もない。

何かそこで成果物を出そうとするのではなく、その過程そのものに重要性を見出すこと。

それがマネジメントなのである。

そして、それを繰り返し行っていると、部下は徐々にではあるが、自分で物事を考えるようになってくる。

というか、元々考えていたことを、マネージャーである自分にも少しずつ開示してくれるようになる。

それを更に面白いものにできないか、とまた共に考えていく。

本当に極稀にではあるが、これが新しいビジネスの芽になったりもする。

そこで小さな成功体験が生まれる。

また、それが他のメンバーにも波及していく。

仕事が面白くなれば、部下は能動的に働くようになる。

結果として、チームに活力が生まれ、成果が安定的に上がっていく。

こうやって好循環が生まれていくのだ。

その種を蒔く行為(蒔き続ける行為)、それが1on1なのである。

春は遠い向こうに

芽は簡単には出ない。

何度も諦めそうになる。

でも、そうやって冬を越していくしかないのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

時間は有限。

そこからはみ出るものは切り捨てるしかない。

僕はそのように考えています。

でも、多くの人はこの「切り捨てる」という行為ができない。

絶望的なくらいに。

プライドが邪魔しているのか、無能だと思われたくないからなのか、その理由はよくわかりませんが、捨てることができなければマネジメントなんてできません。

繰り返しますが、大事なことは優先順位です。

というか、それを付けるのがマネージャーの仕事なのでは?

自分の仕事でさえ優先順位を付けられない者はマネジメントには向いていません。

大事なものから時間を割り当てていきましょう。