実力は嘘をつかない

UnsplashWolfgang Hasselmannが撮影した写真

他者からの評価の形

皆さんの他人からの評価はどのような波形を取ることが多いですか?

今日はそんな問い掛けから文章を始めてみる。

ここで言う波形というのは、評判を可視化したものと捉えて頂きたい。

例えば、①最初は良いけれどだんだん下降していくとか、②任期を通じてあまり変わらないとか、③最初はイマイチだけれど尻上がりになっていくだとか、そのようなグラフを本稿では指すことにする。

僕は③のような感じである。

元々人見知りというか、他者を信用しづらい傾向があるし、外交的な性格でもないので、僕の出足の評価はいつもパッとしない。

それは部下からもそうだし、同僚・上司からもそうだ。

「何だか冴えないな…」

それが彼(彼女)らの第一印象であるように思う。

ただ、これは時を経るごとに変わっていく。

1人2人、僕の実力に気が付いていくと、その評価は徐々に上がっていく(自分で言うのも何だが、玄人好みのマネジメントスタイルなのだ)。

そして、そのことを振り返った時に、「大事なことはやっぱり実力なんだよな」と思うことになる。

今日はそんな話である。

それでは始めていこう。

基礎能力(基礎筋力)が大事

一般教養。

リベラル・アーツ。

マネジメントという仕事を長くやっていて大事だと思うのはこのようなことである。

もちろん、自分の専門領域に長けていることは必要だ。

でも、それだけでは十分ではない。

それ以外の範囲の物事についても、興味や関心を持ち、ある程度のことには対応できること。

それが割と重要なのではないかと僕は考えている。

これはマネジメントにおける基礎能力(基礎筋力)のようなものに繋がる。

自分の専門分野だけで対応可能ならば構わないが、残念ながらマネジメントという仕事はそうではないことが多い。

やったことのない分野、判断したことのない領域、そのようなものが予期せぬタイミングで訪れ続けるのがマネジメントである。

ただ、それに対してマネージャーは無力なのかというとそんなこともない。

どの分野の物事においてもベースとなる考え方があって、それさえ外さなければ大けがをすることはない。

でも、そのベースとなる考え方に辿り着く為には、それなりの基礎能力が必要となる。

そして、そのような基礎能力を身に付ける為には、専門外の領域の物事についても「逃げない」ことが重要であるように思うのだ。

できないなら仕方がない?

これは昨今のマネージャーが逃げ腰であることへの警鐘でもある。

ジョブ・ディスクリプションの影響なのか、元々の性向なのか、それは判然としないけれど、自分の領域外の物事については関与しない(したがらない)マネージャーがとても増えているなと僕は思っている。

そして、社会的(会社的)にもそれを許容しているというか。

「できないなら仕方がないよね」という考え方。

これがどうにも僕にはわからない。

職務と職責と役割期待

マネージャーには(というか仕事全般においては)、その職務に応じた役割期待がある。

「あなたの仕事はこれです」というもの。

それに応じて対価が決まっていく。

でも、この種の人はそのような役割期待を放棄している(ように僕には見える)。

「それは私の仕事ではない」と平然と言うことができる。

「いやいや、それはあなたの仕事ですよね?」

僕はそう思うし、そのような仕事に対する向き合い方をしていると、実力を付ける機会を失ったままになってしまうのだ。

修羅場を経ると実力が上がる

実力というのは、ある程度の修羅場を経て身に付くものである。

これを単線的に捉える傾向があるように僕は感じているけれど、そんなことはない。

ある機会を契機に、ドン!と上がるのが実力である。

もちろん、その間の基礎練習は欠かせない。

日々素振りを続けることは重要だ。

でも、ある瞬間にコツのようなものを掴んだ時に、実力というのは急激に上がるものなのである。

ただ、それは平時においてはなかなか訪れるものではない。

何らかの異常事態、脇汗が出るような機会において、それが来るのである。

だから、日々の仕事をしながらも自己研鑽は欠かせないし、何らかの異常事態が訪れた時にはそこに立ち向かい、経験値を増すことが重要なのである。

そうやっていくつかの修羅場を経ていくと、慣れない領域の仕事であったとしても、大体の「勘所」がわかってくる。

それをまた別の修羅場に応用していく

こうやって実力というのは付いていくのである。

実力よりも評価が大事?

残念ながら、昨今の流れは実力よりも評価に重きを置いているように僕には見える。

評価されるものだけを効率よくやることがスマートなビジネスパーソンの在り方である、と捉えられているような気がしている。

もちろん、それが完全に間違っているとは言わない。

でも、実力「も」大事であることは忘れてはならないと思う。

マネジメントはリーグ戦

マネジメントという仕事はトーナメント戦ではない。

リーグ戦である。

それもワンシーズンだけではなく、もっと長い期間の。

となると、運や勢いだけでは勝ち抜けないことは明白では?

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

実力の可視化。

ある人に実力が備わっているかどうかというのはどのように判別できるのか?

それができたら、成果主義や実力主義はもっとフェアになるのに。

そんなことをずっと考え続けています。

僕のイメージは昔から変わらず、ドラゴンボールに出てくるスカウターのようなものです。

それがあればこんなに面倒くさくないのに。

何か良いアイディアがあれば、教えて頂けたら幸いです。