ツケは必ずまわってくる
光と影
臭いものに蓋をし続けていると、必ず腐臭を発する。
これはマネジメントにおいても同様である。
物事には良い面と悪い面が必ずあって、光だけに焦点を当てていてはその本質を見失うことになる。
陰の部分も踏まえて、デメリットも考慮して、方針というものは策定されなければならない。
見て見ぬふりをしていても、それは必ず追いついてくる。
そのツケを取らなければならない局面が必ずやってくる。
今日はそんな話だ。
気付けば自分も騙されている
仕事の成果を「盛り」たい人は多い。
特に上に行けば行くほど、これが上手な人が多いような気がする。
もちろんそれはパフォーマンスの1つであるので、それ自体は悪いことではない。
舞台上における演技のように、自分の仕事の成果を少しだけ大きく見せようとすることは、ある程度誰もがやっていることでもある(僕もそこまでウブではない)。
そうやって一定期間上手くやりおおせることはできる。
ただ、少なくとも自分は騙さない方がいい。
一線を引いて、その暗部についてはきちんと認識しておいた方がいい。
そうじゃないと、自分もからめとられてしまうからだ。
自分にもその暗示というものはかかってくるものだからだ。
他人は騙せても、自分は騙せない
本当は問題を抱えているチームにおいて、その表面を綺麗に見せることで何とか運営を継続させることはできるけれど、どこかのタイミングでは必ずその問題に対峙する必要がある、と僕は考えている。
他人は騙せても、自分は騙せない。
問題と思っているものは、必ず問題として表面に出てくる。
そしてその際には、問題はより大きな問題に膨れ上がっている。
それを忘れてはいけない。
歪な構造は、どこかで破綻する。
騙し騙し運営することはできるけれど、その賞味期限は必ず押さえておいた方がいい。
それが切れる前には、手を入れなければならいのだ。
誰かが割を食っている
問題の種類には色々とあって、誰かがそのツケを払っているものだ。
それは立場の弱いメンバーであったり、顧客であったり、関連会社であったりするのだけれど、それをそのままにしておいてはいけない。
もちろん一時的に、現在の状況をしのぐために、やむを得ずそのままにしておく、ということはあるだろう。
でも、そこから目を背けてはならないのだ。
いつかは対峙しなければならない局面が必ずやってくる。
そして多くのマネージャーはこれができないのだ。
肥大化した自己像にからめとられる
催眠術のように、まるで自己暗示にかかっているように、マネージャーは自分が作っているツケを把握することができない、ということはよくあることだ。
過大評価的自己認識、肥大化した自己像、に自らも騙されてしまう。
まるで問題など何もないかのように振舞い続ける。
それを指摘すると、ムキになって反論してきたりする。
数字を示して、現実とその自己像が乖離していることを話しても、聞く耳を持たないのだ。
その現実を受け止めることができないのだ。
現実歪曲フィールド。
そうやってチームは停滞していく。
結果は結果
誰しも自分の戦略は間違っていない、と信じたい。
それは僕だってそうだ。
ただ、ある一定期間において成果を出さなければならないのがマネージャーの仕事でもある。
そして数字は嘘をつかない。
その数字が望ましいものでなかったということは自分の戦略が間違っていた、ということを意味する。
もちろん色々な要因があるだろう。
どう考えても仕方がない、どうしようもできない、そういうこともあるだろう。
でも結果は結果だ。
そこから目を背けてはならない。
いつか、必ず、追いつかれる
多くのマネージャーはこういう時に、外部要因のせいにしがちであるけれど、僕からすれば、それはツケが回ってきた、ことに起因することが多い。
時限爆弾が爆発するように、今まで覆い隠してきた悪い部分が露見してきただけに過ぎないことが本当によくある。
たぶん運ではないのだ、それは。
必然的帰結なのだ、きっと。
僕が原理原則を大事にしたり、公正に振舞ったりすることは、こういうことを未然に防ぐためである。
言行一致を心掛けていたり、当たり前のことを当たり前に行ったりすることは、日々において何のメリットもないように見える。
むしろ面倒なことであるようにすら見えるだろう。
でも、それは必ず効いてくるのだ。
どこかに負荷がかかっているとガタがくるように、見えない問題をそのままにおくと、必ず大きなしっぺ返しがくる。
今はうまくやりおおせていても、絶対に追いつかれる。
それは肝に銘じておいた方がいい。
借金返済を
何となく上手くいった施策も、その暗部には暗部たる要因が必ず潜んでいる。
メリットとデメリットは二律背反である。
それを比較衡量して、今はこちらの方が良いと判断して、物事を進めていく。
でも、どこかのタイミングにはその判断を修正しなければならない。
借金を返すように、チームが上手くいっている時には、悪いところにも手をつけなければならないのだ。
できるだけその問題が大きくなる前に、先手を打っておく。
そうやって行きつ戻りつしながらチームを進めていく。
良いことばかりなんてことはない。
自分に嘘をつき続けてはいけない。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
逃げ切ったもん勝ち、みたいな考え方が僕は嫌いです。
ある種の世代はそれこそ「逃げ切り世代」みたいな考え方をする人が多くて、その度に辟易してしまうのですが、こういう人達はそれに加えて無垢なフリ(「そんなこと考えもしなかったよ」)もするので、余計にうんざりしてしまいます。
僕らの世代はきっとそういう人達のツケをこれからも支払っていくのでしょう。
それはそれで仕方ないことだと僕は半ば諦めているのですが、少なくとも次世代にそれを残さないように、それくらいの自制心は持って働いていこうと思っています。
賛同頂けたら幸いです。