言葉を届かせる為には信頼関係が重要だ

アナログなもの、動物的なもの

リモートワーク環境が当たり前になる中で、実感していることが1つある。

それは「1回(リアルで)会っているかどうかによって、内容の進展度合いが大きく変わる」ということだ。

「何を古臭いことを…」という批判もあるのだろうけれど、オンライン空間には体温も匂いもない。

感情の変化も読み取りづらい。

もう少ししたら、そういったバイオデータみたいなものもオンライン上で把握できるようになるのかもしれないが、現状においては不可能だし、それによってコミュニケーションが円滑に進まない、ということが度々起こる。

もちろん業務連絡的な内容であれば、大してこの乖離は問題ではない。

ただ、もう少し「生っぽい」話というか、腹を割った話が必要な時には、1回会っておきたい、というのが本音である。

ここには「アナログ性」みたいなもの、「動物的」なものがあるのではないか、と僕は考えている。

それはメンバーとの関係性においても当てはまる。

今日はそんな話をしていく。

オンラインとオフラインの差とは?

「オンライン上の面談と、オフラインの面談(リアルの面談)の何が違うのだろうか?」

僕はこの1年間度々この問題を考えてきた。

確かに移動時間など、様々な余計なものがある分だけ、リアルな面談というのは手間がかかるし、非効率である。

そして、他社の関係者との面談において先方からリアルな面談を指定されたりすると、「面倒だな。オンラインでよくね?」と思ってしまうのも事実である。

それなのに、重要な話をする時には、無意識に会って話をした方が良いと思ってしまう。

音声と映像だけをやり取りするのであれば、オンラインもオフラインも同じであるはずなのに。

この差は何なのか?

僕がおじさんであるからなのか?

その疑問は消えない。

取り敢えず一回会うという下ごしらえ

このオンラインとオフラインの壁を跳躍する為に、僕は「取り敢えず一回会う」ということを実践している。

もちろんコロナ環境下においては難しい場合もあるけれど、これをやっておくかおかないかで、その後の話の進捗具合が大きく変わるのだ。

この「下ごしらえ」ができていれば、オンライン上でも突っ込んだ話が可能となる。

それは相手との間に信頼関係が(多少なりとも)構築されるからだ、というのが現在時点における僕の仮説である。

もう少し詳しく書いていく。

ノンバーバルコミュニケーションのパターンを把握する

バーバルコミュニケーションノンバーバルコミュニケーション。

コミュニケーションにおいては、非言語によるものが圧倒的に重要で(93%?)、それがオンライン上では把握しづらいというのが現状なのだろう、と僕は考えている。

映像と音声はあっても、そこには微妙なタイムラグがあるし、まだ現実と非現実を錯覚するほどの精度はないのだ。

でもその非言語コミュニケーションは、一度インプットしてあれば、オンライン上で補正要素として使うことができる。

信頼関係というと抽象的であるので、僕はこれをノンバーバルコミュニケーションのパターンを把握する、ということに置き換えて理解するようにしている。

癖を読み取る、と言い換えてもいい。

反応を把握する、と言い換えてもいい。

非言語的な要素を読み取ることで相手が敵でないことを把握する

僕らは太古の昔から対面する相手が敵でないのかを本能的に理解することで生き延びてきたわけだ。

そしてそこにおける重要な要素は非言語的な部分にある。

たぶん言葉が比較的新しいものであるということも関係しているのだろう。

非言語的な要素を読み取ることで、相手の行動パターンを把握して、敵でないということを理解する。

これが信頼関係だ。

そのファーストステップがオンラインでは(まだ)うまくいかないのだ。

だからまず対面しておく。

そこでお互いの非言語コミュニケーションの癖を見せ合っておく

僕はオンライン上でのコミュニケーションのやりづらさとリアルでの面談を咬ませることの重要性をこのように理解している。

大事なのは非言語コミュニケーションである

これはメンバーとの面談においても同じである。

要は、自分が敵ではないということを理解させることが重要である、ということだ。

そしてその為には言語コミュニケーションよりも非言語コミュニケーションを理解してもらう、ということが重要となる。

マネージャーは兎角言葉によって、メンバーとコミュニケーションを取ろうとする。

でも本質的に大事なのは非言語コミュニケーションなのだ。

それが大きな組織になればなるほど、その非言語コミュニケーションを理解する頻度は少なくなってしまう。

お互いの非言語コミュニケーションの理解のことを信頼関係と呼ぶ

僕が1on1を重視しているのはこういう為なのではないか、と最近考えている。

それは面談の内容よりも、お互いの非言語コミュニケーション手法(癖)を理解し合っておくことが本質なのではないか、ということだ。

喜怒哀楽に伴い、マネージャーはどのような反応を見せるのか、そのパターンをメンバーに蓄積させていく行為

それがたぶん信頼関係の構築ということなのだ。

だからそれなりに時間がかかるのだろう。

予想外の行動がないようにすること。

非言語コミュニケーションの共通化。

その上に言語コミュニケーションがあるのだ。

そうなれば言葉も届くようになる。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

非言語コミュニケーションの共通化、というのは自分でも書いていて膝を打つようなアイディアであるような気がしています(たぶんもう既に世にはありふれた話なのでしょうが…)。

アナログな動物である私たちは、お互いの非言語的な癖を把握し合うことで、相手がどのような人物であるのかを把握します。

だからこそ、逆に予想外の反応に遭うと、戸惑ったり不信感を抱いたりするわけです。

その情報量がオンラインでは絶対的に少ない。

それが何となく感じる違和感の正体なのかな、と思っています。

オンラインは便利なシロモノですが、オフラインと同等ではなく、むしろ電話に近いコミュニケーションツールであることを理解しておくことは、相手とのすれ違いを防ぐ意味でも重要な気がしています。

上手に使い分けていきましょう。