話が通じることの大切さ

UnsplashRicardo Gomez Angelが撮影した写真

意思疎通できる(と思われる)こと

マネージャーにとって必要な資質って何ですか、と問われたら、「話が通じること」と最近は答えるようにしている。

というのも、話が通じればその後の方策を練ることができるけれど、話が通じなければその時点で終わってしまうからである。

これは「コミュニケーション能力」とはちょっと違うニュアンスであると僕は思っている。

どちらかというと、「意思疎通」という意味合いの方が強い感じだ。

職場には主義主張やキャリア、性別、年齢、人種、などが異なる、様々な背景を持った人たちが集まっている。

その中で意見の一致をみることは殆どない。

それは別におかしなことでも何でもない。

まあ当たり前の話である。

でも、だからこそ対話を行い、それぞれが許容できる落としどころに持っていくだけの能力がマネージャーには求められる訳である。

そして、その為にはまず「話が通じる」とそれぞれの人たちに思われる必要がある(少なくとも、話が通じないと思われてはいけない)。

今日はそんな話である。

僕は大抵の人と話ができるけれど…

僕は営業経験が長い。

社会人としてのキャリアは全て営業に関するものだ。

そういう意味では、(多少の自惚れを加味しても)ある程度の対人能力があると言っても言い過ぎではないと思う。

ある人と2ラリーくらい言葉を交わせば、その人がどのような考え方をする傾向があるのか、性格的にどのようなものなのか、ということが大体わかる(と思っている)。

それに合わせて、こちらもどのような対応をすればいいのか、どのような言語運用をすればいいのか、ということもわかる(と思っている)。

普段はそれでコミュニケーションは成立する。

でも、時々例外がいる。

どうやっても没交渉というか、ディスコミュニケーションというか、「話が通じない」人がいるのである。

対話とは、相手の存在を尊重すること

もちろん、マネージャークラスにもそのような人は存在する。

そして、(厳しい言い方にはなるが)そのような人はどう頑張ってもマネージャーには向いていないとも思ってしまうのである。

そこにはスキルはあまり関係ない。

単純に話が聞けるかどうか、それはある種先天的なものであるとすら言ってもいいのかもしれない。

「対話」というのは、相手の存在を尊重することであると僕は思う。

こちら側にはこちら側の、相手側には相手側の論理がそれぞれ存在する。

明らかに違うなと思っても、それなりの敬意を払い、とりあえずの理路を聞いてみようと思う。

もちろん、全部聞いたところでその論理に納得できる時とできない時がある。

でも、少なくとも、相手がそのような考えを経て、現在そのように主張しているのだ、ということは理解される。

その上で、どのような合意形成を行ったらいいのかを考える。

「話が通じること」と「合意形成ができること」

そういう意味では、「話が通じること」と「合意形成ができること」はある種別の話である、とも言える。

そして、今回の主題は「話が通じること」の重要性である。

僕の感覚では、現代社会では、どうも「合意形成ができること」の方が大事にされているように思われるのだ。

大事なのはビジネスにどう役立つかで、相手の話がどうであれ(その内容を聞いていなくても)、着地点に持っていく力が求められているような気がしている。

もちろん、その能力は大事だ。

でも、そこには相手への関心の欠如があるように思う。

というか、相手への関心の欠如が大きいほど(相手への関心がなければないほど)、何の呵責もなく、合意形成に持っていけるのではないか、とすら思えてしまうくらいである。

ある種機械的にというか。

無感情的にというか。

合意形成よりも、合意された行動の方が大事

繰り返すが、その能力は大切なものである。

そうでなければ、様々な背景を持った人たちの意見をまとめられず、にっちもさっちも行かなくなることは確かにあるから。

でも、僕が思うのは、そこに辿り着くまでに、その参加者たちが「自分たちの話を聞いてもらった」という実感がなければ、その後の行動に大きな差が出てしまう、ということである。

大事なのは合意形成だけでなく、その後の行動(合意された行動)であるから。

そこに「腹落ち感」がなければ、行動に魂が宿ることはない。

話が通じたと思っていなければ、行動の質が大きく低下する

でも、昨今のビジネス環境では、このことが軽視されているように思うのだ。

合意形成までは一生懸命やるけれど、その後の行動の段になると、関心を失うというか。

ただ、マネジメントを仕事にする人はそれではいけないのだと僕は思う。

「合意形成できること」は必要条件ではあるが、十分条件ではない。

それよりも、「話が通じること」が大事なのだ。

当事者たち(ここには部下も含まれる)がそのように感じていなければ、実際の行動の質が大きく低下するから。

人間は面倒くさい生き物だ

でも、ある程度「賢い」人たちは、この意味がよくわからないように見える。

「合意したのだから、そのように動くでしょ?(仕事だし)」と安易に考えているような気がするのだ。

僕は違うと思う。

人はもっと面倒くさい生き物だ。

そこに手が届かない人は、というかそもそもの関心が向かない人は、マネージャーには向いていない。

まず対話を。

ビジネスはそこからだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

チームを変える為には、部下を腹落ちさせることが大切です。

でも、部下を腹落ちさせるのはなかなか難しい。

そこで考えて頂きたいのが、合意形成を焦らないということです。

これは一見遠回りのように見えますが、腹落ちがない所に身のある行動がないのも事実です。

本文にも書いたように、合意形成できる能力がビジネスにおいて大事なものであることは間違いありません。

ただ、それだけでは不十分です。

話が通じる人であり続けましょう。