少しのサービス精神を
有効ならいいけど…
ある世代以上のマネージャー達と話すと、「もう少しサービス精神があってもいいんじゃないか?」と思うことがある。
もちろん彼らのスキルや能力・経験に比べれば、部下の大半が「どうしようもないレベル」であることはわかる。
そして、そんな部下に対して「上から」行くのもわからないではない(部下との年齢が僕たちの世代よりも離れていることもここには関係しているだろう)。
ただ、それは果たして有効なのだろうか?
僕はリアリストなので、どんな方法であれ、それがチームのパフォーマンスを向上させることに資するなら、それは悪くないものと判断する(もちろん、一定の許容範囲はある)。
そのアプローチ方法によって、部下が「もっと努力しなければならないな」と己を奮い立たせて、チーム全体の体温が上がるなら、そのやり方も「あり」だと思う。
ただ、傍目から見ていると、どうも有効であるようには思われない。
迎合しろ、とまではいかないまでも、もう少しサービス精神があってもいいんじゃないか、なんてことを思ってしまう。
今日はそんな話だ。
権威やプライドよりも成果が大事
マネージャー経験を重ねて思うのは、「降りていくことは必ずしも妥協ではない」ということだ。
多くの偉大なマネージャー達は、「自分のところまで登ってこい!」的なアプローチを取るし、それはたぶんちょっと前の時代までは有効だったのだろうけれど、残念ながら現代においてはそれは有効であるようには思われない。
大事なのは自分の権威やプライドを守ることではなく、成果なのだ。
それなら、多少こちらから歩み寄ることも必要であるように思う。
「何を甘いことを!」と諸先輩方には言われてしまいそうだけれど、別に「手取り足取り引率しろ」ということではなくて、登山の最中にちょっと振り返るとか、立ち止まって声援を贈るとか、そんな程度のサービス精神で構わないと僕は思っている。
僕だって「オレの背中を見ろ! 黙って付いてこい!」的なアプローチに憧れはある。
でもそれでは付いて来られない人がたくさんいる。
それが現実なのだ。
効果検証してる?
これは本当に基本的なことだけれど、挨拶は部下からさせるであるとか、こちらから声掛けはしないであるとか、「昭和のおやじ」的なイメージを引きずりながら仕事をしているマネージャーはとても多い。
別に美学を否定するつもりはない。
大事なのは「効果があるんですか?」という視点だ。
「それって有効なんですか?」という検証だ。
迎合? 手段?
元々の社風や人事異動、入ってくる新入社員の属性やレベル感、などなどよってチームの雰囲気(文化)というのは変わっていく。
そして僕が思うのは、若い世代の構成比率が上がってきたことによって、従来のマネジメント手法が通用しなくなってきている、ということだ。
黙って椅子に座っていたって、そこで待ち構えていたって、部下から声がかかることはない。
思っている以上に、年長者というのは怖いものだ。
そこに地位があると尚更なのだ。
だからこそこちらから(多少は)歩み寄る必要がある。
それは迎合ではなくて、単純に成果を上げる為の手段だ。
有効だからやる。
僕はそんな風に考えている。
ガキには確かに腹が立つけれど
例えば、1on1の面談において、部下の方から殆ど話題を提供しようとしない者は一定数いる。
正直ベースで言うと、こちらもその為にスケジュールをやり繰りしているので、「やりたくないなら(話すことがないなら)やらなくてもいいよ?」と思うことはある。
カネを貰って働いているのに、子供のような態度を取る者(彼らはそのような態度をしていれば、親が何とかしてくれると思って育ってきたのだろう)が一定数いるのが実情だし、正直言って、そういう手合いは相手にしたくないな、と思う。
ガキじゃあるまいし。
でも、こういう時に、今回自分で書いたことを実践するように僕はしている。
こちらから話題を提供したり、愛想を振りまいたり、相手が話しやすい環境を作ろうとする。
それによって何とかその場を維持していく。
物足りないことは腐るほどある。
腹が立つことは死ぬほどある。
でも、それが現実なのだ。
絶望を受け入れる
それこそマネージャーに成りたての頃には、僕はこういうことに対していちいち感情を動かしていた。
「なぜこんなことができないのだ!」「何でこんなレベルの低いことを言ってくるのだ!」と思っていた。
でも、それがエンドレスに繰り返される中で、もうこの状態を受け入れるしかないのだ、と諦めた。
これがデフォルトなのだ、と。
ここから始めるしかないのだ、と。
待っていたって、部下は永遠に登ってくることはない。
子供のように拗ねて、下の方で佇んでいるだけだ。
それをそのままにしておいたら、ただ上の方で待っているだけだったら、成果が上がらず、一緒に停滞してしまうことになる。
それなら何らかの有効な手を打った方がいい。
そして多少のサービス精神を振りまくというのはそこまで労力がかかることでもない。
そうやってチームを運営していくのだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「やる気がない」とか「あいつはなっていない」とか言うマネージャーは多いですし、それを正そうと(正義感を持って)叱る人は多いのですが、それが効果的であるか、ということまで考えている人は少ないように思います。
僕は現実的な人間なので、効果があるのであれば叱ればいい、変わらないのであれば違うアプローチを取るしかない、と考えてしまうのですが、やっぱり僕は変人なのでしょうか?
大事なのはやる気がないように見える奴(なっていない奴)の行動(気持ちではなく)を変えることです。
極論を言えば、気持ちなんて外部からはわからないので、行動だけ変えてくれればいいわけです。
プラグマティックに行きましょう。