パワハラ系(脳筋系)マネージャーにならないために
パワハラ系マネジメント+マイクロマネジメント=こうかはばつぐんだ!
今日のテーマはパワハラ系マネージャーだ。
手早く結果を出すためにはこのスタイルが一番簡単だ。
特に課のメンバーの実力が伴っていない場合には、マイクロマネジメントと組み合わせると効果絶大だ。
日々の行動管理を徹底して、できない担当者は容赦なく吊るしあげる。
人前でも構わず怒鳴り散らす。
直接的な暴力行為まで及ぶことは少ないが、机を叩いたり、椅子を蹴ったり、恫喝したり、とにかくあらゆる方法を使って自分が上であることを誇示しようとする。
部下は言わば奴隷だ。
そしてそんなどうしようもない奴隷たちを仕方なく教化しているかのように喧伝する。
スーパー営業マンがパワハラ系マネージャーになる
この手のマネージャーは結果が出るのでまた厄介だ。
マネージャーの上司も、日々の言動や行動に対して気にはなっているものの、一線は越えていないと判断することが多い。
もしくは、結果が出ているので、黙認していることが多い。
結果、恐怖政治が継続する。
部下の中には精神的に参ってしまうものもいる。
ターゲットを定めて、そのできない社員に集中的に攻撃することで、統制を強めようとするからだ。
実際に会社に来られなくなってしまうものも出てくる。
そんなのお構いなしだ。
そしてこういうパワハラ系マネージャーは実際に優秀であることが多い。
マネージャーになる前はスーパー営業マンで、社内表彰を何度も受けていたりもする。
だから余計に部下の不甲斐なさに腹が立つのだろう。
わからなくはない。
部下を信頼していないから、全ての行動を把握していたいし、自分の思い通りに行動して欲しい。
それが上手くいかないとわかると、自分自身が最前線に出て、営業をすることになる。
その方が手っ取り早いし、実際に数字も上がるからだ。
いつしか、重要な顧客はこのマネージャーの担当顧客となり、その成果も自分の手柄にする。
そして上司にはそれをアピールする。
部下達はサポート役、もっと言えば、雑用係となり下がる。
中には露骨に贔屓される部下も出てくる。
この手のマネージャーは人望がないことは薄々気づいているので、ちょっとでも頼られたり、自分と感覚が合う部下がいると、途端に甘くなりだす。
パワハラ系マネージャーの作り方(材料一覧)
この辺でやめておこうか。
今日のテーマに戻ろう。
こういうパワハラ系マネージャーにならない為にはどうすればいいのか?
結論から言うと、これはなかなか難しい。
チームのメンバーがある程度優秀で、そこそこの結果を出せるのなら、このスタイルを取ることはないだろう。
でも、大抵のチームメンバーはそんなことはなく、実際に結果が出ないことになる。
理想に燃えていたとしても、これが現実だ。
着任当初は人格的なマネージャーも、こうした日々が続いていくと、段々と自信がなくなっていく。
自分のやり方が悪いんじゃないか、と思い始めていく。
上司からもプレッシャーをかけられるようになる。
なんとかしなくてはならない。
この状況を打開しなくてはならない。
そう思い始める。
そうなった時に簡単なのは自分が出張ることだ。
そして、そのやり方で部下にも動いてもらうことだ。
元々がスーパー営業マンだったから、自分が営業すれば、数字が上がる。
色々部下が言っていたことは、言い訳に過ぎないと思い始める。
結局甘えじゃないかと思う。
そうして管理を強めていく。
パワハラ系マネージャーの出来上がりだ。
理想論を胸に抱えながら
正直に言って、この誘惑に抗うことはとても難しい。
特に結果が出ていない時には。実際僕自身こうしたいと何度も思った。
結果が出ることがわかりきっているからだ。
では、なぜこれをやらないのか?
- 短期間では結果が出るが、限界もあるから。
- 部下は確実に疲弊するし、辞めるものも出てくるから。
- 自分がいなくなれば、パフォーマンスは元に戻るから。
- 顧客も疲弊するから。
- 何もよりも仕事がつまらなくなるから。
こんなところだろうか。
僕は組織は上に立つ者の器以上にはならないと思っている。
マネージャーがこういうスタンスで仕事をすると、そのチームはその程度のパフォーマンスに留まることになる。
少なくとも、予想外の結果は出ない。
マネージャーの仕事の醍醐味はメンバーが予想外のパフォーマンスを上げる時だ。
マジかよ、って思える瞬間だ。
僕はこう言い切りたいと思う。
それは甘い考えなのかもしれない。
理想論に過ぎないのかもしれない。
でも僕は自分で証明してきた。
こういったパワハラ系マネージャーよりも結果を出してきた。
それは僕のささやかな自慢だ。
究極的にはマネジメントスタイルというのは千差万別で、どれが優れているとかどれが劣っているとか、そういうことではないと思う。
サッカーの監督でもそうだけれど、厳格なチームが良い場合と、自由なチームが良い場合とそれは本当に色々ある。
勝てば官軍とも言えるのかもしれない。
でも、と僕は思う。
その時期を振り返った時に、そういう仕事のやり方をしていたと考えるのは幸せなことだろうかと。
この日々の停滞感と疲労感の正体は何なのだろうかと。
脳筋スタイルの弊害
大きなことを言うと、日本社会の低生産性の原因はマネジメントの機能不全だと僕は思っている。
日本人は総じて有能だけれど、上位層は総じて無能だ。
ここにはもちろん僕自身も含まれている。
そしてその無能性は仕事ができるとかできないとかではなく、組織全体を活性化させる手法を知らないんじゃないかということだ。
組織不全や不祥事は結局のところ、こういった失敗を認めない、許容できない文化から生じているのではないか。
そんなことを考えてみたりもする。
パワハラ系マネージャーよりも結果を出すために
結局は価値観の問題なのかもしれない。
ビジネスはあくまでもビジネスなので、そのプロセスなんてどうでもいいのかもしれない。
だからこそ結果が重要なのだ。
理想論を並べても結果が出ていなければ、戯言に過ぎなくなる。
遠回りだけれど、大きな成果が出る手法。
それを僕は書き続けていきたい。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
編集後記
「世界最強の軍隊はアメリカ人の将軍・ドイツ人の将校・日本人の兵だ」というジョークがあります。
本当にアメリカ人の将軍やドイツ人の将校が優秀なのかはわかりませんが、少なくとも日本人はこの分野における能力が大きく劣っているような気がしています。
現場の人達は総じて一生懸命かつ真面目に取り組んでいるのに、ビジョンがないからその努力がおかしな方向に向いてしまっている、そんな感じがしています。
パワハラ系マネージャー(別名脳筋系マネージャー)は至る所に存在していて本当にうんざりしますが、そこを変えていかないと日本企業がこれから世界と戦っていくのは厳しいのだろうなあ、とマネージャーの端くれとして僕は考えています。
想像力や知恵や数字や統計や論理やビジョン。
そういうもので勝負できるマネージャーになりたい、そんな夢想を抱えながら僕は今日も仕事をしています。