クセしかない部下のマネジメント
クセ強部下の扱い方
僕の下にはクセが強い部下ばかりが何故か集まってくる。
人事部に「ああウエノさんね。あの人のところなら大丈夫でしょ!」みたいな情報が回っているのかと思うくらい、本当に変わった部下ばかりが異動してくる(もしくは世の中というのは、クセ強めの人で成り立っているのかもしれない)。
経験がない時には、そういう人達の扱い方がわからなくて、振り回されてばかりだったのだけれど、流石に7年もマネージャーをやっていると、「ああ、今回はこのパターンね。了解っす」みたいなノリで対応できるようになってきた。
ただそれまでにはそれなりの紆余曲折があったのも事実である。
今日はそんな経験も踏まえた、「クセ強部下」の対応方法について書いていこうと思う。
それでは始めていこう。
遠くに柵がある広い牧場
まず大事なスタンスとして、「正解・不正解でマネジメントしない」ことを挙げておく。
ある程度のバッファーを持たせた運用をすることが大事である。
僕はよく広い牧場を例えとして使うのだけれど、柵の範囲なら好きなだけ自由にしてもらって構わないというスタンスで彼(彼女)らと接する。
お腹が空いたら草食って貰っていいし、天気がいいなら昼寝したっていいし、仲間と一緒に思う存分駆け回ってもらって構わない。
ただ、柵は越えないでね、という感じである。
そしてある部下に言わせると、僕の牧場は「かなり広い」そうである。
想像してもらえればわかると思うけれど、広い牧場では、1人1人(1頭1頭)の所作の違いはわからない。
遠目から見れば、大した違いはない。
このイメージが大事である。
粗探しにならないように
これを「正解・不正解」でマネジメントしてしまうと大変だ。
殆どが不正解だからである。
そしてそれを見つけるたび、イライラすることになる。
メンバー同士でも、「何であいつはOKなのか?」という話が出てきたりして、ギスギスしてくるようになる。
なので、「ルールはあるけれど、あまり厳格に適用しなくても済む」くらいの運用が良いと思う。
成果は求めるよ?
これは自由放任とは違う。
結果を求めるからである。
僕は牧場管理人として、彼(彼女)らを自由に行動させるけれど、その収穫高というのは厳格に管理する。
管理するというか、成果をきちんと求める。
ただそれまでのプロセスは自由にしていい。
そんな感じである。
プロセスは管理できない
クセの強い人は、プロセスを管理しようとしても管理できない(だからクセが強いのだ)。
こちらの思い通りに動いて欲しくても、そうはならない。
「だったら、好きにしてくれ」というのが僕のスタンスである。
「でも、成果はきちんと測るよ」というのが僕のマネジメント手法である。
朝牧場に放して、夕方迎えに行くだけの簡単なお仕事
いつも読んでくださっている人ならわかると思うけれど、こうやってマネジメントをしていると、マネージャーは暇になる。
僕の仕事は、朝彼(彼女)らを牧場に放し、夕方迎えに行く、それだけである。
もちろん日中に色々なことが起こったり(柵に頭をぶつけて怪我をしたり、日向で寝すぎて熱中症になっちゃったり)はする。
それは、その都度対応すればいいのだ。
それ以外は自由にさせておく。
これがクセが強い部下には有効である。
「クセが強い=やる気がない」訳ではない
「いやいや、そんなに自由にさせたら、遊んじゃって仕事なんてしませんよ」
そんな反論が聞こえてくる。
確かに一理ある。
でも、「やる気がない」のと「クセが強い」のは違うと僕は思っている。
クセが強い人というのは、自分なりの仕事へのこだわりを持っており、それを尊重してあげると、一生懸命働いてくれる人が多いと僕は思っている。
ただ多くの組織人にとっては、そのやり方はルールから逸脱したものに見えるので、認められないまま仕事をすることになる。
結果、彼(彼女)らは不貞腐れて、やる気がないように見える。
ここを明確に見極める必要がある。
独自性を尊重する
元々やる気がない人はもうどうしようもない。
いつも言うけれど、仕事は遊びではない。
学校ではないし、部活でもない。
プロとして対価を貰ってやっているものなので、それに見合わない人には退場を願うしかない(そのやり方はまたどこかの機会に)。
でもクセが強い人はちょっと違う。
会社に認められない独自のやり方があって、それが叶わずやる気を失っているだけなのだ。
マネージャーが話せる奴であることを理解してもらう
もちろん、本当に変な人もたくさんいる。
それでも、経験上、「マネージャーが話せる人である」ということを理解してもらえると、その種の問題行動はだいぶ軽減することができるような気がする。
それでも抑制できないなら(柵を超えたら)、徹底的に叱るのである。
オレがダメって言う時は、本当にダメな時
マネージャーには「親分性」が必要だ。
四の五の言わず、「おう、わかった」という器の広さが必要である。
それによって、様々なクセを持つ人達が一目置くようになる。
もちろん、実績があれば尚のこと良い。
話を聞いて貰いやすくなるからだ。
それができれば、クセ強部下のマネジメントも何とかできるようになる。
「オレがダメと言う時は本当にダメ」ということを真に理解してもらえた時、彼(彼女)らは力を発揮してくれるのである。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
僕は異質な人が好きです。
昔から変な人と仲良くなることが多いです。
優等生だった僕が、ヤンキーたちと仲良くしていることを担任に不思議がられたことが数多くあるくらいです。
でも残念ながら、そういう人は定型的なマネジメントには合わないことが多い。
だから僕のところにそういう人が集められるのかもしれません。
異質な人の、異質性を面白がっていきましょう。