基礎と応用

UnsplashÜmit Yıldırımが撮影した写真

仕事にも「プレー原則」はある

仕事において、応用ばかりやろうとする人達によく出会う。

これは何もマネージャー層に限ったことではない。

新人にも中堅にも、この種の人は多くいる。

仕事には基本的な「型」みたいなものがあって、まずはそれを習得することが大事である。

日本的に言うなら「守破離」、サッカー的に言うなら「プレー原則」というものがある。

複雑系の状況下では、ベースとなる動きというものをまず考え、そこから発展させることが重要なのに、どうもその基本的な部分を(本質的な意味では)分かっていない人が多いような気がするのだ。

今日はそんなことを書いてみようと思う。

基礎がないのになぜ応用ばかりしてしまうのか?

基礎がないのにいきなり応用はできない。

これにNoと言う人はいない(少ない)と思う。

でも、実態は違う。

基礎をすっ飛ばして、応用をやってしまう人が続出しているのだ。

これはなぜなのか?

僕が思うに、「そもそも基礎とは何なのか?」がわかっていない人が多いからである。

基礎を知らなければ、基礎的な動きはできない。

当たり前の話である。

でも、ここに危機感を覚えている人はそんなに多くない。

なぜなぜ分析

1つ質問をしてみる。

多くのマネージャーは、部下が自立していないと嘆いている。

では、なぜあなたの部下は自立していないのですか?

こう問われたら、何と答えるだろうか?

僕はこう考えている。

仕事を体系的に理解していないから、である。

ではなぜ部下は仕事を体系的に理解していないのか?

それは上司が仕事を体系的に理解していないから、である。

仕事のプレー原則が体系化されていないのでは?

更にWhyを続けていく。

ではなぜ上司は仕事を体系的に理解していないのか?

仕事のプレー原則が体系化されていないから、である。

ある事象が起きた時に最初に考えるべきことが何なのかが体系化されておらず、個々人のアドリブに任されているからである。

ここに大きな問題がある。

というか、僕はマネージャーなので、ここに大きな問題意識を持っている。

マネジメントのプレー原則とは?

多くのマネージャーは、訳知り顔で「自称マネジメント」を行っている。

もちろん僕だってそこに含まれているのかもしれない。

では、考えてみよう。

マネジメントのプレー原則って何なのだろうか?

それをマネージャーになった時に全員が習得すれば、基礎的な考え方がある程度統一されるのではないか?

僕は最近そんなことを考えている。

守破離

日本には「守破離」という考え方がある。

まずは師匠の型を忠実に「守り」、身に付ける。

そこから、他の流派の良い所などを取り入れて、発展させる(「破る」)。

そして、そこから「離れて」、自分なりのやり方を編み出す。

ここから考えると、多くのマネージャーは「守」ができていないのに、「破」なり「離」をやってしまっているような気がするのだ。

そもそものマネジメントの基礎ができていないのに、謎の応用をやってしまって、悦に入っている。

大した成果も出ていないのに。

これが日本のマネジメントの現状であるような気がしている(ウチの会社だけか?)。

内よりも外。上よりも下。

では、マネジメントのプレー原則とは何なのだろうか?

僕が考えるのは次の2点である。

内よりも外。

上よりも下。

これだけである。

顔を上げた時にどこを見るか?

サッカーでもそうであるが、ボールを保持した瞬間にどこを見るかというのはとても重要である。

頭で考えるよりも早い刹那の瞬間に、まず何をするか?

それを体に叩き込んでおく必要がある。

内部の論理よりも、外部の顧客を

同じようなことをマネジメントで考えるなら、僕はまず「外を見る」ということを挙げたいと思う。

内側の(組織内の)論理は取り敢えず考えなくていい。

まず外側(顧客等)のことを考える。

それが真に価値を持つものなのか、それに資する判断をしているのか、を問う。

それがマネジメントのプレー原則の1つ目である。

顔を上げた瞬間に、外にボールを展開する。

サイドから攻める。

それが重要である。

上司よりも、部下を

次に上よりも下。

これは「上司を見るのではなく、部下を見る」ということである。

ミドルマネージャーは、兎角上と下に挟まれて、判断がブレてしまうことが多い。

もちろんその時々によって正解は異なるのだけれど、プレー原則を定めるとするなら、まず下を見ることを挙げておきたいと思う。

その判断は部下が納得してくれるかどうか?

部下を腹落ちさせて、チームを駆動させることができるか?

これが長い目で見た時のチームの成果を大きく左右することになるのだ。

サッカー的な例えだと、ルックアップすることは基本のキなので、これはグラウンダーを選択するということに置き換えることにしようと思う。

外と下

以上を纏めると、ウエノ流マネジメントの基本原則は、「外へのグラウンダーのパス」これである。

守から攻に局面が変わった時に、すべきことは外にグラウンダーのパスを出すことだ。

もちろん、「じゃあボールを保持できる時はどうするのか?」とか「相手が外を固めていたら?」とか色々な展開はあると思う。

それはまた別の機会に書こうと思う。

ただ、大事なのは基本となるプレー原則を身に付けることなのだ。

それができれば、判断が定まってくる。

判断が定まれば、安定したマネジメントができるようになる。

応用をするのはそれからなのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

複雑系の物事を理解するには、複雑なまま理解するしかない。

これがベースだとは思います。

変に二分化したり、シンプルにすることは間違ったアプローチであるそれでも「プレー原則」みたいなものは必要なのでは? と思ったのが今回の文章を書いた理由です。

基礎を身に付けて、その後、自分なりのマネジメントを構築していきましょう。