マネジメントは飽きとの戦い
飽きの問題
ある程度マネジメントの仕事が軌道に乗ってくると、「飽き」の問題が顔を出す。
そして、この「飽き」の問題は定期的に訪れる。
それにどのように向き合っていくか。
そんなことを今日は書いてみようと思う。
僕は飽きてるぜ
現在、僕はマネジメントに飽きている。
「いやいや、じゃあ読む意味ないじゃないか!」と青筋を立てる方もいらっしゃると思うけれど、少し落ち着いて聞いて欲しい。
というのも、マネジメントに飽きているということは、マネジメントが上手くいっているということだからだ。
マネージャーの1日があっという間に終わるなら、たぶんヤバい
担当者時代とマネージャーが大きく異なるのは、この点である。
担当者は忙しい方がいい。
目の前の仕事に夢中で取り組み、慌ただしく日々が過ぎていく、というのはとても大事なことである。
一方、マネージャーが忙しかったり、あっという間に1日が終わったり、仕事に前のめりになっていたりする状態というのは、あまり望ましくないのだ。
それはなぜか?
マネージャーが手をかける必要性が生じているからである。
チームにとってマネージャーが必要な状態になってしまっているからである。
チームにマネージャーは不要なのだ。
意味がわからない?
では、もう少し詳しく書いていく。
不確定要素を取り除くと定常状態に近づく=飽きる
マネジメントにおいて大事なのは、「自動化」であると僕は思っている。
どのような状況においても、勝手に成果が上がるような仕組みを構築すること。
もう少し正確に表現するなら、成果が上がる確率が高い状態を維持すること、がマネジメントという仕事の本質である。
そこにはあまり大きな変動がない方がいい。
不確定要素や、サプライズがあると、確率というのは変動してしまうからだ。
だから、できるだけ定常状態が望ましい。
でも、定常状態であるということは、変化がない(少ない)ことと同義で、変化がなければ僕たちは飽きてくる。
それが今日のテーマである。
現在の新しい仕事=未来の必要のない仕事
そして飽きてくると、何か新しいことをやりたくなってしまうのが、人間という生き物なのである。
新しいチームを任されたり、チームの視察に訪れたりする時に、まず感じるのは「やり過ぎ」ということである。
多くのマネージャーは、自分の色を出す為に、そして飽きを回避する為に、「新しいこと」をやりたがる。
そしてそれを「良いもの」だと思っている。
その累積がチームの「タスク」になるのだけれど、そんなことは全く頭にのぼらず、とにかく新しいことにまい進しようとする。
当初はいいだろう。
暫くしても効果はあるかもしれない。
でも、3か月、6か月、1年経った時でも、その「新しいこと」は新鮮味を持っているだろうか?
いや、新鮮味がなくても、チームとして継続してやるだけの「強度」を持っているだろうか?
僕の経験上、それは殆どない。
大体が半年以内には飽きて、また次の「新しいこと」を始めてしまうのだ。
そうやって仕事量が増えていく。
「必要のない仕事」が堆積していってしまうのだ。
そもそも増やさないことが大事
僕は「マネジメントとは削減することだ」とこのブログ内で言い続けている。
でも、もしかしたらそれよりも大事なことは、「そもそも増やさない」ことなのかもしれない、と最近は思い始めている。
部屋の片づけを想像してもらえばわかるけれど、モノを捨てるのにはそれなりに体力(と気力)がいる。
でも、モノを買わなければ、当たり前の話であるが、部屋にモノは増えない。
それなら必要なモノだけを買うようにしたらいい。
刺激と誘惑
ただ、毎日の生活は単調である。
メディアはそんな日々に「刺激を与える」新しいモノをどんどん提示してくる。
「そうなのかな?」と僕らは誘惑され、必要でもないモノを、必須かもしれないと思って買ってしまう。
でも、買った瞬間、そしてモノが届いた瞬間には、そのモノへの興味は既に薄れている。
たぶんマネジメントもそういうことなのだろう。
飽きない為だけに新しいことをやっていないか?
停滞からの打開。
改革。
そのような種類の言葉。
それは間違ってはいないけれど、中身は吟味した方がいい。
そして、自分が「飽きない」ように新しいことをしていないか、は点検した方がいい。
それが今日僕が言いたいことである。
陳腐化は避けられない
チームでやらなければならないことは、少なければ少ないほど効率が上がると僕は考えている。
どんなに良い戦略や戦術であっても、時代の変化やメンバーの変化、そして僕たち自身のマインドの変化によって、だんだんとその良さは薄れていく。
もちろん本当に良いものであれば、ある程度の強度を保ちながら続けることができるのだけれど、そこまでのものはなかなか生み出せない。
それなら、新しいことを付加するのではなく、今ある現状を点検することに力を注いだ方がいい。
飽きる仕事をポジティブに受け止めよう
そこに無駄はないか。
不必要な仕事はないか。
日々の地味なチューニング。
もちろん、それは「飽きる」仕事ではある。
でも、長い目で見た場合、チームのパフォーマンスを上げるのは、そのようなちょっとした改善なのだ。
少なくとも自分が飽きないようにする為の、小手先の戦術ではない。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「暇そう=サボっている」ではありません。
あらゆることを自動化したり、効率化したりすると、そこに暇が生まれます。
暇な状態が続くと、僕たちは簡単に飽きます。
そして、しょうもない新しいことをやりたくなります。
それをグッと堪えること。
それが今回僕が言いたかったことです。
「やらないこと」も大事な戦略です。
暇そうに仕事をしていきましょう。