イベントを上手に活用する
業務上の指摘すら難しい時代
部下に指摘しづらい時代である。
書いていて情けなくなるけれど、多くのマネージャーには共感していただけるのではないだろうか?
何かを言えばすぐにハラスメントだと言われる昨今の状況において、仮に業務上の正しい指摘であっても糾弾されてしまうので、マネージャーはできるだけ当たり障りのないことを言ってその場を何とか凌いでいく。
やや誇張しているきらいはあるけれど、実態はこんな感じだろうと僕は思っている。
もちろん、そうは言っても、指摘しなければならないことは指摘しなければならないし、厳しく叱る時は𠮟らなくてはならない。
そんな時に、「イベントを活用する」といいですよ、というのが今日の話である。
矛先を第三者に肩代わりしてもらう、というか。
それでは始めていこう。
問題をダイレクトに指摘できる=鈍感なだけ?
何らかの問題がチームに生じている、とあなたが感じたとする。
その時、それをダイレクトに指摘することができますか?
これを聞いて「何を軟弱な!」と憤る方は、まだまだ現代においてマネジメントを行う面倒くささを十分に理解していない(もしくはめちゃくちゃ鈍感である)ように思われる。
それくらい我々マネージャーは言葉に気を付けている。
そこまで考える必要はないのではないか、というくらい言葉に気を付けながら仕事をしている。
当然、やりづらい。
というか、やりづらさしかない。
シュリンクしたまま仕事をしていかざるを得ない
でも、どんなに正しいことを言っても、そしてそれが十分な客観性を担保していたとしても、面倒事になりかねないのが、現代という時代である。
自分の上司も組織も弱腰で、結局のところ守ってくれるはずもないので、自分の身は自分で守らなければならない。
結果として、僕たちはシュリンクしたまま、仕事を続けていくことになる。
でも、それが果たしてチームにとって良いことなのか、と煩悶している。
そういう板挟みみたいな状態が現代のミドルマネージャーの「あるある」ではないか、と僕は思っている。
より大きくなった仕返し
もちろん、意を決して指摘する場合もある。
でも、往々にして、その問題は(その場では)沈静化するかもしれないけれど、別のところでそれよりも大きな問題となって跳ね返ってくるのだ。
より大きくなった仕返し、というか。
そういうことを繰り返していくと、「何だか割に合わないな…」と思うようになっていく。
自分なりの正義感に過ぎないのではないか、と思うようにもなる。
黙っていた方が楽
「黙っていた方が楽」というのは、とても消極的な話であるし、そんなことを口外してはいけないのだろうけれど、実態はこんな感じなのである。
「そこまでして言う必要ある?」
気持ちは痛いほどわかる。
そして、同時に「でも、このままで良い訳がないんだよな…」と思っていることも。
さて。
そんな人たちに僕からのアドバイスである。
「イベントを活用すると、上手に指摘することができますよ?」
意味が分からないと思うので、もう少し詳しく書いていく。
ちょっと泳がせるのも一つの手
例えば、何らかの問題が生じる可能性が高い、危険だな、とあなたが思っているとする。
でも、まだ問題は生じていない。
本当ならば、その状態の時に指摘しておいて、問題が生じる可能性を未然に防いでおきたい、というところである。
もちろん、本当にヤバい事態になる可能性がある場合はここで芽を摘んでおく。
ただ、そこまででもない場合は、ちょっと泳がせる、というのも手だと僕は思うのだ。
程度の問題ではある。
しかしながら、甘噛みする程度には指摘しておく、というのも重要なことである。
ただ、ガブっと行くとハラスメントだと言われてしまう可能性もなくはない時、僕は何らかの事態が生じた後に指摘することが多い。
失敗が起きてから対処する
これは失敗を許容するというか、実際に「食らわせる」ということにも関係してくる。
痛い目を見てもらう、というか。
もちろん自分たちのチームが実害を被る場合だけでなく、他チームでの失敗を教訓として指摘することも多い。
そうやって、「コト」が起きた時に対応することで、チームを軌道修正していくのである。
嫌らしい言い方をすると、厳しい指摘をすることの正当性を持たせる、というか。
反感、反論の矛先を自分ではないものの方に向けさせる、というか。
適切な挫折を
これは「躾」みたいなものに近いと思う。
親が未然に防ぐことは、良いことでもある反面、悪いことでもあると僕は考えている。
もちろん、それがクリティカルなものであるとマズいのだけれど、そうでない失敗であれば、経験させるということも大事だと僕は思っている。
適切な挫折、というか。
それがないまま大人になってしまうと、色々な不都合が生じてくるから。
これはチームにとっても同様である。
何も問題が起きないチームは健全であるとは言えない。
ただ、あまりにも大きな問題が起きてしまうと、瓦解してしまう可能性がある。
だから、小さな失敗を繰り返させるのだ。
そしてその度に、「適切な叱り」を入れ、チームに緊張感を持たせ、軌道修正していく。
ガツンと言いたいのはやまやまですが…
やりづらい時代ではある。
書いていても、そんなの直接言えば一発で終わりだろ、とも思わなくもない。
でも、それができるなら苦労しないよな、とも思うのである。
特にメンバーとの関係性がうまく行っていない場合には、今回のようなイベントを通じて指摘していくことが大事なのだ。
参考になれば幸いである。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
失敗を利用する。
現代のマネジメントにおいて必要なスキルです。
何となく釈然としない部分はあるのですが、自分の身を守りながらチームに規律をもたらすためにはイベントを活用することが有用です。
上手に失敗して(させて)いきましょう。