雑用をしよう

階層性を排除する

日々の仕事の中には明らかな「雑用」がある。

誰にでもできるけれど、それなりに面倒な仕事。でもしなくてはならない仕事。

備品の補充とか、書類のコピーとかその類のものだ。

マネージャー業務にはこういった雑用がついて回る。

優先順位は低い仕事なので、新人とか若手に任せてしまいたくなる。面倒だし。

でも面倒な仕事だからこそマネージャーがすべきなのだ、というのが今日のテーマだ。

「いやいや、でもそこまで手が回らないですよ」

その気持ちはとてもよくわかる。

だから当然全てを自分でやるのではなく、新人と一緒にやる、というスタンスで取り組むことが大事だ。

この辺のニュアンスは難しいのだけれど、雑務は下の人がやるものだ、という風潮を作ってしまうと、仕事にも重要な仕事とそうでない仕事があって、上の人はそれをやらなくてもいいのだ、という雰囲気がチームに生まれる。

そうすると、体育会系みたいな感じになって、仕事もできないのに経験年数だけで偉そうにする先輩が出てくる。

変な階層性みたいなものが生まれてしまう。

僕はこれはできるだけ防いだ方が良いと思う。

ただ手が空いている奴がやればいい、というシンプルな形にしておいた方がチームは円滑に回る。

その為にはマネージャーもその輪に加わる必要がある。

可変的な組織形態の方が円滑に仕事は回る

当たり前だけれど、マネージャーも例外ではない。

全体のパフォーマンスを上げることが最も大事なことで、その為には誰が何をやるのかを予め決めていかない方が良い、と僕は考えている。

その時々によって最適な業務配分が変わる方が、応用が利く、という感じかもしれない。

これはマネジメントに関する考え方にもよると思うのだけれど、僕は担当者にはできるだけ本業に体力を割いて欲しいと考えている。

本業というのは営業課であれば営業に体力を割くという意味だ。

その為にはできるだけそれ以外の仕事の負担感を取り除く必要がある。

その代わり営業での成果はきちんと問うようにする。

だからといって、営業だけやっていればよい、ということではなくて、自分の仕事が一段落したら、サポートにも回って、チームのパフォーマンスを上げて欲しいということだ。

もちろん逆も然りで、雑用だけやっていればよい、ということでもない。

「雑用を言い訳にさせない」ように、やり過ぎもやらな過ぎもないようにする。

その為には率先してマネージャーが雑用を行うようにする。

新人と一緒に雑用をする

体育会系的なチームに着任すると、新人が先輩に顎で使われていることがよくある。

そして新人もその仕事を面白くないものだと思っている。

そういう場合僕は新人に近寄っていって一緒にその仕事をやることが多い。

例えば、会議を行うために新人1人が全員分の会議資料を並べておく、というような仕事だ。

僕が会議室に入っていくと、大抵の場合新人は何かやってしまったか、もしくは何か忘れてしまったか、そういう恐れと警戒が混ざった顔で僕を見る。

部屋の隅に重なっている資料を並べ始めると、恐縮したりする。

きっと前のマネージャーはしなかったのだろう、と僕は思う。

何回かそういったことを繰り返していくと、新人はだんだんと心を開いてくる。

なかなか職場でバカみたいなことは言いづらいので、そういう時に下らないことを話したりする。

以前と比べると「飲み会+本音を話す」というツールが使いづらい時代になっているので、こういう機会は結構大事だ。

マネージャーも人間だし、普段はこんな下らないことを考えているということは職場だけの関係ではなかなか伝わりづらい。

特に新人の場合はその傾向が強い。

だから必要以上に先輩やマネージャーに距離も取る

その上、雑用ばかりやらされるので、当然仕事も面白くなくなる。

いわゆる「今どきの若者たち」に対する思いも僕はあるけれど、彼らは彼らなりにきちんとした仕事をしたいと考えているのだ。

でもそういう雑用ばかりの日々が続くと、その思いが腐っていく。

ましてや先輩方が大して成果を出していなかったりすると、その違和感はますます大きくなる。

世代が若くなればなるほど、こういう傾向は強くなっていっているような感じがする。

それを甘えだと断罪するのはとても簡単だけれど、僕は最低限彼らの気持ちを理解したいと思う。

そしてそんなに簡単に成果が上がるほど簡単じゃないぞ、という厳しさもわかってほしいと思っている。

なので、だんだん自分が雑用をやる比率を上げていって、新人にはなるべく営業してもらうようにする。

そうすると不思議なことにその新人は営業も雑用もするようになる。

雑用をする際にも文句が少なくなる。

停滞したチームを変える為にはまず新人を巻き込む

これは本当に些末なことだけれど、結構大事なことだ。

停滞しているチームを変える為には中堅以上よりも新人を仕込む方が簡単だ。

新人が生き生きと仕事をし出すとチームは少しずつ変わっていく。

新人が職場で的外れなことを言っても笑って受け入れられる雰囲気を作るためにはこういう細かいことが非常に大事だ。

そのうちにこういった新人が先輩たちよりも成果を出したりする。

そうやってチームは活性化していく。

今は違うのかもしれないけれど、昔サッカー部だった僕は、1年生の時に先輩方のボール拾いばかりやらされていたのが納得できなかった。

そして1年生はボールを使った練習をしてはいけない、という謎のルールもあった。

ひたすら走らされて、雑用ばかりやらされていた。

なぜ下手なシュートをしている先輩のボールを拾わなければならないのか、そしてサッカー部なのにどうしてボールを使えないのか、不思議でならなかった。

たぶんオレの方が上手いのに、そう思っていた。

こういう変な上下関係みたいなものが生産性やパフォーマンスの向上を妨げているのだと思う。

いつも言う話で恐縮ではあるが、試合で良いプレーをすれば先輩も後輩もない。

上手い奴が試合に出ればよい。

それだけのことだ。

そんなことを考えながら僕は今日もボールペンを補充したりする。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


編集後記

マネージャーはコストでしかない、ということを最近よく考えます。

費用対効果で考えたら、マネージャーは何か付加価値を生むわけではないし、何でこんなに偉そうにしているのだろうか、と時々我に返ってそんなことを思います。

そんな自分でもチームに貢献できるのはこういう雑用くらいなんだろうな、というのが今回のテーマです。

お猪口くらいの度量しかない僕でも、率先して雑用をしていると、部下の中から慕ってくれる人が出てきたりします。

別に誰かに見せる為にやっているわけではないのですが、結果的にそういう姿を部下は見ていたりするものだということが、だんだんと僕にもわかってきました。

汚れ仕事を率先してやれ、というような壮大な話ではありませんが、結構大事だと思って今回は書いてみました。

参考になれば幸いです。

(まあ、時々「何でオレがこんなことやらなきゃいけないんだ」とイライラすることも事実なんですけどね…笑)