理想をお花畑化しない為に必要なこと

UnsplashAmy Shamblenが撮影した写真

空語化する前に成果を出そう

ビジョン。パーパス。

コンサル会社がそそのかしているであろうこの種の言葉が巷間で持て囃されるにつれて、理想と現実の乖離が大きくなっているような気がしている。

理想は結構。

大義も結構。

でも、それは一歩間違えればお花畑化してしまう。

空語として、誰にも真剣に捉えられないものとなってしまう。

それを防ぐにはどうしたらいいか?

答えは簡単だ。

成果を出すのである。

それもできるだけ早めに。

今日はそんなことを書いていく。

なにそれ、おいしいの?

ビジョンやパーパスで飯は食えない。

現場の人間たちが感じるのはこの種の感覚である。

ましてや、会社の末端に属する僕らのようなチームであれば、その感覚は更に強いものとなる。

「なにそれ、おいしいの?」

それが僕が現場の営業マネージャーとしてメンバーと接する中で、彼(彼女)らから感じるイメージである。

滋味と旨味

ビジョンやパーパスをそのままの状態で伝えたとして、何らかの有用性が生まれることはない。

もちろん、「マネージャーは会社における管理職であるから、会社が掲げるビジョンやパーパスをメンバーに浸透させることは重要な仕事である」という言説に、積極的に賛成とは言わないまでも、「まあそうだよね」とは思うくらいの常識は僕だって持ち合わせている。

ただ、その伝え方みたいなものには気を付けた方がいい、というのが今日の話に繋がってくる。

卑近な言い方を許容して頂けるなら、そのビジョンやパーパスが彼(彼女)らの生活にとって旨みがあることを、できるだけ早い段階で理解してもらうことが重要である、ということである。

「なにそれ、おいしいの?」という疑問(反論)に対して、それが本当に美味しいことを説明する行為というか。

そしてその為には成果が必要であるというか。

理想の賞味期限(と消費期限)

これは何も会社が掲げるような大きなものではなくても同様である。

チーム単位で、例えばマネージャーが掲げる戦略を浸透させる上でも重要なことである。

理想を言うのは構わない。

それが戦略にとって必要でないとも思わない。

ただ、その賞味期限は守った方がいい。

理想には美味しく食べられる期間があるから(もしかしたら「消費」期限もあるのかもしれない)。

具体的な成果。

成果までは至らなくても、何かが良い方向に変わっているような感覚。

これをいかに早い段階でメンバーに実感してもらうかが、その理想を叶えられるかどうかの分岐点となる。

当たり前と言えば当たり前だけど…

何を当たり前のことを。

そうお考えの方も多数いると思う。

確かに当たり前の話なのだ。

でも、これを実現するのはそれなりに難易度が高いものであるのも事実なのである。

では具体的に説明する。

小さく、慣れ親しんだ味に

ビジョンやパーパスの大きさにもよるけれど、僕がよくやるのは、そのビジョンやパーパスを細分化して小さく(食べやすく)する、ということである。

そのような高尚なものを食べたことがない現場のメンバーが、手に取って食べやすくなるくらいの大きさにする。

そして、馴染みのある調味料で味付けもする。

どちらかというと、分かり易い味というか、やや濃い目の味付けにする。

それを食べてもらう。

できれば美味しさを実感してもらう、少なくとも食べられるものであることを体感してもらう。

これがお花畑化しない為の手順である。

咀嚼し、消化できるものに

それは「比喩みたいなもの」と言えるかもしれない。

ビジョンやパーパスというものを、分かり易い手近なものに変える行為。

それらを咀嚼しやすくする行為。

それがマネージャーの仕事であるような気がしている。

難しい言葉、綺麗過ぎる言葉は敬遠される

残念ながら、難しい言葉は伝わらない。

綺麗過ぎる言葉も現実感を伴って響くことはない。

それらをどのようなニュアンスで伝えるか?

そして具体的な成果に結びつけるか?

理想を言語化し、実践する

時には以前書いた「突き抜けた綺麗事」も必要だろう。

会社から与えられた言葉ではなく、それをマネージャーなりに解釈し、翻訳した言葉を話す行為。

それを実践する姿勢の提示。

これがなければ理想は理想として留まってしまう。

上手い飯が食えればOK!

メンバーが考えていることは、自分の売上とそれに対する対価の向上、それに尽きると言っても過言ではないと思う。

それ以上のことは、彼(彼女)らの生活にはあまり関係ないことである。

その両者の接続をどうやってやるか?

でも、もっと上手い飯を食う方法だってあるぜ?

お題目を唱えるだけではダメで、でも、まるっきり無視するのも違う。

どのようにビジョンやパーパスを解釈すれば、それを援用すれば、自分の売上が更に上がるようになるのか?

その為にはどのようなマインドが必要となるのか?

それを小さく嚙み砕くのである。

「お客様の為に」というのは簡単。

でも、「お客様の為」ってどういうことなのだろうか、と真剣に考える人は殆どいない。

そしてそれを実践できる人は0に近い。

成果を。

ビジョンやパーパスなんて綺麗事でしょ?

現実はそんなに甘くないよ。

そういった訳知り顔も違うのだ。

それを地に足のついた言葉に置き換え、実際に目の前で実践し、高い成果を残すこと。

圧倒的な違いを見せつけること。

それが理想をお花畑化しない為に必要なことである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

理想を成果に結びつける為の回路。

それを考えたり、実践したりできる人は思いのほか多くない。

僕はこのブログを立ち上げた当初から、そのような問題意識を持っています。

大事なのはこの両者の接続です。

そしてそれをやるのがマネージャーの仕事です。

現実主義者理想主義者の中間を走り抜けていきましょう。