移籍市場とマネジメント

UnsplashPeter Glaserが撮影した写真

マネジメントによって、活躍度合いが変わってしまうことはよくあることだ

また新しいシーズンが始まった(これがアップされる頃にはだいぶ時間が経ってしまっているが…)。

サッカーにおける開幕戦のこの雰囲気は、何度経験しても良いものである。

新しい選手はどのように使われるのだろうか(そもそも試合に出るのだろうか)、かつてのあの選手は新天地で活躍しているだろうか、今度の監督はどのような戦術を使うのか、などなど、興味は尽きない。

まだまだコンディション調整不足が否めない雰囲気も、また一興である。

これからどのように仕上がっていくのか、スタメンはどのように固まっていくのかなど、想像も広がり、楽しみは尽きないのだ。

さて、サッカーの話ばかりを書いていても仕方がないので、それをマネジメントに応用してみようと思う。

いつも思うことだけれど、サッカー選手(とそのキャリア)というのは、チームや監督、戦術などの外部要因に大きく左右される。

フィットするチームでは活躍できる選手も、監督が変わったり、違うチームに行ったりすると、てんでダメになってしまうことはザラにある。

それは我々レベルの仕事においても同様なのではないか?

マネジメントがうまくいっていないことによって、燻ぶってしまっているメンバーがいる可能性があるのではないか?

今日はそんなことを書いていこうと思う。

サッカーも仕事も

サッカー選手のキャリア志向として、ビッグクラブに行くこと(目指すこと)があると思う。

でも、一方で、コンスタントに試合出場ができるかどうか、というのも大事な要素である。

そして、もちろんオファーがなければならない

そんな中で、選手たちはチームを決めていく。

その後の展開は様々である。

移籍市場においてその選手を熱望していた監督がシーズン開幕直後で解任になって、全く使われなくなる者。

開幕当初はベンチメンバーであったものの、徐々に頭角を現し、終盤には絶対的なレギュラーとなっている者。

戦術変更によって、使われるようになったり、そうでなくなったりする者。

本当に色々である。

その度に僕が思うのは、仕事においてもこういうことというのは起こり得るし、実際に起こっているのだろうな、ということである。

環境次第でパフォーマンスは大きく変わる

僕自身もそうであるが、ある程度クセのある人間というのは、環境によってそのパフォーマンスが大きく左右されてしまう。

自由にやらせてもらえば本領を発揮できるが、雁字搦めにされると良さが全く消えてしまう、それが僕である。

若い頃はその感じがわからずにただ藻掻いていたけれど、現在はふてぶてしくもなって「オレの使い方下手やなあ! もう少しうまく使えや!」と思ってしまうのだ。

それはたぶんチームのメンバーにおいても同様である。

ある仕事では全く能力が発揮できていないかもしれないけれど、違う仕事をやらせたらその能力が開花することがある(逆も然り)。

また、マネージャーが変わると途端に生き生きと仕事をするようになることがある(逆も然り)。

スーパー・プレイヤーは別として、多くの人というのは、その環境によって、出せるパフォーマンスが大きく変わってしまうのだ。

昔と今のマネジメントの違い

そして、以前であれば、「オレの言うようにやれ!」というマネジメント手法が通用していたと思うのだけれど、それは現代では上手くいかない。

昔は自分の描く戦略(戦術)にチームのメンバーを合わせる、というやり方ができたのだが、今はそのチームのメンバーに合った戦略(戦術)で何とかやり繰りするしかないのである。

ということを考えると、現代のマネジメントというのは、「そのメンバーに合った個人戦術」+「そのメンバーで構成されたチームに合ったチーム戦術」=「戦略」を如何に構築するかということになるのだと思う。

メンバーに合った個人戦術+チーム戦術

さて、ではメンバーに合った個人戦術・チーム戦術はどのようにしたら構築できるのか?

メンバーをよく見るしかない、というのが僕の回答である。

良い面だけを見るのではなく、悪い面も見極めた上で、何をやらせるのか?

そのメンバーが集まった集団に、どのような方向付けをするのか?

そうやって戦略を策定していくのだ。

相対的に得意な分野に特化する(歪になることを許容する)

もう少し具体的に言うなら、メンバーには相対的に得意な分野に特化してもらう。

それを累積する。

当然ながら、チーム全体としては歪な形(バランスが悪く)になる。

その穴をどのように考えるか?

埋めに行くのか、ある程度放置しても構わないレベルなのか。

それを見極めながら、更に強み方面に向かうことを検討する。

戦略とは捨てること

その過程では、できないものはできない、と割り切ることも必要である。

いつも言う話で恐縮だが、戦略とは捨てることでもあるからだ。

そうやって何とか戦えるチームを構築する。

後は、メンバーに伸び伸びとやってもらう環境を維持すればいい。

市場価値が上がるメンバーに育成しよう

今回のテーマに即して言うなら、移籍市場(転職市場)において、評価額が上がるようなメンバーを育成するのが我々の仕事なのである。

もちろん、殆どのメンバーはどこに行ってもできるというほど器用ではないだろうから、その使い方を含めた取扱説明書も添付する。

このメンバーはこうやって使うとその能力を発揮できますよ、という証明書もつけておく。

そうすれば、それなりに質の高いメンバーを作りながら、途中入れ替えがあっても、戦い続けられるチームを作れるはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

チーム作りをする際には、軸となるメンバー(エース)がいるかいないかで、まずその方向性が変わってくると僕は思っています。

しかしながら、多くの場合、エースはいない。

その中でどんなチームを構築するかがマネージャーの腕の見せ所です。

その際に大事なことは、「やりたいサッカー」よりも「できるサッカー」を優先させること、そしてその「できるサッカー」をする中で、そこにいるメンバーの能力を如何に引き出すか、ということです。

メンバーはちょっとした環境の違いで大きく化けることがあります。

よく観察していきましょう。