シャープな判断をする為には?
偉そうで大変恐縮ですが…
マネージャーとして仕事をするようになってから、自分の判断力に自信が持てるようになってきた。
こう書くと何だか偉そうだけれど、実際にそうなのだから仕方がない。
というか、今までそんなことを考えたこともなかったし、判断力が優れているなんて思ったこともなかったのだけれど、周りを見渡してみると「何でこんな簡単なことが決断できないの?」と思ってしまうことが増えたので、それなりに経験を積み、シャープな判断ができるようになってきたのだろうと自負している(人事評価や360度評価のような考課においても、僕の長所は「判断に優れている」「俯瞰して物事を見られる」ということのようだ)。
さて。
判断をシャープにする為にはどうしたらいいのだろうか?
僕が思う結論は、我欲を捨てる、ということである。
意味がわからないと思うので以下詳しく話していく。
事実と解釈と意見を分けて状況を把握できるか
まず前提として、「事実と解釈と意見」を分けて状況を把握することがきちんとできているか、を確かめる必要がある。
これは以前にも書いたことであるので、詳しくはそちらを参照して頂きたいのだけれど、まずこの時点で大半のマネージャーは脱落する。
部下に適切に報告させるようにトレーニングも必要だし、仮にそれが部下にできなくても、それらを分けて理解できるよう訓練を重ねなければならない。
マジで状況把握をできない奴が多すぎる
判断の前提となるのは、(当たり前の話であるが)適切な状況の把握である。
これを間違えると、もうどうにもならない。
でも、これがなかなか難しいようである。
判断ができないという人から多くの相談を受けるが、その原因の大半はここにあるような気さえするくらい、この状況把握が不得手な人は本当に多い。
それもそれが原因であるとすら気づいていない、というか。
きちんと話を聞く
これは「きちんと話を聞けていない」ことに起因している。
きちんと話を聞く、というのはある種のスキルであって、ただ生活をしているだけで身につくものではない。
特にビジネスのような、関係者が複数いて、状況が複雑に絡み合っているような状況であれば、その紐を解くように話を聞く能力が必ず求められる。
それができているかをまずは自問自答してみて欲しい。
純粋概念としての最適解を模索する
次は、ゴールはどこか、を探ることである。
これは最適解を先にイメージしてから、落とし所はどの辺りになるかを考えていく(後退していく)ような感じである。
自分が考える最適解が、参加者全員の合意を得られるとは限らない。
その際にどの程度なら後退できるのか、後退した場合どのようなメリットやデメリットがあるのか、を想定しておく。
そしてこのゴールを考える際に重要なことが、冒頭に書いた「我欲を捨てる」ということである。
こうなったら嬉しいなという感情とか、こうあって欲しいという願望は一切捨てて、またこうなったら困るなとか、こうなって欲しくないというような気持からも逃れて、純粋にどうなったら当事者にとって最適なのかを考えること。
また、同時に、可能性の考量についてもできるだけ捨象すること。
まずは純粋概念としての最適解を模索するのだ。
ここにシャープな判断をする秘訣がある。
全てを捨て、俯瞰して見る
僕からすれば、多くの人はこれを同時進行的にやってしまっているような気がしている。
願望や可能性、不安や自尊心、自己顕示欲やプライド、損得、その他諸々を同時並行で考えてしまっていて、純粋にどうなったら最適なんだっけ、ということがそもそも考えられていないような感じなのだ。
これではシャープな判断をすることなんてできない。
自分がどう評価されようが、されまいが、そんなことはどうでもいいのである。
そこに参画する1人の当事者としての視点を持ち、俯瞰からその状況を把握するよう心掛ける。
すると、これがゴールだな、ということがわかってくる。
後は実現可能性を探るだけだ。
実現可能性を考慮する
手元のリソースやキャパシティ、当事者間の関係性、相手にとっての損得など、どの程度後退すれば、その純粋概念としての最適解に近いゴールに辿り着けるかを模索する。
繰り返しになるが、ここで最初に行った「事実と解釈と意見」を分けて状況を把握しておいたことが役に立つ。
客観的状況から最適解への一本道。
それを示すことがシャープな判断である。
シャープな判断はいつだってシンプルだ
もちろん、ここには痛みを伴う場合がある。
一本道の途中には、大きな岩があったり、落とし穴があったりすることがある。
それによって、脱落者や死傷者が出る場合だってある。
その際にも当初の判断を貫けるか?
ここにも我欲を捨てるということが関係してくる。
「こんなことを言ったら嫌われるかもしれない」とか、「こういう処分をすると自分の評価に関わってくるかもしれない」というような私利私欲は一切捨てる。
本当に必要なことは何なのか、そしてそれを阻害している要因は何であり、それに対処する為にはどうすればいいのか、だけを考えればいいのだ。
シャープな判断はいつだってシンプルである。
余計な付帯物を排除すること。
そこには自分の雑念も含まれている。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今日の話はマネージャーなら結構大事なものなのではないか、と自分では思っています。
というのも、マネジメントとは判断をすることだ、ということを、覚悟と共に理解している人は本当に少ないからです。
プレイングマネージャーがクソだと思うのは、判断という極限のリスクから逃げて、プレイをすることで誤魔化そうとする、その狡さにあります。
不確証な状況でする判断ほど怖いものはないぜ?
そこから逃げない時、対峙出来た時、マネージャーはマネージャーと名乗っていいのだと僕は思っています。
我欲を捨て、一切の私利私欲を捨て、シャープな判断をしていきましょう。