切れ者に人が付いて来ないのは、相手を軽く見ていることがダダ洩れしているからではないか?

UnsplashJames Leeが撮影した写真

タイトルだけ読んでもOK!

長いタイトルである。

そして、言いたいことを全て言ってしまったような気もしている。

そうなのだ。

今回言いたいことはタイトルの通りで、多くの「切れ者」と呼ばれる人は、あまりマネジメントに向いていないのではないか、ということである。

その理由は、相手を軽く見ていること、見くびっていることが、(本人は上手に隠せていると思っているものの)バレてしまっているからである、と僕は考えている。

裏を返せば、相手を軽く見ていてもいい、ということにもなる。

ただ、それが漏れてはいけない。

もっと言えば、それが漏れているなら、その人は切れ者ではない、ということにもなるのかもしれない。

今日はそんな話である。

White Lie

上手に部下を騙すこと。

最近はこれが僕の中の1つのテーマとなっている。

騙すというと聞こえが悪いけれど、ここでの用法はホワイト・ライ(white lie)的な意味合いが殆どである。

知らなくていいことは知らせないでいい、というか、むしろそれが優しさであるというか。

本来のホワイト・ライの意味よりも、もっと白さを追求したような嘘。

それがマネジメントにおいては必要であるような気がしている。

分かり易さの提示(実際にそうかどうかは別として)

と言っても、積極的にそれを行う必要はない。

ある局面、それもどちらかと言えばネガティブな局面において、ガチ感を出すのではなく、気楽にやっているように見せること。

また、マネージャーはこんな人であるというイメージを、分かり易いものとして提示し、それが真実であると信じ込ませること。

本当(本質)と思わせる(勘違いさせる)ような嘘(というか、嘘というのは本来そういうものなのかもしれない)。

それがマネジメントにおいては重要である。

部下にエネルギーを付与する為の嘘

これはビジョンの提示と言い換えてもいいかもしれない。

何らかの示唆を与えるというか、気づきをもたらすというか、そういう意味合いも含まれている。

要は、部下が前向きに働く為に必要なエネルギーを付与するような嘘とでもいうか。

それが必ずしも本当でなくても構わないというか。

そのようなものが部下に力を与え、チームに纏まりをもたらし、結果としてマネージャーへの信頼にも繋がるのではないか。

僕はそのように考えている。

矢印の方向性

ここにはある種の「見くびり」が含まれている。

どうせ部下にはバレないだろう、という考えが含まれている。

そういう意味では、僕は部下を軽く見ているし、見くびっていると言えなくもない。

ただその軽視や見くびりは、彼(彼女)らにとって必ずしもネガティブなことではないような気がしている。

というのも、その矢印は自分の方を向いていないからである。

一方、冒頭に挙げたような「切れ者」はこの種の軽視や見くびりを自分の為に使っている(本人はそうは意識していないだろうけれど)。

そういう意味では、それが誰の為に行われているのか、ということが重要だと言えるのかもしれない。

そしてその種の話において、部下の嗅覚は鋭い、ということも言い添えておこうと思う。

部下の嗅覚を舐めてはいけない

僕が9年ほど部下という生き物と仕事をしてきて思うのは、(時間はかかるけれど)本質を見抜く能力はそれなりにある、ということである。

どんなに格好いいことを言っていても、優しさを振り撒いていても、それが本心から行われているものなのか、そうでないものなのか、彼(彼女)らは確実に嗅ぎ分けていく。

でも、「切れ者」と呼ばれるような人は、このような(動物的な)嗅覚を舐めてかかっていて、どうせバレないだろうと思っているような気がするのだ。

そういう意味では、今日のタイトルは設定からしておかしくて、ダダ洩れしているかどうかということよりも、その漏れたものの性質によって部下が付いてくるかどうかが決まる、ということなのかもしれない。

それが保身に基づいていたり、出世欲に塗れていたり、そういう要素がちょっとでも入っていると、彼(彼女)らが懐いてくることはなくなる。

もちろん、会社員であるので、面従腹背というか、従ったフリはするだろうけれど、本当に苦しい局面において力を貸してくれることはなくなる。

そのような信頼。

それがあるかどうかで、マネジメントの質は大きく変わるのではないだろうか。

主食と副食

結局のところ、部下の体温を高めておくテンションを維持しておく機嫌を良くしておくそれがマネジメントにおける全てではないか、と思うことが僕にはある。

あらゆることは副菜に過ぎなくて、主食はやっぱりそういうことなのだろうな、と思う時が僕にはある。

今日の話もそういうカテゴリーの内容なのだろう。

信頼を

ベースの信頼感。

それは部下への信頼があってこそ(双方向の信頼があってこそ)、成り立つものだ。

僕は部下を信頼している。

舐めてはいるけれど、軽視はしているけれど、見くびってもいるけれど、信頼はしている。

それが重要なのでは?

僕はそのように思うのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

部下の動物性(たとえば嗅覚)。

僕はそれが大好きです。

というか、それを信頼し、幾度となくそれに助けられてきたように思います。

僕たちマネージャーは、自分の仕事を採点してもらう機会が殆どありません。

それが正解なのか不正解なのか、わからないまま、五里霧中の中を進んでいます。

でも、時々、部下からその示唆を貰えることがあります。

僕はそれを拠り所に、今でも何とかマネジメントという(クソみたいな)仕事を続けています。

上手に騙しながら、自分さえも飲み込みながら、軽やかに仕事をしていきましょう。