アイディアを出す人と乗っかる人

UnsplashCJ Dayritが撮影した写真

アイディアの芽を考えられる人は殆どいない

今日はマネジメントの話の中でも、戦略策定に関する話をしようと思っている。

そして、戦略策定においては、視点の変更というか、違った角度から現状を眺めてみる、という行為が必要であると僕は思っている。

というのも、戦略策定が必要だと感じるのは、それも強く感じるのは、現状に何らかの問題があり、それを改善しなければならないというミッションが背景にあるだろうからである。

そのような戦略策定と、実際の行動と、その検証(PDCAサイクルみたいなもの)。

それがマネジメントのベースとなる。

ただ、9年ほどマネージャーという仕事をやってきて思うのが、この戦略策定におけるアイディア、もっと言えばアイディアの芽のようなものを考えられる人は殆どいない、ということである。

でも、本人にはその自覚はない。

タダ乗りする人というか、さも自分が考えたかのような顔をする人ばかり。

さて。

あなたはどちらのタイプだろうか?

そしてどうなりたいだろうか?

今日はそんな話である。

素人が考える企画について

僕は企画畑の人間ではない。

営業の人間である。

でも、営業の人間だって、企画っぽい仕事はそれなりにある。

だから、以下の話はあくまでも営業の人間が企画というものをどのように捉え、実行しているか、という素人目線のものとなる。

そこをまずご理解頂きたい。

その上で僕が思うのは、企画というのは、大上段に構えるのではなく、ちょっとした視点の変更をもたらすものが大事で、それがあれば結構上手くいく、ということである。

でも、その変更をもたらすものは、内容的にクリティカルなものでなければならない。

本質を捉え、目から鱗を落とし、(少しだけ)その後の行動が変わるような見方の提示。

それが企画の本質なのではないか、と僕は考えている。

「企画を出そう!」と力んでも出るものでもない

何も大きく振りかぶる必要はない。

セットポジションから、適切なコースに、それなりのスピードの球を投げればいいのである(スピードよりも適切なコースというのがミソだ)。

ただ、多くの人にはそれは結構難しいことのようである。

アイディアを出す際には、主観と客観、具象と抽象を行きつ戻りつしながら、エッセンシャルなものに到達するまで煮詰めていくことが大事である、と僕は考えている。

それは机の上でウンウン唸れば出てくるものではない。

そして解は必ずしも日々の仕事の延長線上にあるものでもない。

ある程度自分という枠組みから離れ、俯瞰的に物事を見る必要だってある。

ただそうは言っても、目の前に仕事はある。

繰り返しになるが、僕は企画の人間ではないので、日々の営業という仕事をやりながら、そのようなことを同時並行で考えなければならないのである。

それをどのように行うか?

一人対話と部下のテンションの観察

僕は書き出すということをよくやる。

それも疑問文を書いて、それに回答するという形をよく取る。

「一人対話」のようなものだ。

現状を分析した結果、起こる問い、それに仮説を立て、回答するということを繰り返していく。

それがある程度形になってきたら、それを基に部下にぶつけてみる。

すると、それなりの反応がある。

その反応を見ながら(言葉よりもテンションを重視する。なぜなら、上司のアイディアに面と向かってダメだという部下は滅多にいないからだ)、修正を行う。

大体この辺で、「これだ!」というアイディアの方向性が浮かんでくる。

それを実現可能性も考慮しながら、企画化していく。

このような流れである。

0を1にする能力

と言っても、そんなに簡単な話ではない。

アイディアというのはタダではない。

よく言われる話であるが、0から1にするのと、1を10にするのでは、違う能力が求められる。

そして、0から1を生む能力というのは、結構希少であると僕は感じるのだ。

と、このように書くと、0→1を何かの発明や大発見のように捉える人がいる。

いざ自分が企画を任された時に、そのようなことが大事であると捉える人がいる。

それは(上記したように)ちょっと違う、と僕は思っている。

新しい何か(something new)を作るのではなく、有り合わせの材料の中から違う視点を提示するのが0→1の本質である。

でも、これを勘違いする人(アイディアに乗っかる人)は、「既存のものをただ組み合わせただけだろ?」「そんなの誰だってできるだろ?」と思うようである。

じゃあ、お前がやってみろよ。

「コロンブスの卵」は誰だって思いつく?

失礼。言葉が乱れてしまった。

いや、でもそのくらいの気持ちなのだ。

いくら既存のものを組み合わせると言っても、見方を変えるのはそんなに簡単なことではない。

「コロンブスの卵」はいまや誰だって知っているし、誰だって再現できる。

でも、「そんなの誰だって思いつくだろ?」と言う人は流石にいないだろう。

僕が思う企画(アイディア)というのはそういうものである。

そして、それが僕がいつも言う「戦略」のキモとなるのだ。

これが見つかれば、後のことはそんなに難しくはない。

巡航速度で飛べるように、細部を調整していけばいいだけである。

でも、それは企画があってからこそ成り立つものでもある。

それを忘れてはならないのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

良いアイディアはシンプルなものです。

でも、シンプルであるがゆえに、誰も思いつきません。

そして、シンプルであるので、割と軽く見られます。

多くの人は出来もしないのに。

良い企画を考えることは、マネジメントの仕事内容を簡単にすることに繋がります。

戦略策定に意識を注いでいきましょう。