カネ(だけ)の話になったら終わり

UnsplashAlexander Greyが撮影した写真

二言目にはカネの話ばかり

僕は成果が大事と常々言っている。

でも、その成果がカネ(だけ)を追求した結果もたらされたものであるとするなら、それはやっぱり違うのではないかと思っている。

というのも、最近この「カネカネ」言う人にエンカウントすることが増えてきたように感じるからである。

二言目にはカネの話。

まあ、わからないではない。

ただ、何とも卑しい感じがするのだ。

もちろん、成果は欲しい。

それを追求することも悪いことではない。

ただ、あまりにもそれが露骨過ぎると、「流石にどうなんだ?」と僕は思ってしまう。

もっと言えば、カネへの最短距離を走ること、走ろうとすること、は必ずしも成果に繋がるとは限らない、ということでもある。

一見回り道とも思えるような方向に進むことで、多大な成果が得られることを、それも銭金の話ではなく、もう少し高尚な話になることを、多くの人は忘れてしまったのだろうか?

今日はそんな青臭い話である。

自称凄腕ばかり…

僕は営業経験が長い。

プレイヤーとして、それなりに成果を上げてきた自負もある。

だから、手合わせをすれば、大体の実力がわかる。

ただ、最近は「これは!」という人と出会うことが殆どない。

むしろ「カネの話しかしない人」ばかりに会っているような印象である。

そして、その人自身は「凄腕営業マン」だと思っているような感じというか。

三流の三流による三流の為の…

僕は自分が主体になっている営業マンなんていうものは三流だと思っている。

三流の奴は三流の話しかしない。

結果、三流の成果しか挙げられない。

でも、この種の人が増えてくると、それが何か普通のことというか、普遍的なもののように聞こえてくるから不思議である。

三流同士の相対評価。

どんぐりの背比べ。

何の意味がある?

お客様第一!

言葉がだいぶ汚くなってしまった。

でも、本当にそう思うのだ。

結局のところ、相手(この場合はお客様)のことを真に考えていないから、成果が上がらないのである。

彼(彼女)らはそれを否定するだろう。

「私はお客様のことを第一に考えています」と。

恥を知れよ。

僕はそう思ってしまう。

スキーム競争は悪手

様々なスキーム。

営業の手法にはテクニカルな部分もあって、知識や知恵によってお客様の課題を解決するという側面が少なからずある。

そして、銭金の話をする奴はこのスキームを一番に持ち出しがちである。

なんなら、スキームさえ良ければ、客はそれを必ずやるだろうとすら考えているというか。

僕はそれを悪手だと思う。

というのは、一旦そこに入ってしまうと、スキーム競争になってしまうからだ。

もっと言えば、価格競争にも陥ってしまうからである。

カネの道に入ると、出て来られなくなる

カネの話をすれば、お客様の関心もカネに向かう。

より安い提案、コスパの良い提案が最上である、という構造に入っていってしまう。

もちろん、価格は重要なファクターである。

でも、そこで戦うのは得策ではない。

そして、一旦そこに入ったら最後、もう出ることは出来ないのである。

話すな。聴け。

これは「話す」と「聴く」ということをよくわかっていないと起きる現象である。

営業マンは話したがる。

自分の知識や知恵、そこから捻りだしたスキームを披瀝したがる。

でも、それは聴いてから行うべきものである。

それも浅くではなく、深く聴いてから行うべきものである。

提案に想いが載らないなら、魂が入っていないなら、そんなものは聴くに値しない。

自分のことしか考えていない提案カネのことしか考えていない提案に、動かされる顧客は存在しない。

三流の営業マン同士のダンピング競争。

くそくらえだ。

自分本位の話は違う

それはマネジメントにおいても同様である。

マネージャーは自分のことを話したがる。

様々な理論やそれこそスキームを実践したがる。

それこそ駆け出しの頃の僕のように。

でも、それは間違っている。

というか、自分本位になっているとするなら、やっぱり順番が違う。

話のポイントに対して、的確な助言を行う(それだけ)

まず大事なのは部下の話を聴くことだ。

もちろん、その話というのは的を射ないことが多い。

でも、辛抱強く聴き続ける。

すると、いつしかそのポイントがわかってくる。

そのポイントに対して、的確な助言を行う。

何でも効く薬? 怪しくね?

それは医者による問診と処方のようなものだ。

問診せずして、「よく効く薬ですよ」と言って処方されたとして、納得する患者がいるだろうか?

冗談みたいな話だけれど、僕たちはよくこのようなことをやってしまっている。

そして、その薬の利益率のことばかり考えている。

結局は自分の得の為だろう?

確かにそこには患者に快復して欲しいという思いが含まれてはいる。

それは成果と言えるものではある。

でも、それよりも、その部下が快復することによって、自分が得をしたいというか、名声を得たいというか、そのような邪な想いが先行しているのではないか?

僕はそんな風に思ってしまうのだ。

安泰。安泰。

頭の良い人たちによるテクニカルな話

僕からすれば机上の空論に過ぎないような話。

彼(彼女)らに人が付いて来ないのは、そういうことである。

結局のところ、自分の利得しか考えていないことが漏れ出てしまっているのだ。

それはバレている。

でも、きっと彼(彼女)らが気付くことは一生ない。

となると、まだまだ僕の仕事はなくなりそうにないということだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「めちゃくちゃ儲けたいなら、お客様のことを誠心誠意考えるしかない」

二律背反みたいな話ですが、僕はそのように考えています。

というか、大体のデキる営業マンはこのような感覚を持って仕事をしているはずです。

僕はある時期から、成約するかどうかに興味がなくなってしまいました。

というのは、成約するかどうかはお客様が決める話であって、僕がどうにかできるものではないからです。

僕にできることは、ベストな提案を考えるだけ。

そう割り切れるようになると、不思議と成果が(尋常じゃないくらい)上がってきます。

打算なく、正面からいい仕事をしていきましょう。