腹割って話そうぜ
小手先ナシ。腹割って話すしかない。
マネジメントにおいてつくづく大事だと実感するのが、部下に腹落ちをさせることである。
でも、これはそう簡単にはできない。
会社にはたくさんの建前があるから。
そして、マネージャーはその建前を実現すべく動かなければならない局面がたくさんあるから。
そんな中で、マネージャーの言葉を部下に届け、彼(彼女)らを腹落ちさせる為にはどのようにしたらいいのだろうか?
僕が9年以上マネジメントという仕事をやってきて思うのは、「腹を割って話す」、これ一択である。
それも一回だけではなく、何回も行い、そのような機会を増やしていく。
すると、いつしかそれなりの確率で、自分の言葉が部下に真っすぐ届き、意図に沿った動きが実現できるようになる。
今日はそんな話である。
部下の話だけを聴く時間を設ける
そもそもの話として、マネージャーは部下と話をする時間が少なすぎる。
これはどのマネージャーを見ていても大体そうである。
ただ、マネージャー自身がそれを問題意識として持っているかどうかを問われると、そうでもないのではないか、というのが僕の感想である。
そして、部下にそれを直接問うたとしても、「いや、別に、マネージャーと話したい訳でもないですし…」と答えられるのが関の山だろう。
でも、たとえそうであったとしても、部下と話す時間は設けた方がいい。
それも1対1で、その人だけの話を聴く時間を、定期的に設けた方がいい。
僕が何か1つマネジメントという仕事において残さなければならないものを上げろと言われるなら、1on1である、と答えるであろうくらい、それは重要なものである。
深めの話をする
では、そこでどのような話をするのか?
大抵の場合、僕は雑談をしている。
もちろん、話のきっかけというか、定例的な主題としては、「日々の業績の確認」と「案件についての相談」があるのだけれど、それはどちらかというと名目に過ぎなくて、そこからどんどん話が脱線していく、というのが実際の所である。
そして、毎回とまでは言えないけれど、それなりの頻度で、話が更に奥地に入っていくことがある。
ディープな話題とまではいかなくても、結構な深さの話になることがある。
そこで腹を割った話をする。
それが結構重要なのではないかと僕は思っている。
建前と本音
マネージャーはたくさんの建前を言わなければならない。
それは僕だって同様である。
できるだけ本音ベースの発言を心掛けている僕でさえ、会社という組織の中で働いている以上、それも管理職という役職に就いている以上、それなりの数の建前を言わなければならないというのが現実である。
また、そのような建前に基づいて部下に動いてもらわなければならないことも日常的に起こる。
でも、同時に、建前だけでは、部下の行動に魂がこもることはない。
「それっぽい動き」に留まるだけだ。
更に、これが続くと、それも建前に濃淡を付けず、どの話の中でも同じような行動を求めるようになると、部下の熱量は劇的に下がり、行動の質が目に見えて落ちてくる。
これを如何にして担保するか?
そこがマネジメントにおいて難しい所である。
「本質的な評価をする」というのは、現実的には結構難しい
もちろん、本来的には、会社自体が本質的な仕事を要求し、その本質的な仕事に対しての成果によって評価をすべきであるとは僕も思うけれど、残念ながら必ずしもそうではない、そして、近い将来もすぐそうなるとは思えない、というのが現実である。
では、そのような現実に対して、何もしなくていいのか(何もできないのか)というとそんなことはない。
そこで大事なのが、マネージャーが部下と腹を割って話すことである。
部下は冷めているから
これは前回書いたKPIに対して、実質的な内容を求めることにも関係してくる。
多くの部下は、KPIが空疎なものであることを見抜いている。
そして、手っ取り早くKPIの数値を上げるような行動をしがちになる。
そこには「真の意味」や「本質的な価値」なんてものは関係ない。
「どうせあんた達マネージャーはKPIの達成度合いで最終的には我々を評価するんでしょ?」と言うような(冷めた)考え方。
それはあながち間違っていない。
ただ、日頃からマネージャーが部下と腹を割って話ができていると、この行動を抑制することができる。
もちろん、全部ではない。
あくまでも効果が及ぶのは1部だけである。
ただ、そうであっても、その動きには雲泥の差が生じる。
そしてそれこそが重要なことであると僕は思うのだ。
キレイゴトを実現する為に
「いい仕事をしよう」なんていうのはキレイゴトである。
別にいい仕事をしなくたって、会社がいい仕事だと定めたKPIの数値を上げればいいんでしょ、という考え方は、個人の行動基準として決して間違っているとは言えない。
というか、むしろ自分でいい仕事だって言っているのは、全く客観性がないし、ただの自己満足でしょ? という考え方だってある訳だ。
そのような中で、どうやったら部下に本質的な仕事をしてもらうことができるのか?
「定期的に腹を割る機会を設け、それを愚直に実行していくしかない」
僕はそう考えている。
というか、それしかないだろう?
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
「マネジメントとは対話である」
そんなことを考えています。
結局のところ、部下に動いてもらわなければ仕事にならない訳で、その部下の行動の質をいかに上げながら、質を維持するかということが我々の仕事において重要な訳です。
でも、そう簡単に部下は動いてくれない。
だからこそ対話が必要なのです。
下らないことも含めて、腹を割って話していきましょう。