職場の人と合わなくてもマネジメントはできる
大抵の問題は人間関係から生じている
マネジメントを9年ほどやって辿り着いた境地(という程でもないが…)が今日のタイトルである「職場の人と合わなくてもマネジメントはできる」ということである。
というか、これは「職場の人と合った方が良い」「合わせなければならない」というような考え方へのアンチテーゼとも言える。
僕は後輩や同僚のマネージャーからマネジメントについて相談を受けることがあるけれど、彼(彼女)らからの相談内容は、総じて「部下と合わないがどうしたらよいか?」ということに収斂されるような気がしている(もちろん細部は異なる)。
まあ気持ちはわからなくはない。
部下と合った方が、相性が良い方が、仕事はし易いだろう。
でも、部下と合わなくてもマネジメントはできる。
もっと言えば、合う合わないという次元でマネジメントという仕事をしている内は一人前とは言えない。
今日はそんなことを書いていこうと思う。
人間関係が良いことは良いことだ?
人間関係。
相性。
仕事をしていると、必ずぶち当たるのがこのような話(問題?)である。
そして、そこでは「関係性や相性が良いことが良い」というか「良くすべきだ」というような考え方が前提とされているような気がしている。
僕はここに疑問を持っている。
というか、昔の僕は「確かにね」と首肯していたような気がするけれど、今の僕はそうでもない。
「別に人間関係が良くなくても、相性が悪くても、仕事はできる」
そんな風に思うのだ。
「悪い」か「ちょっと悪い」か「だいぶ悪い」
これは何も捻くれて言っている訳ではない。
もちろん、僕だって人間関係が良いに越したことはないと思っている。
でも、9年間の経験を経て思うのは、「人間関係が良い」なんてことは滅多なことでは起こり得ないという残酷な現実である。
その期間の大半は「悪い」か、「ちょっと悪い」か、「だいぶ悪い」のどれかであった。
そして、そんな状態であっても、マネジメントという仕事はできるし、それなりの成果だって出せる。
そういう意味では、マネジメントに人間関係(や相性)は関係ないとも言えなくもない。
そう思うのである。
言うべきことを言わなければならないのがマネジメントの仕事
若い人を中心に、人とコトを荒立てたくない人、できるだけ穏便に済ませたい人が増えている印象を僕は持っている。
そしてこのような人たちは、できれば良好な関係性を築きたい(また自分はそれができるはずだ)と思っているような気がしている。
まあ気持ちはわかる。
「そうなればいいね」とも思う。
でも、人間関係を良好にすることを優先順位の最初の方に置くと、マネジメントという仕事はやりづらくなるのも事実である。
というのも、それなりに嫌なことや厳しいことも言わなければならないのがマネジメントという仕事だからである。
もちろん、(繰り返すが)人間関係が良好な状態をベースとして、嫌なことや厳しいことを言う(言える)ことが良いことであることは否定しない(というか同意する)。
ただ、そちらを優先するあまり、言うべきことが言えなくなるのは本末転倒である。
そして、このような人はとても多いのだ。
他人とは合わないもの。So what?
僕は元から「他人とは合わないものだ」という人間観を持っている。
であるからして、職場の人と合うはずがないと思いながら仕事をしてきた。
そんな僕であっても、着任当初は「やっぱりマネージャーたるもの、みんなと仲良くしなければならないよね」という思い込みがあって、自分なりに他者に合わせようと努力をしてきた。
それ自体は間違いとは言えない。
ただ、マネジメントという仕事においてはどうしたって人間関係にヒビが入るような事態が起こるし、その際にはそれなりに厳しいことだって言わなければならないし、となると、別に仲良くしなくてもいいのではないか、という考えが頭をもたげてくる。
そして、実際にそのような距離間で仕事をしてみる。
何も変わらない。
というか、むしろ仕事がし易くなった。
それが僕の9年間の経験である。
勝手に適切な距離になるぜ?
もちろん、これは「他者と断絶しろ」であるとか「できるだけ距離を取れ」とかそのようなことを申し上げたい訳ではない。
「部下との距離感は普通でいい」のだ。
別に気張ってその距離を縮める必要はない。
ましてや、無理して合わせようとする必要なんてない。
マネージャーとして言うべきことを言い、やるべきことやっていれば、自然とそれなりの距離感となる。
そんな感じである。
フラットであること≠人間味がない
フラットであることは、マネジメントにおいてもとても有用である。
誰かと仲良くしようとすると、他の誰かからは妬みを買う。
別にそんな気がなくても、そのように思う人はいる。
というか、それがチームの状態を悪くする主要因とすら言える。
そして、誰に対しても等距離であることは(等距離でいようとすることは)、マネージャーに信頼感を与える。
「この人は依怙贔屓しない人だ」というイメージを与えられる。
また、そのことは「人間性がない」「感情がない」ということを意味しはしない。
そのようなことが理解された時、マネジメントという仕事がまた違って見えるようになるはずだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
適切な距離感。
というか、近づきすぎないこと。
それがマネジメントにおいては重要です。
そのようなことを主張している僕には、なぜだか部下が寄ってきます。
とすると、大事なことは「自分らしくいること」というような、青春ポップソング感満載の話なのかもしれません。
無理せず、大きく見せず、自然体でいきましょう。