「報告・連絡」ではなく「相談」を

UnsplashScott Grahamが撮影した写真

報告と連絡はいらない

ホウレンソウという言葉がある。

これは「報告・連絡・相談」を略した言葉で、ビジネスにおける基本的なコミュニケーションだと言われている。

ただ、10年近くマネジメントという仕事を続けていると、それを「される側」で働いていると、「報告と連絡はいらないな」と感じる。

僕は報告も連絡も、進捗や事実を伝えるだけのことであって、そこに問題が起きていないのであれば、僕に話をせずともそのまま進めればいい(というか進む)と思っている(もちろん、進捗等が気になる場合もあるが、それはこちらから聞けばいい話だ)。

大事なのは、「相談」である。

相談というのは、何らかの問題や課題があるから為されるものである。

だから、報告や連絡を減らし、相談だけするようにしてしまえば、部下は自立するようになるし、我々の手は空いていく。

今日はそんな話である。

それでは始めていこう。

報告と連絡が多い原因はあなたにあるかもしれない

想像して欲しい。

というか振り返ってみて欲しい。

あなたが部下から話をされる時、その内容は「報告・連絡・相談」のどれが多いだろうか?

もし、報告と連絡が多いのであれば、それは部下が自立していない証拠である。

そして、その原因はもしかしたら部下ではなく、あなたにあるかもしれない。

そんなちょっとドキッとするような話から本文を始めてみる。

でも、そうなのだ。

僕が出会ってきたマネージャーの中には、報告と連絡を執拗に求める人がそれなりに多くいる。

その理由としては、部下が何をしているかがわからないと、自分の上司が自分に尋ねてきた時に、その責任を問われると考えているからだろう。

また、そういう人に限って、「ウチの部下は自分で判断もできないし、困りますよ…」なんて愚痴っていたりする。

僕はこれがよくわからない。

報告と連絡はただのファクトに過ぎない

正直なところ、部下が何をしているかなんてことをいちいちマネージャーが把握している必要なんてないと僕は思っている。

もちろん、程度問題ではある。

ただ、日々の仕事の中であれば、ある程度裁量を持たせ、部下に判断自体を任せてしまえばいいし、そのようなある種ルーティン業務の中で生じる問題なんてものは大したことがないのだから、報告なんて不要なのだと僕は考えている。

そこに干渉するから、部下が自立しなくなるのである。

もう少し詳しく言うなら、何か問題が起きれば、自然とマネージャーに相談にくるのであるから、それ以外は放っておいていい、そういうことである。

というか、報告と連絡を受けても、「で?」と僕は思ってしまうのだ。

報告と連絡というのは、ただの事実でしかないから。

「そうですか…」と僕はそこで止まってしまう。

そのような内容のことを把握している必要はないし、僕なんて構わず、どんどん進んでいけばいい。

それが僕にとっては普通である。

でも、多くの人にとってはそうでもないようなので、今回改めて書いている訳である。

マネジメント=相談業務

反面、僕のところには相談がたくさんくる。

それこそカジュアルなものから、ヘビーなものまで、多種多様な相談がくる。

それに応えるのが僕の日常である。

「マネジメント」という言葉を聞くと、どうしても「管理」ということが頭に浮かび、そのような仕事の進め方をしてしまう人がいるようだけれど、それは間違っている。

僕が考える「マネジメント」というのは、相談業務である。

それはカウンセリング的な時もあるし、問診的な時もある。

もしかしたら占い師的な時もあるし、居酒屋的な時もある。

それらをひっくるめたものが「マネジメント」である。

そして、そこで大事なことは「答えを授ける」ことではなく、「答えを共に探す」ことである。

答えを共に探す

あくまでも、それは「相談」なのだ。

その中で良いものを探したり、ブラッシュアップしたりすることが部下の自立や成長に繋がるのである。

「あの人に聞けば、何かが生まれるかもしれない」

そのような期待。

もっと言えば、ちょっとしたイノベーションのようなもの。

それをひたすら繰り返していくこと。

それがマネジメントなのである。

ただの駄弁り

僕は営業マンだった頃から、「話をしたい」とクライアントから呼ばれることが多かった。

彼(彼女)ら曰く、「ウエノさんと話をすると、頭が整理される」とのことであった。

これは不思議な関係性である。

僕は営業マンであり、言ってみれば物売りである。

コンサルタントではないし、戦略参謀でもない。

ただの売り子だ。

そして、呼ばれた時に話す内容も、ウチの会社の商品のことではなく、大抵はクライアントが抱えている案件や自社の戦略についてばかりであった。

言ってみれば、門外漢である。

でも、彼(彼女)らは僕と話をしたがる。

そして、実際にひとしきり話をする。

結果、僕は何の能動的な営業もしていないのに、営業成績がとても良くなる。

そのようなとてもおかしな事態が生じる。

ただ、これがマネジメントの本質であるようにも思うのだ。

相談相手になろう

相手(例えば部下)にコンサルテーションしようということではなく、相談相手になること。

気楽に話をしながらも、価値を感じてもらうこと。

そうすれば、自然と成果は上がるようになるのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

事前準備。

多くの人はこれを怠っていると僕は考えています。

そして、怠っているということに気づいてすらいないというか。

そのような意識にコッソリと侵入し、一緒にブレストしていくこと(でも本人はそれに気づいていない)、それがマネジメントなのかなと最近の僕は考えています。

ちょっとした発想思考のジャンプの中に、実は大事なものが含まれています。

発想の八艘飛びを繰り出していきましょう。