押さえるべきポイントを押さえる

UnsplashDevon Janse van Rensburgが撮影した写真

信用を失わない為に

マネジメントには信用が大事だ。

でも、信用というのは1日で形作られるものではないのに対し、失うのは一瞬である。

そして、一度失われた信用が戻ることは二度とない。

となると、マネジメントという仕事を進めていくに当たっては、信用を失わないことを意識して取り組む必要があることになる訳だ。

では、どのようにしたら信用を失わずに済むのだろうか?

僕が考えるのは、「明らかに外してはいけないポイントを外さない(押さえるべきポイントを押さえる)」ということである。

何があっても外していけないポイントというものがマネジメントにおいては存在する。

裏を返せば、それだけできていれば、マネジメントという仕事を続けていくことは可能である。

それでは始めていこう。

やるべき仕事をきちんとこなす

マネジメントにおける押さえるべきポイントとは何か?

それは「明らかにその人の仕事であると皆が思っているものをきちんとこなすこと」である。

こう書くと何だかとても簡単なように思える。

そうなのだ。

押さえるべきポイントを押さえることはそんなに難しいことではない。

でも、これができない人が一定数存在することも事実である。

それは「自分だけは良いだろう」という考えが頭をもたげるからである。

「これくらいは許されるのではないか?」という甘え

マネジメントという仕事は、普段から他者の仕事の責任を被ることが多く、そのような日々をずっと続けていると、「これくらいは許されるのではないか?」ということが頭に浮かぶようになる。

「これだけ他人の尻拭いをしているのだから、自分だってちょっとくらいは手を抜いたり、怠けたりしてもいいのではないか?」

直接的ではなくても、ふとそんなことを考えてしまう時がある。

それは僕だって同様である。

「なぜこんな仕打ちを受けなければならないのか?」と。

部下は好き放題

一方、現代という時代は権利の時代である。

部下たちはそんな気持ちなどつゆ知らず、自由に休みを取ったり、定時で帰ったり、好き放題である。

でも、仕事は相変わらずそこにあって、それを誰かがやらなければならない。

となると、マネージャーである自分がそれをやることになる訳だ。

でもだからと言って、誰かに感謝される訳でもない。

当たり前のこととして、というかそんなことがあることすら意識されないまま、日々が過ぎていく。

そして、ふと思う。

「何だか馬鹿らしいな」と。

ケツ拭き仕事もマネージャーの仕事

でも、ここで是非踏みとどまって欲しい。

馬鹿らしい気持ちはよくわかるし、その構造自体はもう少し正すべきなのではないか、と僕も思う。

ただ、その気持ちをグッと堪えて、粛々と部下のケツを拭いていくのだ。

そして、それも含めたものがマネージャーの仕事であるという自覚を強めていくことが何よりも大事である。

マネージャーの仕事の範囲は自分が考えているよりも広い

皆がマネージャーの仕事だと思っている範囲は、自分が自分の仕事だと思っている範囲よりも広い。

特にマネージャー初任者はこれを強く意識しておくこと。

そうすれば少なくとも信用を失うことはなくなるだろう。

もっと言えば、このように考えられるだけで、マネージャーとしてはかなり高い所に立つことができるようになるはずだ。

というのも、多くのマネージャーはこのように考えることができないからである。

先述したように、明らかにその人の仕事であると考えられている仕事すら放棄する者が大半だから。

当事者意識ギャップ

ここには当事者意識の欠如がある。

でも、当人は当事者意識が欠如しているなんてことは思いもよらない。

でも、周囲は当事者意識が欠如していると思うことになる。

このギャップ。

それを埋めることさえできれば、マネジメントという仕事を続けていくことは可能である。

減点を防ぐ

そういう意味においても、マネジメントという仕事は加点を取るよりも減点を防ぐことの方が大事である。

良い格好をしようとするのではなく、明らかな失点を防ぐこと。

それは言うは易く行うは難しである。

というか、本当はとても簡単なことなのだけれど、それを簡単にできる人はあまり多くないというのが正確な書き方になるのだろう。

ベースの信頼感

今日書いたようなことは、普段は表に出てこない話である。

押さえるべきポイントを押さえているマネージャーと、そうでないマネージャーがいたとしても、それが何かのトピックになることは殆どない。

同じマネージャーとして遇されるはずだ(だからこそ馬鹿らしく思えるのだけれど)。

でも、底流には確実な違いがあって、何か問題が起きた時に、それが噴出することになるのである。

日々愚直に仕事をしていれば、そんな時であっても誰かが味方になってくれる。

僕の言う「ベースの信頼感」というやつである。

やるべき仕事をやりましょう

これがあるかないかで、マネジメントの難易度は大きく変わる。

もしあなたの言うことがイマイチ部下に伝わっていないと感じるなら、このベースの信頼感が足りていない可能性が高い。

そして、その要因の1つとして、あなたがやるべきだと皆が思っている仕事をやっていない可能性があることは頭に入れておいて損はないだろう。

適切な当事者意識を。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

マネージャーの仕事の範囲が広すぎて馬鹿らしくなる。

それを前提として、その上で書いたのが今日の話です。

押さえるべきポイントというのは、たぶん自分で設定できるものではないのでしょう。

大変ですが、最善を尽くしていきましょう。