友達上司もまた問題

UnsplashMatheus Ferreroが撮影した写真

距離が近いと、部下が舐め出す

「部下と距離が近いのは良いんですが、私が何を言っても聞かなくなってしまいまして…」

そんな相談を受けた。

そしてこれは最近の風潮を反映しているような気がしている。

ハラスメントに対する意識が上がり(それ自体はとても良いことだ)、たとえ正しい指摘であったとしても、上司は部下に対してそれを言うことができなくなってきているのが昨今の風潮である。

そんな中で上手くやっていく為に、部下との距離を詰めようとすることは別におかしなことではない。

でも、距離が近くなってしまうと、上司を舐め出す部下が出てくるのも事実である。

「この人はこのくらいの対応をしておけば大丈夫だ」

そう思われてしまうと、厳しい対応をすることが難しくなってくる。

もちろん、その部下がきちんとした仕事をするのであれば、何の問題もない。

仲良く仕事を続けていけばいい。

でも、そうでない時、部下に何らかの指摘や指導をしなければならない場合、距離が近すぎると、何を言っても効果がなくなってしまう。

今日はそんな友達上司についての話をしていこうと思っている。

それでは始めていこう。

部下との関係は普通でいい

「部下との関係は普通でいい」

これが僕がこのブログの初期から言っていることである。

部下との距離は、遠すぎても近すぎてもいけない。

遠すぎるのは言わずもがなである。

でも、近すぎるのもまた問題である。

それは冒頭にも書いたように、部下が言うことを聞かなくなってしまうからだ。

叱れない上司たち

最近、「部下から舐められて困っている」という相談を受けることが増えた。

それはこのような距離感の問題が関係しているように僕は思う。

怒鳴るのはもちろん、叱ることも殆ど見られなくなった昨今の職場環境において、部下たちはその権利を遺憾なく行使し、マネージャーはそれにオロオロしている、それが当たり前になった。

もちろん、昭和時代のような職場環境が望ましいとは流石の僕も思わない。

でも、最近の状況は状況で、何かおかしいような気もしている。

そして、その要因の一つとして、マネージャーが部下を叱れなくなってしまったことが関係しているように思うのだ。

優先順位が違うのでは?

「部下と仲良く仕事したい」

その考え方は僕にだってある。

できるだけ仲良く仕事がしたい。

でも、それはマネジメントという仕事において、第一優先順位に置いてはいけないことだとも思っている。

僕たちマネージャーの仕事は、マネジメントを通じて成果を出すことである。

部下と仲良くすることがその成果に資するならやればいいけれど、もしそれが成果を出すことを阻害しているとするなら、その行動は改めた方がいい。

嫌われる必要はないけれど、一定の距離を空けることが望ましい。

僕はそのように思うのである。

せめて公式な場では厳しいことを言おう

では、部下との距離が近すぎる場合、どのようにしてその距離感を是正すればいいのだろうか?

僕が思うのは、人事評価とか、成果評価とか、そのような「オフィシャルな場」においては、厳しいことを言うことが大事だということである。

普段はまあ仲良くやってもいい。

でも、そういう評価に関わるような場面においては、上司の顔を出し、適切なダメ出しも行うことが大事である。

そして、敢えてこのことを書いているのは、それすらも出来ないマネージャーがとても多くいるからである。

評価は評価

いつの頃からか、厳しいことを言えない上司が増えたように思う。

それはハラスメントと混同されるリスクを回避する為の行動なのだろうとは思う。

ただ、評価はハラスメントではない。

成果や行動に関し、ダメだったものについてはダメだと言うことが大事である。

もちろん、その理由についても明確に話をするべきである。

そして、できれば、その評価に際してのすり合わせというか、認識のズレをなくす作業は定期的に部下と行っておくべきだとは思う(いきなり評価の面談の時だけダメ出しをするのはマネジメントとして適切ではない)。

しかし、評価は評価である。

あなたは上司であるのだから、上司として部下の行動について評価を行う必要がある。

そして、ダメなものはダメであると告げる必要がある。

それが出来ていれば、部下との距離が近すぎるということはなくなるだろう。

自然と距離を置かれる存在になる

これは特に若いマネージャーにおいては難しい仕事かもしれない。

年上の部下に対して厳しいことを言うというのは確かに難題だから。

でも、それが出来なければ、部下に舐められて終わりである。

上司としての厳しさを適切に見せながら、自然と距離を置かれる存在になることに慣れていかなければならないのだ。

仲良くすることは成果を出すための方法に過ぎない

それは昨今の「みんな仲良くしようね」というような風潮から一線を画す行為であるとも言える。

若手マネージャーからすれば、違和感を覚えるような種類のものなのかもしれない。

ただ、それは大事な仕事なのだ。

繰り返すが、マネージャーの仕事はマネジメントを通じて成果を出すことである。

仲良くすることはその成果を出すための方法に過ぎない。

そこを履き違えてはいけないのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

「誰とも対立せず穏便に仕事を進めたい」

それは誰しもそうだと思います。

でも、もしそのような方法によって成果が出ていないのであれば、その方法については改める必要があります。

無駄に嫌われる必要はありませんが、嫌われる勇気もマネージャーには必要です。

適度に距離を置きながら仕事をしていきましょう。