旨さと後を引く力はちょっと違う?
上手さ(旨さ)と味
今日は部下指導に関する話である。
それもそれなりに高いレベルにある部下指導に関する話である。
僕は営業のマネージャーをやっていて、部下を指導する際に「確かに上手いけれど、上手いだけだなあ」と思う時がある。
一方、「あまり上手くはないけれど、味があるなあ」と思う時もある。
そして、僕は後者のタイプの部下の方が伸びると考えている。
これは食べ物の話に置き換えると、理解しやすいような気がしている。
旨いラーメン屋と後を引くラーメン屋。
どちらの方がリピーターになる確率が高いのか?
そしてその違いはどのようなところにあるのだろうか?
もちろん、旨いから後を引く場合もあるのかもしれないけれど、今日はそのどちらかしかないと仮定した場合の話をしていこうと思っている。
それでは始めていこう。
提案が上手いのは当たり前
クセになること。
僕が営業職として働いている時に大事だと思うことがこれである。
他社も含めて、競合はたくさんいる。
そして、それなりのレベルの営業担当であれば、提案が上手いというのは言ってみれば当たり前の話である。
その中で我が社を選んで貰うためにはどうしたらいいのか?
提案内容は大体同じになる
もちろん、提案する中身自体が途轍もなく良ければそれを選んで貰える確率は上がるだろう。
でも、提案の中身が他社と大きく違うなんてことはまず起こらないのが現実である。
そこに拘って、微細な差異の違いを丁寧にプレゼンするような営業マンがいないこともないけれど、それはたぶんもう少し低いレベルの営業マンの話であって、話の本筋はそこにはないと僕は考える。
それが今日のテーマに繋がっていく。
旨いか後を引くか
旨いラーメン屋と後を引くラーメン屋。
初回だけで選ぶなら旨いラーメン屋に軍配が上がるような気がしている。
1度だけの取引で済むなら、誰しもが旨いラーメン屋を選ぶだろう。
でも、継続的な取引をするなら、後を引くラーメン屋の方が選んで貰える確率は上がるのではないか?
そんな風に思うのである。
旨さでは劣るが…
ここで言う後を引くラーメン屋というのは、旨さで比べれば旨いラーメン屋に劣る。
でも、何かクセになるというか、もう1回食べてみたいなあと思わせるようなモノがそこには含まれている。
それこそが他社の営業マンとの違いになるし、自分を選んで貰えることに繋がるように思うのである。
意思の有無
では、後を引く営業マンとは具体的にはどのようなことを指すのか?
僕が考えるのは、そこにその人独自の意思があるかどうか、ということである。
先程も書いたように、提案の中身だけを比べるなら、どの会社も言ってみれば似たようなものである。
合理性だけで判断するなら、どの会社だって大した違いはない(価格差は出るかもしれないが…)。
でも、その中で話を聴いてみようかなと思われるためには、何らかの違いが必要となる。
そして、その違いの1つに、「意思があるかどうか」という点があると思うのである。
簡単なようで、そこまでいない
これはちょっとした違いである。
「私はこう考える」という、それだけの違いでしかない。
ただ、その違いこそがリピートして貰えるかどうかの分水嶺となるような気がしている。
というのも、そのような意思の表明ができる営業マンはそこまで多くないからである。
付加価値とは?
僕はたくさんの営業マンと仕事をしてきた。
それも商談の場で同席をしてきた。
そんな僕が思うのは、顧客のニーズを聴けるのは当然のこととして、その上で何を提示できるか、ということである。
ニーズに対して的確な回答をする、というのは最低レベルの話であって、そこから付加価値をどのように出すのかが求められる。
でも、多くの人はその付加価値の出し方を間違えている。
今日の話の例えで言うなら、できるだけ旨いラーメンを出そうとしているように僕には思える。
確かに旨さを伸ばす方向に進むことは悪いことではないだろうし、もしかしたらそれが成約に繋がることだってあるかもしれない。
しかしながら、僕はそうではなく、クセになる何かを提示すること(ここであれば自分なりの意思を表明すること)の方が、大事だと思うのである。
顧客本位は不可欠だが、それだけでもない
もちろん、その意思表示が自分本位ではいけない。
あくまでも顧客の想いに沿っている必要がある。
ただ、その顧客の想いを究極まで高めることが重要かと問われるなら、そうではないのではないかというのが僕の回答である。
もしかしたら、意に沿わない回答をすることが大事なことだってある。
耳の痛い話だって時にはする必要がある。
その違いこそが、信頼を生み、リピートして貰えることに繋がるのではないか?
そんな風に思うのである。
下手でもOK
これはもしかしたら営業のセオリーからは逸れる話と言えるのかもしれない。
プレゼンは上手に、話は流暢に、提案は簡潔に、するのは確かに大事だろう。
でも、たとえたどたどしくても、そこに意思が込められていると感じるなら、それが顧客のことを極限まで考えていることが伝わるなら、選ばれるのは圧倒的に後者であると僕は思う。
旨さと相性
旨いラーメン屋はいくらでもある。
でも、自分に合ったクセのあるラーメン屋はそこまで多くない。
そして、僕たちが目指すのは後者のようなラーメン屋なのである。
変な話になった。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
今日の話を読み返してきて、付け加えるなら「オーダーメイド感」も大事ということかもしれません。
モノ自体が良いことも大事ですが、自分にフィットする感覚も大事です。
(良い意味での)クセを出していきましょう。