1on1が苦手な人に

UnsplashBob Brewerが撮影した写真

1on1は意味がない?

ある人から「ウエノさんは1on1を推していますが、私は1on1が苦手なんですよね。どうしたらいいでしょうか?」という相談を受けた。

曰く、「1on1をやっても、結局私も部下も腹を割ることはないし、表面的な話を繰り返しているだけで、何だか時間の無駄のような気がしているんですよ。きっと部下も同じ気持ちだと思います」とのことだった。

まあ言いたいことはわからなくはない。

でも、それでいいのではないだろうかとも思う。

もっと言えば、部下が複数人いるとして、全員とそういう状態(それも毎回)なのであればちょっと問題だとは思うけれど、1人でも何か意味があると思えるなら続けた方がいいのではないか、というのが僕がその人に向けたアドバイスである。

極論にはなるかもしれないけれど、「ごっこ遊び」めいた形でも「その場があること自体が大事」であると僕は考えている。

話したいことがあれば話せばいいし、そうでなければさっと終わらせればいい。

でも、その機会というか、場は継続的に設けておくことが重要なのではないか、と思っている。

何だか書きたいことは書いてしまったような気もするけれど、今日はそんなことを書いていこうと考えている。

それでは始めていこう。

意味を求めすぎでは?

1on1が苦手という人は、1回1回の1on1に意味を求め過ぎているように思う。

そして、部下側の気持ちを鑑みて、「自己満足(マスターベーション)なのでは?」と考え過ぎてしまっているように思う。

というのも、僕自身もそのように考えていたからである。

1on1が最善だとは思わない。でも他に何か方法ある?

僕は1on1を重要であると考えて、マネージャーになってからずっと1on1をやっている。

でも、ある一時期「これって無駄じゃね?」と思うことがあって、暫くの間やめていた期間がある。

その時は実際にあまりチームが機能しなくなったし、部下からも「あれ? 面談ってやめたんですか? 結構良かったんですけどね…」と言われるようになって、「そういう風に考えてくれる人もいるんだ」と思ってまた再開することにした、というのが僕の実体験である。

今だって、僕自身、1回1回の面談に何か意味があるのかと問われれば、「意味なんてないよな」と答えると思う。

実際にそこで何か有益なことが生まれる訳ではないし、どちらかと言えば時間の無駄的要素が強いだろう。

でも、だととしたら何をもってマネジメントを行うのか、とも考えてしまうのも事実で、それがない中では1on1は悪くない選択肢なのではないかとも思っている(これはチャーチルが「民主主義は最悪の政治形態と言われてきた。他に試みられたあらゆる形態を除けば」と言った感覚に似ている)。

機会があることが大事

単純に僕が思うのは、1on1をやるというそのこと自体に意味があるということである。

もう少しきちんとした表現をするなら、「1対1で上司と話す機会が定例的にある」ことが大事であると僕は考えている。

部下によっては「そんなものいらん」と考える人もいるだろう。

でも、そうであれば、1分とかで切り上げればいいのである。

これは冒頭の方にも申し上げたのだけれど、部下全員と同じ熱量でやる必要はないし、時間だってバラバラでいい、と僕は考えている。

皆きちんとやらなければならないということに囚われ過ぎているのだ。

というか、1on1は上司のマスターベーション行為ではなく、部下がその機会を有用だと思えば使えばいいし、そういう機会を提示する(し続ける)ところに意味があるのではないか?

スキルアップは必要だが…

厳しいことを言えば、確かに部下にその時間が有用だと思って貰えるよう、上司はスキルアップが必要であるとは思う。

バシバシと全員に対して素晴らしいアドバイスをしたり、建設的な議論をしたり、それができれば理想的ではある。

でも、そこまでは流石の僕もできていない。

僕の場合は数回に1回くらい意味のある話ができる、そんな感じである。

敢えて話をするのは難易度が高い

ただ、それ以外にも1on1というのは大事な場なのである。

「敢えて部下が上司を個室に呼ぶ」というのは中々難易度が高いし、周囲からも訝しげに見られる行為であると僕は思う。

でも、毎週同じ時間に上司と強制的に話す時間が設けられているのであれば、「その時間に話せばいいや」ということになる。

というか、それこそが1on1の意味なのではないか?

僕はそのように考えている。

続けていればOK

1on1が苦手だと感じるなら、まず自分のスタンスを変える必要があると僕は思う。

きっとどこかのコンサルに吹き込まれたような形式的な話をしているに違いないから。

そうではなく、デスク周りでは出しづらいような人間的な部分を出せばいいのである。

と言っても、僕のような営業畑ではない人にはこれすらも難しいのかもしれない。

だとしたら、それがたとえ形式的であったとしても、続けていること自体に意味を感じるよう意識を変えればいいのではないだろうか?

仮に1回の面談自体が1分とか3分とかで終わったとしても、それはそれで全くの無駄ではないと僕は思うし、どこかのタイミングである1人の部下と2時間3時間話し込んでしまうという場面が訪れるはずだから。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

この文章を書いた後にネットにある記事を読んだら、そこには「ザ・コーチング」的な1on1のやり方が書いてあったので、ちょっとウンザリしています。

1on1にコーチング的な要素を求めすぎているように思います。

ちょっと話が脱線するかもしれませんが、最近の僕が考えていることは、飲み会の代わりにそれなりの深い部分でコミュニケーションをする方法として1on1があるのではないか、ということです。

飲み会に意味が求められないように、1on1に意味なんてありません。

大抵は時間の無駄です。

でも、振り返ってみると、時々やってよかったなと思う時があります。

あまり肩肘張らず、淡々と繰り返していきましょう。