完璧は不可能

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ありもしない完璧という場所

自分自身のことを振り返ってもそうであるが、マネージャーは万人に好かれようとしてはいけないのではないかと考えている。

いや、これは表現が適切ではない。

万人に好かれようとしてもいいけれど、それは不可能であることを知覚した上で仕事をする必要があると僕は考えている。

目指すのは一向に構わない。

その挫折から得られるものだって相当にあるから。

でも、ありもしないその場所をひたすらに目指し続けるのはいかがなものかと僕は思っている。

それなら、ある時点から身の程を知るというか、程々で満足するというか、そのような境地に立って仕事を進める方が、自分にとっても、部下にとっても、良いのではないかというのが今日の結論である。

言いたいことは既に言ってしまったような気もするが、とりあえず始めていこう。

人それぞれの考え方と価値観

マネージャーには部下がいる。

こう書くと当たり前のこととして響くのかもしれない。

でも、そうなのである。

マネージャーには部下がいる。

それも複数の部下がいる。

その部下たちはマネージャーとは違う多種多様な考え方や価値観を持っている。

それを具体的に想像した時に、その人たち全てに好かれるというのは不可能であるということに気付くと思う。

というか、気付かなければ、マネージャーとして大成する可能性は低い。

そんなことを思う。

最大公約数の極小化

全ての人に好かれるのは不可能だ。

それは部下の人数が増えれば増えるほど、その最大公約数は(絶対値として)小さくなってしまうからである。

万人に受けるというのは、絶対値が低いことと近似している。

でも、絶対値が低いと「その人でなければならない」という要請は薄れていく。

この辺のバランス感がマネジメント業には非常に大切なのだと僕は考えている。

最大公約数の最大化は悪手

しかしながら、多くのマネージャーはこの最大公約数の最大化を図ろうとしてしまう。

多くの人(部下)に受けるような更に大きな数字を探そうとする。

まあ気持ちはわからなくはない。

そういうものがあればいいなと僕だって思う。

でも、そんなものは存在しない。

それは自分の力が伴っていないとか、経験が浅いとか、そういう範疇の話ではなく、未来永劫存在しえない。

そのような割り切りがマネジメントには必要だと僕は思っている。

完璧という束縛

もちろん、探求(希求)することは自由だ。

でも、それに束縛されてはいけない。

ないものはないのである。

完璧な人間はたぶん完璧すぎて嫌われてしまう。

そこまで行かなくても、万人から好かれるということは起こらない。

想像すればそんなに難しいことではない。

でも、これを目指してしまう。

そして、結果として誰にも好かれなくなってしまうのだ。

リアリズムとしての「普通」

それなら「普通」でいいのではないか、というのがこのブログにおける僕からの提案である。

これはこのブログを始めた頃から言っていることでもある。

「部下との関係は普通でいい」

それはもしかしたらネガティブな響きとして受け止められるのかもしれない。

でも、僕からすれば、それはとても現実的な解だと思っている。

リアリズムを追求すればするほど、その意味が実感を伴って理解されるものだと考えている。

良い人間関係は最大公約数で達成できるものではない

また、この言葉は「部下と良好な関係を築くことは不可能である」ということを意味しない。

部下と良好な関係を築くことは可能だ。

ただ、それは完璧を目指したり、万人に好かれようとすることで達成できるものではない。

あくまでもあなたらしさというか、自分らしさで仕事をすることで得られるものである。

それは先程の例で言えば最大公約数で達成できるものではない。

ある人には刺さるし、そうでない人には刺さらない、ある種のオリジナリティ。

アディクションとも言えるような偏り。

それこそが部下との良好な関係性を築く礎となる。

嫌われる勇気

ただ、これはこれでそのカウンターとなる「嫌われるリスク」を伴うことになる。

「個性」というのは、良い方向に転じればいいけれど、そうでない場合には結構なビハインドとなる可能性がある。

でも、それがなければ、一定以上の人間関係を構築することは不可能でもある。

それを割り切ること。

中途半端な個性やその状態を目指すのではなく、「まあ嫌われてもいいや」くらいの割り切りを持つこと。

それが結局のところ、部下からの信任を得ることに繋がっていく。

そして、そのような態度は結果として、多くの部下と「普通以上」の関係性を築くことに繋がっていくのである。

媚びるな

これは不思議なことを言っているように聞こえるかもしれない。

万人に受けようとしないことが、結果として万人に受けることに繋がること。

「媚びない態度」というのは、リーダーの資質としてとても大切なものだ。

そして、そのような資質を部下という生き物は確実に嗅ぎ分ける。

完璧を目指そうとすると完璧臭が、万人受けを目指そうとすると万人受け臭が、それぞれ体から発せられるようになる。

本人は気づかないかもしれないけれど、それによって結果として完璧や万人受けから遠ざかってしまうことになる。

それなら始めから普通を目指せばいいのでは?

それが僕が考えていることである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

完璧という幻想から手を放せるようになると、仕事はとても楽になり、また楽しくなります。

そして、結果として成果も出るようになります。

でも、その為には勇気が必要です。

嫌われる勇気を持って、普通を目指していきましょう。