情報源は幅広く

UnsplashGiulia Mayが撮影した写真

色々な部下の意見を聞こう

マネジメントの方向性を決める時に、部下の意見を取り入れることがあると思う。

その際には(当たり前の話ではあるが)、色々な部下の話を聴いた方がいい。

それが今日の結論である。

何で敢えてこのような当たり前のことを言っているかというと、そうではないマネージャーがそれなりに多くいて、それも無意識的に行っているからである。

自分の好きな部下の話はよく聞くけれど、好きではない部下の話はあまり聞かない、そういうマネージャーが多くいる。

でも、概してそのような好きではない部下の意見(ある種耳の痛い意見)を取り入れることが重要だったりもする、ということを書いていこうと考えている。

それでは始めていこう。

悪魔の代弁者

ケネディ大統領がキューバ危機の時に「悪魔の代弁者」を置いたことは有名である。

悪魔の代弁者というのは、議論の場で敢えて多数派の意見に反対・批判する役割の人のことを指す。

この立場の人を置くことによって、欠点やリスクが浮き彫りになり、議論の妥当性が高まっていく。

今日の話もそれを念頭に置いている。

といっても、部下の意見というのはデフォルトで多様であり、敢えて悪魔の代弁者を置かなくても、耳の痛い意見を言ってくる部下というのは存在するので、それを無視しないことがマネジメントにおいては重要である、ということを言いたいだけである。

意識的に行うことが重要

ここで重要なことは、「意識的にそうしないと、流されてしまう」ということである。

マネージャーも人間なので、どうしても部下に好き嫌いができてしまう。

そして、往々にして好きな部下の意見を取り入れてしまう。

でも、そうすると戦略が偏っていくし、周りがイエスマンばかりになり、欠点や弱点が分かりづらくなってしまう。

そうしない為に、幅広く情報を取り入れることが重要なのだ。

ただ、「幅広く情報を取り入れましょう」と言っても、自然とバイアスがかかってしまうのが我々人間の性でもある。

なので、敢えて好きではない部下の意見もきちんと聴きましょう、ということを言っているのである。

では、それを実現する為にはどうしたらいいのだろうか?

仕組み化してしまう

当たり前の結論にはなるが、幅広く話を聴く、というのがその答えとなる。

でも、自然に任せていると、好きな部下からの情報ばかりが耳に入ってくる。

なので、そうしない為に、均等に話を聴く時間を設ける。

そうやって、情報にバイアスが掛からないようにしていくのである。

1on1という強制化

具体的には、僕はこれを1on1の時間で確保している。

毎週強制的に部下と話をする時間を作り、そこで全員と話をするようにすること。

これだって完全にバイアスを排除できる訳ではないけれど、それでも自然に任せておくよりは数倍マシだと思っている。

1on1は時間の無駄?

これに対し、「1on1は時間の無駄だからやめた方がいい」という意見を言う人がいる。

もちろん、言わんとしていることはわからなくはない。

1on1の殆どは無駄と言っても差し支えないと僕も思う。

単体の時間、それだけを切り取れば、その大半は無駄である。

でも、そのような無駄の積み重ねが成果には効いてくるし、それは長い間1on1を続けた者にしかわからない感覚だろうなとも感じている。

たまたま成果が上がっただけだろ?

多くの人は、「なんちゃって1on1」しかやったことがないというのが僕の実感である。

それも長期間続けた経験がある人は殆どいない。

そんな人が「1on1は無駄だ!」なんて声高に叫んでいる。

僕はそれをナンセンスだと思う。

というか、それ以外に有効なマネジメントの手法なんてないのに、やった気になっている(たまたま成果が上がっただけなのに)というのが偽らざる実感である。

なんちゃってマネジメント

10年以上マネージャーをやってきたけれど、本当の意味でのマネジメントができる人は本当に少ない。

皆、マネジメントをしている「風」ではある。

でも、その内実は何もやっていない。

それが日本の低生産性の要因の1つであると僕は思う。

評論家ばかり

マネージャーの仕事はマネジメントである。

今日の話に即していくなら、幅広く情報を収集し、それをできるだけリアルタイムに戦略に反映させていくことがマネジメントである。

しかしながらそこに体力をかけている人は殆どいない。

では何をやっているかというと、ただ椅子に座っているだけである。

そして時たま評論家のように毒にも薬にもならない意見を言っているだけである。

それはマネジメントではない。

でも、それがマネジメントだと彼(彼女)らは思っている。

任期のことしか頭にない奴ばかりだ

自分が心地よく仕事ができる環境を整え、それに役立つ部下の意見だけを取り入れ、任期を全うすること。

それが彼(彼女)らの全てである。

だから成果が上がらないのだ。

だから部下が育たないのだ。

僕はそう思う。

嫌なことをいうヤツほど大事にしよう

でも、そのように考えている人は殆どいないようだ。

気に入った部下の意見だけを取り入れることは、媚びや諂いを生み、結果として専制的なマネジメントがそこに蔓延ることになる。

それはどう考えても建設的ではない。

イエスマンの意見など聞くに値しない。

そう思わないか?

だとしたら、嫌なことを言う人を近くに置くしかないのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

自信のなさ。

それがイエスマンばかりを周囲に置く動機なのかなと思う時があります。

でも、本人にはそんなことは思いも寄らないようです。

多様性の議論はどこにいってしまったんだ?

好きな部下だけでなく、嫌いな部下や苦手な部下からの話も聞いていきましょう。