「仕事」に近づきすぎない

仕事との距離感
マネジメントには俯瞰が求められる。
そして、俯瞰という視点は近づきすぎると得られるものではない。
対職場という観点からも、キャリアという観点からもそんなことを思う。
管理職になる前には仕事に近接することが無条件で良いことだと思っていたし、実際にそうであったはずであるが、管理職になってからは必ずしも良いとは限らない、そう考えている。
そして、そのような仕事への距離感の考え方の違いが、管理職になると途端にダメになってしまう多くの人達を生み出しているような気がする。
これは熱量にも関係している。
マネジメントという仕事においては、熱量と成果が比例関係にある訳ではない。
一生懸命やったからといって、その熱意に応じて成果が向上する訳ではない。
もっと言えば、熱量などなくとも成果が上がる方法はあるし、むしろそのようなマネージャーの熱量(の多さ)が成果に対して有害である場合すらある。
今日はそんな仕事との距離感の話である。
それでは始めていこう。
冷めたことは必ずしもネガティブなことではない
日々冷めた目をしながら仕事をしている。
自分のことを時折そう思うことがある。
以前は(特にマネージャーに成り立ての頃には)、もう少し僕も熱意を持ちながら仕事をしていたように思う。
その後さまざまなことを経て、僕はどんどんとこの仕事に対して冷めていった。
といっても、それは必ずしもネガティブなことばかりではない。
マネジメントという仕事に失望してしまったのは事実ではあるけれど、僕が冷めているのはそれだけが理由ではない。
その方が仕事がし易く、成果が上がり易いからである。
価値観は様々
10年以上マネージャーという仕事をやってきて、またたくさんの同僚マネージャーや先輩・後輩マネージャーの仕事を見てきて僕が思うのは、仕事に対して近づきすぎなのではないか、ということである。
もちろん、それは価値観の一種ではある。
仕事への向き合い方は人それぞれ、それも一理あると思う。
でも、彼(彼女)らがマネジメントという仕事に悩んでいるのも事実で(それは僕に相談してくることからも伺い知れる)、だとしたらもう少し仕事との距離を空けるべきなのではないかと思うのである。
仕事のやり方を変えた
それは過去の自分の仕事振りを思い返すとよくわかる。
上述したように、マネージャーに成り立ての頃の僕はもう少しマネジメントという仕事に対して近い距離を保っていたように思う。
それは部下についても、仕事そのものに対しても。
でも、その過程の中で何となく上手くいかない感覚があったのも事実で、3年くらい経ってから、僕は仕事のやり方を変えていった。
それが今回の話に繋がってくる。
マネジメントは息の長い仕事
もう少し距離を取って、俯瞰的に物事を眺めてみること。
そうすると、自然と少し先のことを考えられるようになる。
どうしてもマネジメントという仕事をしていると(特にミドルマネジメントという仕事をしていると)、目の前のことに熱意を傾けたくなるし、それが実際に正解であることもあるのも事実である。
ただ、それは同時に周囲や長期的な物事が見えなくなることを意味する。
でも、マネジメントという仕事はもう少し息の長い仕事でもある。
となると、そのような近さや熱量は、マネジメントにおいて逆効果になり得ない。
そのように思うのだ。
成果の方が大事
「熱意を持っている(風に見せる)こと」と「成果が上がること」を天秤にかけるなら、僕は間違いなく後者を選ぶ。
しかしながら、多くのマネージャーやその評価者は前者の方が望ましいと考えているように見える。
その辺に僕が「成果が大事である」と言い続けている理由がある。
多くの人が無自覚に行う動きは成果を求めていない
マネジメントという仕事は成果を追い求める仕事である。
改めてこう書くと、それを否定する者はあまりいないだろう。
でも、実際にやっている動きは必ずしもそうではないのではないか、と僕は思っている。
もちろん、彼(彼女)らは無自覚だ。
それを明確に否定してくるだろう。
「私たちは成果を間違いなく希求している」と。
でも、本当にそうなのだろうか?
もうアピールは見飽きたよ
僕は彼(彼女)らが仕事に近接することによって、自分の熱意をアピールしているように見える。
「仕事に対して情熱を傾けている自分」という自己像。
もちろん、それは一定程度必要ではあると思う。
しかしながら、真にマネージャーとして成果を上げたいと思うなら、もう少し距離を空けてみることをお勧めする。
そうすると、対象との間に空間ができて、時間軸をもう少し長く捉えることができるようになる。
マネジメントの成果の発現までの期間は思っている以上に長い
マネジメントとは息の長い仕事である。
そして、そこで言う成果というのは、多くの人がイメージするよりももう少し長いスパンで計測される。
というか、そのような長いスパンでの成果にこそ、マネジメントの違いが如実に現れる。
そのイメージを持って仕事をしているか否かで、マネージャーとしての成長度合いが大きく変わってくる。
視座を高くすることはマネージャーにとって不可欠だろう?
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
仕事への距離感。
それは特にマネジメントにおいて重要な概念であると僕は考えています。
対象物に入り込みすぎず、俯瞰的かつ長期的に物事を判断していくこと。
それなくして、大きな成果を上げるのは不可能です。
兎角「やる気」が優先されるのが日本社会ですが、それに惑わされず「成果」を求めていきましょう。
