相手にとって最も望ましいことを一緒に考える

UnsplashJon Tysonが撮影した写真

話が通じない相手とどのように話をするか?

営業の仕事をずっとやっている。

マネージャーとしてももう10年以上になる。

その中で培われたスキルの1つに「交渉術」のようなものがある。

「どのように話を展開すれば、物事が収まるべきところに収まるか?」

これは簡単なようで、そこまで簡単なものではない。

実際に長年営業をしてきたし、たくさんの部下を見てきたけれど、これができる人は殆どいない、というのが僕の実感である。

営業担当時代にはそこまで大層なことだとは思わなかったけれど、マネージャーになってからそれを強く思うのだ。

さて。

このスキルはマネジメントにおいてももちろん有用である。

マネジメントとは言葉を使い、人と話をし、物事を進めていくことがそのメイン業務となる。

それも大抵は話が通じないような人達と意思疎通をする必要がある。

それをどのように実現するか?

今日はそんな話をしてみようと考えている。

それでは始めていこう。

僕の話はよく聞くらしい

「ウエノの話は皆よく聞くよな」

上司からそんなことを言われた。

そのことを自分なりに考えてみようと思ったのが、今回の話のきっかけである。

ベストな状態をまず考える

多くの人とコミュニケーションを取る中で、僕が自分で他の人と違うなと思うものの1つに、ベストな状態をまず考えることがあると思っている。

それも自分のことではなく、相手にとって。

そこに自分の利害はないし、何なら実現可能性も含まれていない。

純粋にその人にとって最も良いことは何なのかを考えるクセが僕にはある。

そこから話を展開することが基本なのだ。

同じ地平に立つ

これは何も「相手のことを思いやって」とかそういうことではない。

単純にその方が物事が進みやすいからである。

そのような話を冒頭から展開することで、相手のガードが下がり、建設的な話に移行することができる。

相手と同じ地平に立つこと。

相手に自分と同じ地平に立ってもらうこと。

このイメージが非常に大事である。

対面と横並び

一方、多くの人の交渉におけるコミュニケーションは、大抵「対面になっている」と僕は感じる。

正にネゴシエーションといった感じである。

これは昨今流行りの「論破」「ディベート」みたいな雰囲気を想起させる。

でも、僕が考える交渉というのは、「同じ方向を向く」のである。

対面ではなく、横並びで座っているようなイメージ。

目の前には(焚き火でも、暖炉でも、何でも構わないのだけれど)対象物があり、それを同じような角度から眺めていることを想像する。

これだけで物事というのは急速に円滑に進むようになる。

そして、僕はそのベストな地点へ到達するスピードが尋常ではないくらい速いのだと思う。

紹介でメシを食う

僕は営業マン時代から「紹介」によって飯を食ってきた人間である。

こちらから営業することは殆どなく、成約したお客様から次のお客様を紹介してもらうという数珠つなぎのような営業をずっと続けてきた。

そこにあるのは、(自分で言うのも何であるが)信頼である。

「この人は自分(自社)にとってベストなことを考えてくれる」

そのように相手に思って貰うこと。

それが僕が営業においてトップ(集団)を走り続けられた理由だと思っている。

そして、先述したように、それは僕にとっては当たり前のことなのである。

実現可能性や成果は後回し

他意もないし、狙いもない。

単純に他者と不本意なコミュニケーションをするのが苦手なのである。

僕はかかりつけ医のように相手の話を聞き、何なら相談にも乗りながら、その人にとってベストな状態とは何なのかを一緒に考えていく。

それができたら、ではそれを実現する為にはどうしたらいいのだろうか、という実現可能性を考えていく。

それが自社でできるならそれを勧めるし、そうでないなら他社でやるように僕はアドバイスをする。

すると、大抵のお客様は驚かれる。

「でも、それだとウエノさんの成績にはならないですよね?」と。

成績?

なにそれおいしいの?

成果はお客様が考えてくれる

いや、別に格好つけてこう言っている訳ではないのだ。

本当に僕にとって成績なんてものはどうでもいいのである。

これは普段から成果!成果!と言っていることと矛盾しているように聞こえるかもしれない。

でも、僕からすれば何の矛盾もない。

いい仕事をしていれば、成果はお客様が勝手に考えてくれるのである。

その案件を仮に他社でやったとしても、次の案件は必ず僕のところに来るようになる(もちろん、それに加えて紹介でどんどんと顧客が増えていく)。

それが僕が考える「人に話を聞いてもらうコツ」である。

マネジメント=部下と共に考えていくこと

これはマネジメントにおいても同様だ。

1on1を僕が続けているのは、部下にとってベストな状態とは何なのかを一緒に考える為である。

そして、そのベストな状態というのは日々変わっていく。

部下の状態や成長と共に変化をしていくものなのだ。

それを共に考えていくこと。

それがマネジメントなのである。

ベストな状態を共有する

もちろん、そこには実現可能性という壁がある。

でも、それは本質ではない。

その手前においてまずベストな状態を共有すること。

そのイメージに向かって仕事を続けていくこと。

それが部下を成長させていくのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

相手の話を聞き、要点を掴み、ベストな状態を共有すること。

言ってみればコミュニケーションの本質とはこういうことだと思います。

でも、多くの人はこれができません。

ましてや、話が通じない人との間では。

僕がコミュニケーションにおいて大事だと思うのは、「損得のレイヤーで話をしない」ということです。

こんなこと当たり前だと思うのですが、大抵の人はこのレイヤーでしか話ができません。

そこから抜け出して、建設的な話をしていきましょう。