朝一に下らないことを言う
マネージャーの「ベースのコンディション」を上げる
チームのメンバーは思いのほかマネージャーの顔色を伺っているものだ。
自分自身がマネージャーの顔色を伺うタイプではなかったので、こんなことを書くのもおかしいような気がするのだけれど、5年間の経験を経た身からすると、これは事実だと思う。
そういう意味において、マネージャー自身の「ベースのコンディション」を上げることがチーム全体のコンディションの繋がる、と言っても過言ではない。
もう少し平たい言葉で言うのであれば、マネージャーができるだけ機嫌よくしていると、チーム全体の機嫌も良くなる、ということだ。
しかし、マネージャーも人間である。
中間管理職という職責も相まって、嫌なことは山のように起こる。
いつも機嫌よくなんていられない。
ではどうするか?
答えは「朝一に下らないことを言う」だ。
通常ベースでは不機嫌に見える
これはマネージャーのキャラクターによっても違うと思うのだけれど、僕自身はあまり感情の高低差がない(外に出ない)人間だ。
朝からテンションは上がらないし、ぼーっとしていることが多い。
そして黙っていると、不機嫌そうに見える(ようだ)。
なので、通常ベースで仕事を始めようとすると、チームの雰囲気は重たくなりがちだ。
デスクに座って、パソコンを開いて、無言でメールチェックする。
時折ため息をついたりする。
これがノーマルな仕事の始め方だ。
別にどこにもおかしいこともないし、誰に対して不機嫌である訳でもない。
ただ単純に朝だからテンションが上がらないだけだ。
でも、マネージャーである以上、その機嫌(周りから見える機嫌)は自分だけのものではない、ということには自覚しておいた方がいい。
それはチームに伝染するからだ。
機嫌が悪くないことを表明する
そうは言っても、毎日朝一からテンション全開というのは僕のキャラに合わないし、たぶん続かない。
ではどうするか?
下らないことを言うことで場に溶け込もうとすることが多い。
元々が下らない人間であるので、下らないことを言うのはそれ程苦ではない。
ここで大事なのは笑いを取ることではない(もちろん取れるに越したことはないけれど…)。
大事なのは、「マネージャーの機嫌は悪くないよ」ということを周囲に知らせることだ。
これを朝一にやっておくことで、チームメンバーに気楽に話してもいいのだ、という雰囲気が生まれる。
その会話に加わる必要はない(もちろん加わっても構わない)。
最初の口火を切っておけば、あとはメンバーが思い思い勝手に話すので、そのままにしておけばいい。
これである程度チームの体温を上げることができる。
多分にやや演技的な要素があるのも承知の上で、僕はそんなことをやっている。
メンバーの居場所を作ることで、自動的に成果が上がるようになる
何度もこのブログ内で言及しているように、チームパフォーマンス向上のカギは、いかにしてマネージャーが見えない部分において、メンバーを自発的に動かすか、だ。
究極的にはマネージャーがいない場合でも、自動的に成果が上がる仕組みを作ることだ。
その為にはチーム全体が前向きに朗らかに働ける環境を作るというのが有効だと僕は思う。
もちろんそれぞれのメンバーには能力の優劣はある。
どうやってもできないメンバーもいる。
それでも、その時、その時間内において、仕事を共有しているメンバー達が、ある程度自分の居場所はここだ、ここにいてもいいのだ、という安心感を覚えられるようにしなければならない、と僕は考えている。
こんなことを言うと、非現実的であるとか、ユートピア的な甘い考えのように思われるかもしれないけれど、僕は実際にこのやり方で結果を出している。
証明する手段はないので、信じてもらうしかないのだけれど。
結果は自分にも他人にも可視化される
それはたぶん僕自身がドライなキャラクターであることも関係していると思う。
上手く言えないのだけれど、僕は結果で評価を行う。
色々なプロセス面での事情はもちろんわかるのだけれど、最優先させるのは何よりも結果だ。
そして結果というのは、ある種公平なものだ。
能力がない人にもそれは目に見える形で示されるものだからだ。
どんなに結果に拘らないように見える人でも、自分が結果を出していない、ということには自覚的であるように、僕には感じられる。
もう少しシビアな言い方をすると、本人にもそうだし、周りのメンバーにも可視化されている。
だからこそ、結果が出ていないと、より一層自責的になってしまう。
自分はチームに貢献できていない、と思ってしまう。
それは一面では事実であるのだけれど、では結果を出している人ばかりが集まったらチームとしてのパフォーマンスが向上するのかと言えばそうでもない。
メッシが11人いても、たぶんCLで優勝はできないだろう(いや、メッシなら可能かもしれないが…)。
チームにはそれぞれの個性が必要だし、マネージャーから見えていない貢献もたくさんある。
僕にはそれを全部把握することはできない。
それはチームメンバー同士で評価すればいい。
僕はその環境を作ることに協力するだけだ。
心理的安全感や自己有用感のようなものをその場で感じられるようにするだけだ。
機嫌よく仕事をする為には?
それを生む一つの方法として、マネージャーが率先して下らないことを言うことを今回はお勧めしてみた。
ただし、これは僕のキャラクターだから上手くいっているだけかもしれないので、自分に合わせたやり方をそれぞれで見つけて欲しい。
キーワードは「チームが機嫌よく仕事するためにはどうしたらいいか?」だ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
職場においては真面目でなくてはならない、というような風潮が僕は苦手です。
もちろんTPOというか、最低限その場に応じた雰囲気に合わせるべきだとは思うのですが、それが「ごっこ」になってしまうのはどうなのかな、と思っています。
このような「べき論」は色々なところに顔を出しますし、働いている人たちも「そういうものだから」「そういうルールだから」と無意識的に従っていたりします。
マネジメントには色々なアプローチ方法があるのですが、このような「変な常識」みたいなものを壊すことで、チームが円滑に回り出すということはよくあることです。
マネージャーがある種のトリックスターを演じることで、その壁を壊してしまう。
「何で今までこうしなかったのだろう」と後から思えるような仕組みを作る。
それだけで、「つかえ」が取れたようにチームは回り出します。
騙されたと思ってやってみて下さい(もちろん周囲の温度を測りながら進めるのが重要であるのは言うまでもありません)。