たくさん自己開示する
多くの人は言語によるコミュニケーションを重視する
人は思ったよりも他人のことがわからない、ということに気付くのに結構時間がかかった。
というのは、僕自身は初対面でも何往復か会話を行えば、その人がどのような傾向の人なのか(どのような思考方法を持つのか)がわかるのに対して、他の人はどうやらそうではない、ということが最近までわからなかったからだ。
これは言語内容(バーバル・コミュニケーション)だけでなく、非言語内容(ノンバーバル・コミュニケーション)も総動員した上の話であるのだけれど、どちらかというと、他の人はノンバーバル・コミュニケーションを読み解く力が弱いような印象を受ける。
もう少し平たい表現をするのであれば、言葉で伝えなければわからない人が多い、ということになるのかもしれない。
そういう意味において、マネージャーが周囲の人間と素早く円滑なコミュニケーションを取れるようになるためには、言語的な自己開示をなるべく早い段階でたくさんやっておいた方が良い、というのが今回の論点となる。
もちろん、何か数値的に証明できるものではないので、これはあくまでも僕個人の感覚に過ぎない。
でも、マネジメント業務をやっていて気付いたことなので、汎用性がないこともないのではないかと思って、書いてみることにする。
1回の面談では伝わらない
特に新しいチームに着任した時に適用できると思うのだけれど、大抵のチームのメンバーは新しいマネージャーがどういう人であるのかについてとても興味がある。
それぞれのメンバーの性格によってその表現の仕方は異なるが、一見興味がなさそうなメンバーであっても、本当に興味がないことは稀である。
僕自身はこの初期の関心(興味)に対する返答を面談を通じて行っていくことが多いが、そこでの気づきは、こちらは1回で大体のところはわかるが、向こうはそうではない、ということだ。
面談の満足度とメンバーの評価は異なることがある
営業経験がある程度ある人であればわかると思うが、コミュニケーションを円滑に進める為には、相手に多く話させることが重要だ。
思っているよりもだいぶ多く相手に話させることで、コミュニケーションというのはようやく均衡化する。
当然ながら、僕の面談スタイルというのも、この営業スタイルを継承したものとなることが多い。
結果として、僕よりもメンバーの方が多く話すことになる(たぶんメンバーはそのことに気付いてはいないし、メンバーも自分のことを新しいマネージャーに理解して欲しいという心性が働いているから余計にそうなりがちだ)。
となると、マネージャーはメンバーの情報をたくさん得られるが、メンバーはマネージャーの情報をそんなに得られない、という事態が生じる(ある種無意識的に)。
この状態をそのまま放置しておくと、「あのマネージャーは何を考えているのかよくわからない」という評価になってしまうのだが、こちらとしてはある程度面談に満足感を得ているので、その乖離に気付かないまま日々を過ごしていくことになってしまう。
総体としてのマネージャーを開示していく
これが僕の失敗談だ。
僕は相手もある程度の会話内容から自分のことをわかってくれるものだ、と過信していた。
でも、現実はそうでなかった。
もちろんここには先述した与える情報量の差というものがあるにせよ、それでもそのくらいの差は超克されるものだ、と勝手に思っていた。
でも、現実はそうでなかった。
だからこそマネージャーはたくさん自己開示すべきなのだ。
これは何も初回面談の時にマネージャーがたくさん話せ、ということではない(というか、それをやってしまうと、それはそれで面談は有益なものにならないだろう)。
折に触れて、自分がどういう人物であるのかを開示していくこと(意識的に)が重要だ、ということだ。
趣味や、家族構成などのプライベートな事柄から、経歴や、仕事への取り組み方、思考方法など、そういったものを能動的に発信していく。
そこには良い点も悪い点も含まれる。
総体としてのマネージャーを開示していく。
朝礼でも夕礼でも、会議でも、メールでも、発信方法は何でもいい(できれば最初の頃は顔が見える状態でのコミュニケーション手段の方が望ましい。文語ではメッセージの温度感を伝えるのが難しいからだ)。
とにかく、色々なことを話していく。
僕自身の感覚では、これで十分話したな(100%)、という時点をだいぶ超えて(300%)話しても、まだ足りないくらいだ。
とにかく、場面場面で自分の意見を言ったり、考え方を話したりを繰り返していく。
1000%くらいになったくらいで、ようやく自分という人物をわかり始める(スタートラインに立つ)といっても過言ではないくらいだ。
それくらい、他人というのは相手のことがわからない。
言葉を使ってわかりやすく自分を伝えていく
これは僕にとってはとても大きな驚きだった。
自意識過剰の傾向が強い僕は、相手も同じように自分の内面まで見透かしているものだと当然のように思っていた。
でも現実にはそんなに敏感な人物は多くない(別にディスっている訳ではなく、僕からすればそのように見えるというだけだ)。
だから、わかりやすい形で、特に言語というツールを多く使って、自分という人物を表現していくことがとても有用になる(僕はどちらかというと、非言語ツールの方がその人の本質を知る為には重要だと考えているけれど、大抵の人はどうやらそうではないようだ)。
簡潔に、単純に、わかりやすく、自分というものを開示していく。
それができるとできないとでは、マネジメントの方向性が大きく変わっていく。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
どうやってメンバーとの距離を詰めたらよいか、に悩んでいるマネージャーは多いと思います。
結論から言えば、それはマネージャーのキャラクター次第、ということになるのですが、今回のテーマである自己開示というのはある程度汎用性のあるものであると僕は考えています。
人間はよくわからない人物に対して、必要以上に警戒心や敵愾心を抱きがちなので、なるべく多くその判断材料を渡してあげる。
その上で好かれるか嫌われるかは相手の問題に過ぎないので、気にしないようにする。
こんな風に僕はメンバーとの距離感について考えています。
万人に好かれることは不可能です。
普通、をベースにやっていきましょう。