職場にSNSは必要か?
答えは自明
「できるだけ(他)人と繋がりたくない」という現代では圧倒的マイノリティに属する生活を送っている僕にとって、今回のテーマの答えは自明である。
A.不要だ。
以上。
でも、それだけではつまらないので、もう少し書いてみることにする。
普段うまくいっていないなら、SNSを使ってもうまくいくはずがない
僕はSNSというのは諸刃の剣だと思っている。
上手く使えばとても有用だけれど、そうでなければこれ以上に厄介なものはない。
特に職場のような半ばオープンで、半ばクローズドなコミュニティにおいてはその困難さは倍増する。
そこに上司(マネージャー)が含まれていたら猶更だ。
往々にしてマネージャーが間違えてしまうのは、SNSのような便利なコミュニケーションツールを使うことで、コミュニケーションを円滑に行えるようになる(自動的に)、という思い込みだ。
このように勘違いしたマネージャーは、(普段うまくいっていない)メンバーとの距離を詰めようと、プライベートな領域にもズケズケと踏み込んでいったりする。
メンバーはメンバーで、一応上司なので邪険にもできず、面倒だなと思いながらも、(表面的には)適切に対応したりする。
適切に対応された(と勘違いした)マネージャーは調子に乗って、また的外れな投稿を行ったりする。
以下永遠に繰り返し。
「SNS上で繋がること=仲が良い」ではない
僕が今一つ馴染めないのは、「SNS上で繋がること=仲が良い(良いチーム)」という考え方だ。
もちろんオンライン上だけでなくて、オフライン上においても仲が良ければ、SNSでも繋がることに何の異論もない。
でもここで僕が言いたいのは、オンライン上における半強制的な「仲良し感」だ。
こんなことを言うと反発を買いそうだけれど、職場においてチーム単位の人間が集まった時に、全員が仲良しなんてことはあり得ない。
それぞれがそれぞれの考え方を持った「大人たち」で、価値観も方向性もバラバラであることが多いからだ。
というか、むしろバラバラの方が良いと僕は思っているくらいだ。
そんなバラバラな人たちが、職場においては様々な能力を発揮して、チームとして大きな成果を上げる、それがチームで働くことの醍醐味だからだ。
そういう意味において、SNS上での「仲良し感」はチームの「(本当の)仲良し度」を確実に失わせる。
逆説的な話だけれど、僕はそんな風に考えている。
肯定を繰り返していくことがコミュニケーションなのか?
SNS上の(それだけでなく現代のと言ってもいいのかもしれない)コミュニケーションの多くは「肯定」によって行われる(もちろんSNSの種類によってその趣向は異なると思うが、ここではLINEのようなものをイメージしている)。
「いいね!」と直接言わなくても、それに似た同調するような発言を重ねていくことがデフォルトとされる。
言い換えれば、異論を唱えるようなことは認められない。
それは違うのではないか、という言説はSNS上ではタブー視される。
かくして、SNS上の典型的なやりとり(特にグループ間)は声の大きいものがまず発言を行い、それに対して他のメンバーが同調する、という形で現れることになる。
これを職場に置き換えると、声の大きいマネージャーが発言を行い、それに対して他のメンバーが(仕方なく)同調する、という形になる。
議論は表層をなぞり、同一階層で回り続ける。
毛繕いのように。
それこそがコミュニケーションの本質なのだよ、と言われれば、確かにその通りなのかもしれない。
たぶん僕の方がおかしいのだろう。
でも、もしこれをコミュニケーションと呼ぶのであれば、僕はそんなコミュニケーションは不要だ、と思う。
少なくとも、職場内においてそのようなコミュニケーションをすることによって、成果が上がることは期待できない、と思う。
それはそこには「体温が伴わないから」だ。
チームに仲の良さは不要
常々言っているように、僕はマネージャーとメンバーの関係は「普通」で良いと思っている。
別に仲良しでなくていい。
仕事における目的に向かって、いざという時に力を貸してもらえれば十分なのだ。
もちろんその為に普段から意思疎通を図っておくことは重要だ。
でもそれは少なくとも「リアル」から始めるべきだ。
「リアル」でも意思疎通が図れていないのに、「オンライン上」で意思疎通が図れると思うのは思い上がりだ。
リアルでの悪戦苦闘を経ることで、マネージャーとメンバーは強い紐帯で結ばれることになる。
そこには綺麗なものだけでない、言わば泥臭い体温を帯びる。
好きとか嫌いとかいう感情なんてどうでもいい。
人間同士なのだから、それがあるのは自然なことだ。
でもたとえ嫌いでも、双方の信頼関係がそこに生じているのであれば、チームは必ず成果を出すことができる。
生きた化石として
SNSに限った話ではないが、僕は形式的なものが大嫌いだ。
「装ったもの」が何よりも苦手だ。
だからこそ「仲良しクラブ」のようなSNSなんてやめてしまえばいい、なんて言っているのだろう。
使うのであれば事務連絡のみにするか、本当に仲が良い場合にするかだ。
まあ、早晩そんなことも言っていられない時代が到来するのだろう。
そこでも僕はシーラカンスのように海を泳ぎ続けるのだろう。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
(多分僕が変なのだと思いますが)他人同士が距離を詰めすぎると碌なことはない、と僕は思っています。
そしてSNSというのは、リアル上ではなかなか越えられない境界線を軽々と超えることができるとても便利なツールです。
でもその反動も大きいということには自覚的であるべきだと僕は思っています。
本文内でも書いたように、職場のような中途半端なコミュニティにおいてこの点を間違えてしまうと大怪我をしてしまいます。
世代間ギャップを感じていたり、文字による感情表現方法に不安を感じていたりする人は、必要以上に関わらない方が賢明です。
事務連絡のみに使っていきましょう。