確率を上げる仕組みを作る

運が良いだけじゃない
マネジメントは運に左右される。
それは事実だ。
でも厳密に言えば、それは「運」ではない。
「確率」を上げているのだ。
成功する仕組みを作っているのだ。
それを今回は書いていく。
メンバーの動きを良いものに変えれば、勝てる確率が上がる
僕のマネジメント上の成果は、よく「運が良かっただけだ」と一蹴されることが多いのだけれど、これを言う人に対して思うのは、「ああ、マネジメントがよくわかっていないんだな」ということだ。
確かに、外形的には僕のチームとそれ以前のチームの違いは分かりづらい。
メンバーを変えている訳でもないし、大きくやり方を変えている訳でもない。
マネージャーがプレーをしまくって、それで意気揚々としている訳でもない。
僕はただ暇そうに机に座っているだけだ。
時にあくびをしながら。
それでも成果が上がるのは何故なのか?
それは「確率」を上げているからだ。
メンバーの動きが良い方向になるように仕向けているからだ。
もう少し厳密な言い方をすると、メンバーそれぞれが自発的に動き、成果が出るような動きをするような仕組みを構築して、それをひたすら手直ししながら続ける、ということになる。
マネージャーのイメージに近い動きを無意識にさせる
人間というのは、自由意思を持っているので、各々の動きを完全に統一させることはできない。
もちろん、絶対君主のような高圧的なマネジメントスタイルをとれば、近似的に実現することは可能だ。
でも、僕のスタイルはそうではない。
嫌らしい言い方をすると、各々は気づいていないけれど、僕のイメージに近い動きを自然にしてしまっている(無意識の洗脳?)、そんな感じだ。
もちろん、全部が全部思い通りに動くわけではない。
でも「確率」を上げることはできる。
統計+行動経済学
ピンボール台を想像して欲しい。
各々のメンバーの動きは穴に向かって放たれる銀の球だ。
台上に解き放たれた銀の球は、それぞれ思い思いの動きを続ける。
時にピンにぶつかりながら方向を変え、イメージと違う穴に入ったりする。
でも、球を押し出す力を加減したり、ピンの位置を調整したり、穴の位置を変えたり、穴の大きさを変えたりすれば、入って欲しい穴の方に誘導できる確率は上がる。
これは統計のような考え方にも繋がるけれど、それを長いこと続けていくと、正規分布に近づいていく。
統計+行動経済学。
そんなイメージで僕はマネジメントをしている。
マネージャーの見えざる手
人間は1日の内で何千何万という判断を行っている(はずだ)。
その判断を少しでも良いものに変えていくこと。
その良い判断をできるメンバーを増やしていくこと。
それができれば自ずとチームは良い方向に向かっていく。
これを強権的にやればパワハラ寄りになるし、あまりにやらなければヘラヘラ寄りになる(パワハラ・ヘラヘラという用語については「はじめに」を読んで欲しい)。
僕が狡いのは、それをメンバーにあまり意識させていない点だ。
彼らはあくまでも自由意思に基づいて決断を行っていると思っている(はずだ)。
でもそこには僕の意思が(見えざる手が)介在している。
それをただ反復しているだけだ。
公平さをみんなが感じられるように微調整を続ける
そしてチームというものは生き物・生ものなので、その状況状況に応じてリバイスをしていかなければならない。
微調整を繰り返しながら、チームを良い状態に保っていく。
個々人のライフスタイルが変わったり、環境が変わったり、キャリア志向が変わったり、身内に不幸があったり、子供が生まれたり、本当に色々な変化がある。
硬直的なチームでは、これらは「不確定要素」として排除されがちであるのに対して、僕のチームではこれを「ボラティリティ」として楽しんでいる。
どうやったって、仕事というのはマンネリ化していくものだ。
慣性の法則に従って、人間というのは環境に慣れてしまうと、怠惰になっていくものだ。
そのような状況の中に「刺激」を与えるには、このような状況変化が必要だ。
もちろん外部環境の変化も関係してくるけれど、より重要なのはチーム内のパワーバランスを適切に調整することだ。
ある種の「公平さ」をメンバーみんなが感じられる状態を長く維持していく。
閾値を上げることをマネジメントと呼んでみる
この「フェアネス」みたいなものを高い水準に維持するのが大事だ。
不満は絶対になくならないし、誰もが100%満足しているなんてありえない。
でもその中でも納得感のある状態というのは作り出すことができる。
メンバーがある程度納得しながら仕事をしていること、それぞれの立場や状況が何となくわかっている状況を土台として、確率の高い仕事をしていく。
メンバーが良い動きをする確率を上げることができれば、大きなミスや判断間違いをする確率は下がっていく。
いわば、そういうものは「外れ値」になっていく。
もちろんゼロにはならないけれど、ある程度の範囲内でチームマネジメントを行うことが可能になる。
この範囲を上方へスライドさせること、閾値を上げることと、これがマネジメントだ。
マーケットを相手にするように
ではその確率を上げる為には何をすればよいのか?
それはこのブログ内に書いてある。
僕が色々な角度から様々なことを書いているのは、この確率を上げる為の方法論だ。
「これをやればチームは必ずうまくいく!」みたいなインチキビジネス本みたいなことは言えないけれど、それらの総体として、チームマネジメントを向上させることはできる。
まずは考え方を変えることだ。
マーケットを相手にするみたいに、自分が全てのメンバーの行動を規定することは不可能であることを体感として理解する。
その上で、そのバラバラな彼らの動きを自分の望ましいものに変えていく為にはどうすればいいのかを考える。
アメもムチもモチベーションも経済合理性も何でもかんでも使えるものは使っていく。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
使い古された表現ですが、あのイチローでさえ生涯打率は3割1分1厘でしかないわけです。
10回打席に立って、ヒットは3回。
裏返せば、7回はアウトになっている訳です。
では他の選手との違いはどのくらいか?
せいぜい2割~3割の間(2割だと凡庸、3割だと優秀)の差でしょう。
言い換えれば、10回の内、2回ヒットを打てるか、3回ヒットを打てるかの差でしかないわけです(もちろんこの差が大きいのですが…)。
でも、打席が10回であればその差は1本ですが、100回になれば10本、1000回になれば100本、というような差になっていきます。
僕が言いたいのは、この僅かな差(とその積み重ね)のことです。
「メンバーたちの無数の判断」×「メンバーの人数」×「チームの活動日数」=「莫大な数」になります。
これを1分でも1厘でも良いものにできれば、チームというのは確実に良くなっていきます。
少しでも勝てる確率を上げられるようなマネジメントをしていきましょう。