雑談をしよう

効果的な雑談について
雑談についてはとっくの昔に書いていたと思っていたけれど、纏めたものがなかったので改めてきちんと書いてみる。
営業マン上がりの僕にとって、雑談というのはとても身近なツールである。
「効果的な雑談」ができるかどうかで営業マンとしてのレベルが見分けられる、といっても過言ではないくらい、雑談というのはとても重要なものでもある。
管理職となり、営業の最前線に出る機会が以前より減った時に、僕はこの手法を顧客ではなく自分のチームのメンバーに使ってみたらどうか、と考えるようになった。
雑談によって顧客と円滑にコミュニケーションが取れるのであれば、メンバーとも同じようにやればよいのではないか。
これは一部では正解であるが、一部は不正解である。
それを今回は書いていく。
顧客との雑談は「仕掛けるもの」
対顧客向けの雑談は、ある種「狙い」があるものだ。
嫌らしい言い方をすると、自分が考えるストーリーに沿ったような展開になるように「効果的に」雑談を使っていく、そんな感じになる。
顧客はそれがセールスの一環だとは気づいていないが、こちらとしては導入部分であることは間違いないし、本丸の近辺を探っているような話し方となる。
(横道には逸れるが、できないセールスマンは雑談と本題の「接続」ができないし、そもそもそういう意識すらないことが多い。雑談を本当に「ただの雑談」としてしまうと、単なる時間の浪費となってしまうし、オープニングトークや場を温めるものとも違うという感覚がわからないようだ。雑談とはあくまでも「仕掛けるもの」である。ただ本論とは逸れるのでまたどこかで書いてみようと思う)
そういう意味においては、顧客との雑談というのは本当の意味では雑談ではない。
それはある種緊張感を持ったもので、「リラックス」というものとは程遠いものだ。
話の流れを読まなければならないし、ポイントを的確に捉えなければならないからだ。
常に頭を回転させながら、ヒットアンドアウェイを繰り返していく。
ここぞというところで、次の展開へ持っていく。
それが顧客との雑談だ。
メンバーとの雑談は「創発性」を呼び込むもの
一方、チームメンバーとの雑談はそのような「狙い」や「仕掛け」はない。
ブレインストーミングに近いもの、アイディアの上にアイディアを重ねていくような感じ、創発性を呼び込むようなイメージ、で僕はそれを考えている。
アイディアの萌芽をぽんっと投げ込むように僕は思いついたことを話し始める。
それはどこに行きつくかもわからない、自分で考えてすらいないものだ。
そして投げ込まれたその芽は色々なメンバーの話にグルーヴされていって、どんどんとよくわからないものに育っていく。
そこに「意図」はない。
ただ「音の心地よさ」みたいなものに駆動されていく。
「面白さ」みたいな波の上を転がっていく。
一種の言葉遊びみたいなもの。
それぞれリズムの異なるインプロビゼーション。
どれだけ面白いことが言えるかという競争。
そんな風に僕はチームでの雑談を捉えている。
1人の人間として面白い奴なのかどうか
これは後知恵になるのだけれど、こういう「無駄話」というのはマネージャーの価値観みたいなものをメンバーに理解してもらうのにとても重要なものだ。
自分はどういう人間であるのか、どういうことに面白さを覚えるのか、どういうリズムや言葉を心地よいと思うのか、そういうことを無意識のうちに浸透させていく。
ポジションも権威も何も関係ない。
ただ1人の人間として面白い奴であるのかどうか。
そういうものがチームの運営のキーとなる。
チームを生き物として捉える
僕はマネジメントは「生もの」であると考えていて、それはある種「不定形」なものであると考えている。
もう少しビジネスっぽく話すのであるのであれば、VUCAの時代においては、それに加えて「大義」や「意味」みたいなものがないと、チームを効果的に動かしていくことは不可能である、と考えている。
それはKPIとかPDCAとかそういうものとは大きく異なる概念だ。
多くのマネージャーは、チームマネジメントをもう少しシステマチック(機械的)に捉えているようであるけれど、僕はバイオロジカル(生物的)に捉えている、と言ったら伝わるだろうか。
「下ごしらえ」としての雑談
大事なのはメンバーのメンタルであって、それだけあればとりあえずはどうにかなる。
マネージャーは「管理職」ではなく「支援職」であって、メンバーの能力を賦活することが重要なミッションとなる。
そしてメンバーの能力を賦活するためには、マネージャーがそういう「大義」や「意味」を与えられる(共有できる)人物でなければならない。
「こいつがそう言うならいっちょやってみるか」みたいな感じに思ってもらえるかどうか。
最終的にはマネージャーの人間性やキャラクターが大事となる(というか、それしかない)。
メンバーのテンションを上げること、体温を上げること、それがマネージャーの仕事であって、それ以外のことははっきり言って些末なことに過ぎない。
それを為す為には、マネージャーという人間を多面的に知ってもらうしかない。
自分をできるだけ開示して、良いところも悪いところもひっくるめてメンバーに理解してもらう。
メンバーもメンバーで、良いところも悪いところも開示していく。
そんな不完全な人間達が集まったチームで、それぞれの面白いところを重ね合わせていく。
それが大きなチームの力となる。
その「下ごしらえ」が雑談というものだ。
それではまた。
いい仕事をしましょう。
あとがき
僕には自分の言っていることを面白いと思ってもらいたい、という欲望があります。
ウケたい、という気持ちがあります。
ここでの「面白い」「ウケる」というのは、もちろん「笑いが生じる」ということが1番ですが、「興味深い」「傾聴に値する」というような意味合いも帯びています。
僕はそれを雑談という形で日々繰り返しています。
オンとオフを使い分けることでマネジメントにメリハリを生ませることも大事な要素ではあると思いますが、僕のキャラクターではそれは向いていないし、何よりもオンが続かない。
それならば、オフの延長線上に仕事を持っていけばいいのではないか、というのが僕のマネジメントスタイルです。
仕事はつまらないし厳しいものであるということをデフォルトとして、だからこそ楽しくやろうよ(たとえそれが幻想に過ぎなくても)というのが僕の考え方です。
ブレストなんてなくても、楽しく新しい発想なんてものは湧いてきます。
気楽にやっていきましょう。