能力の高さって関係ないのかも?

マネージャーの優秀さは部下を窮屈にする?

今日は仮説というか、最近ぼんやりと考えていることを書いてみようと思う。

マネージャーになって7年近く経つので、後輩のマネージャーの仕事振りを見て欲しい、みたいな話が時折来るようになった。

その時に思うのが、「(皆一様に)とても優秀である」ということである。

彼ら(彼女ら)はテキパキと数字を纏め、方針を打ち出し、感じ良く振舞うことができる。

少なくとも僕が駆け出しだった頃とは比べ物にならないくらい高いレベルでそれらを行うことができる。

ただ、というのが今日の話で、それが必ずしも成果に繋がる訳ではないのかもしれない、と思うのである。

それは、何というか、部下が「窮屈そう」であることに関係しているのかもしれない。

それでは始めていこう。

マネージャーには隙が必要である

「隙がない人がモテないように、隙がないマネージャーもイマイチである」

そんなことを最近考えている。

会社側としては、隙がなくて優秀な人だからマネージャーとしても適任であるだろうと考えているのだろうけれど、必ずしもそうではないのではないだろうか、というのが僕が今感がえていることである。

マネージャーには隙が必要である。

というか、それが隙であるということを自分で認められるような度量(余裕)がマネージャーには必要である、と僕は考えている。

優秀なマネージャーのチームには伸びしろがない

現代のようにテンポが速いビジネス環境においては、あらゆる分野で部下よりも優れているということはまず起こりえない。

でも、時にそのくらい優秀なマネージャーがいたりする。

どの分野においても高いレベルで仕事をこなすことができる、本当に優秀な人がいたりする。

ただ、その人のチームが成果を残せるのかというと、それはまた別問題である、と僕は考えている。

それはチームの伸びしろがないからではないか、というのが今日の仮説である。

上手く言えないのだけれど、上手に部下に甘えられないことによって、部下はその仕事を習熟する機会を逸する、結果としてチーム力が上がらない、みたいな構造になっているような気がしている。

もう少し詳しく書いていく。

穴があることが組織を強くする

「課長は暇そうでいい」というのが僕の持論である。

それはなぜかと言うと、部下に仕事を任せることによって、それぞれの部下に「尖り」が出てきて、全体としてチーム力が向上するからである。

これを優秀なマネージャーが全部引き取ってしまうと(忙しそうに働いてしまうと)、部下は遠慮したり、甘えたりしてしまって、その仕事をする機会と意欲がなくなってしまうのである。

部下に仕事を任せろ、というのはマネジメント本ではよく言われる話であるが、プレイングマネージャー的な仕事を求められる現代においては、実践が難しいということはよく言われる。

マネージャーが優秀であれば、その機会は確かに少なくなってしまう(自分でできてしまうから)。

でも、ここに罠があるような気がしているのだ。

穴があることを気付かない愚か者を演じる

適切な表現ではないかもしれないけれど、穴があったら誰かが埋めてくれるまで放っておく、くらいのスタンスがいいのではないか、と僕は思っている。

優秀なマネージャーは、優秀であるが故、真っ先に「穴」に気づいてしまう。

そして自分でその「穴」を埋めてしまう。

でも、これが良くないのではないか、と最近は思っている。

馬鹿なフリ、ということ語弊があるかもしれないけれど、穴を見つけたとしても気付かない振りをしておく、結果として部下がそれに気づいて、自発的に埋めようとする(「仕方ないな」と愚痴をこぼしながら)、これが重要なのである。

穴を放置できるのは責任を取る覚悟があるから

仕事には、「誰のものでもない領域(グレー領域)」のものがあって、これを誰がやるのか、というのはいつだって問題となる。

往々にして優秀なマネージャーはこれをやってしまおうとするのだけれど、最近の僕はそれが必ずしも良いことではないのかもしれないと思っている。

組織側からはこのようなマネージャーは優秀だという評価を受けるようだけれど、僕の考え方はその真逆である。

このようなマネージャーはプレーヤーとしては優秀かもしれないけれど、マネージャーとしてはそうとは言い切れない、僕はそう考えている。

優秀なマネージャーはそれに気づきながらも、それを放置できる度量を持っている人のことを言うのである。

裏を返せば、それによって被る責任は全てマネージャーのものである、という覚悟を持ったものだけがこれを放置できるのだ。

「穴」があったら、そしてそれを部下が見つけたら、「穴が開いてるねえ」とアホな顔をして言えることが大事であり、部下に「仕方ない。オレがやるか」と思わせることが重要なのである。

不名誉を受けたくない

これはある意味で、「仕事のできないマネージャー」というような評価を部下から受けるリスクを負う、ということとも言える。

優秀なマネージャーは優秀であるがゆえに、この不名誉を受けたくない。

だから任せられない。

そんなことを最近は考えている。

打算的に隙を作る

隙というのはある程度打算的に作らなければ生まれない(特に若いうちは)。

でもそれができた時、マネージャーとしては一段階レベルが上がるような気がしている。

それができるかどうかで、チームとしての成果の伸びが変わってくるのである。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

マネージャーには色々なタイプがいます。

でも、経験上、マネージャーがあまり優秀じゃない方がチームは生き生きとしているような気がしています。

ここで言う「優秀」というのは、表現が難しいのですが、「度量」という言葉とトレードオフであるような気がしています。

優秀なマネージャーは、優秀であるが故に、アホなフリができる。

僕はそんなことを最近考えています。

力を抜いていきましょう。