若手を伸ばすには?

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若手の質が変わってきた

若手の育成で悩んでいる管理職の方は多いと思う。

「なぜこんなにも伸びないのか?」

それはどの職場でも繰り返し問われるものだろう。

僕も歳を重ねて、入ってくる新人や若手職員との年齢差が年々開いていく中で、この数年間で若手の質が変わってきたという印象を持っている。

それはポジティブでもネガティブでもなくて、ただ「変わった」というのが現在の評価である。

そんな若手とどのように付き合えばいいのか?

どうしたら彼ら(彼女ら)を戦力化できるのか?

今日はそんなことを書いていこうと思う。

「立場」としての信頼と、「人」としての信頼

先に結論めいたことを言うと、これは「心を掴む」ということになるのかと思っている。

もう少し詳しく書くと、「管理職という立場としての信頼を得るのではなくて、人としての信頼を得ることで、建前を取り除いた本質的な話を届かせる」ということになるのかもしれない。

そして時間軸の射程は以前よりも長めに考える。

こんな感じである。

及第点は取れるが面白味がない「いい子」たち

これは彼ら(彼女ら)の「仮面を剥ぎ取る」ことにも関係している。

この数年の若手に対して僕が感じるのは、彼ら(彼女ら)は総じて「いい子」であるということだ。

ここで言う「いい子」というのは、その言葉の語感そのままの意味で、相手との接し方に配慮を置き感じ良く振舞える、ただレスポンスは可もなく不可もない(優等生的)、そんなことを彼ら(彼女ら)から感じるのである。

辛辣な言い方をすると、及第点は取れるし、赤点は付かないけれど、それ以上にはならない(毒にも薬にもならない)、そんな感じである。

量産型いい子

そして彼ら(彼女ら)自身もそれが当たり前の所作であると思っているようだ。

それ以外の感性が他人には存在すること、その概念自体が欠落しているような印象。

同世代以外とのコミュニケーション量が、以前の世代に比べて圧倒的に欠如しているような感覚。

それは良く言えば「自分の世界がある」ということであるし、悪く言えば「世界が狭い」ということになるのかもしれない。

量産型いい子。

その仮面を剥ぎ取り、視野を広げていく。

その為には心を掴み、マネージャーとの信頼関係を構築することが必要となる。

オーダーメイドで付き合う

それはどのように行えば良いのか?

僕が考える現在時点の答えは、「個別化する」ということである。

多を相手にするのではなく、1対1の「オーダーメイド」で付き合う。

それが現代の若手育成に必要なものだと僕は思っている。

「自律的に動くだろう」という考えを捨てる

「自分で考え、自律的に動く」若手の比率は、以前に比べると下がっている可能性がある(高い)ことを考慮に入れ、「言っておけば勝手にやるだろう」という考えを捨てる。

指示を具体化し、1人1人違ったもの状況に応じて行う。

それが必要なのだと思う。

一問一答形式

これははっきり言ってかなり面倒くさい。

面倒くさいなんて言うと管理者失格であるけれど、本当にそうなのだから仕方がない。

「AIじゃないんだから、聞かれたことをそのまま返すのではなくて、プラスアルファで何か付けろよ」と思うのは日常茶飯事である。

彼ら(彼女ら)の応答のベースは「一問一答」である。

こちらが聞いたことに答えるだけ。

それも最小限の語数で。

これではなかなか営業としては厳しいのである。

まだ時代に合っていない

ただこれは現在の人口構成に適合していないだけであって、早晩このスタイルのコミュニケーションを取る人の割合が増えるにしたがって、問題は少なくなるものだろう、と僕は考えている。

良いとか悪いとかではなくて、今の時代には(まだ)合っていない、そういう意味である。

なので、そのバージョンのOS(もしくはアプリケーション)を彼ら(彼女ら)にインストールする。

そもそもの基盤みたいなものを理解してもらう。

その経験値、絶対量みたいなものが圧倒的に足りないのだ。

想定外の事態ばかり

彼ら(彼女ら)と会話をしていると、「想定外の事態」がとても多いように感じる。

それは視野狭窄というか、視野外のものがブラックアウトしているような感覚であるように僕には見える。

そこに機会がある毎に気づいてもらう。

この「訓練」が必要なのである。

旧習だと切り捨てられないようにする

そしてその「訓練」を施す為には、こちらの言っていることが「旧習」ではなくて、「そういう考え方もあるのだ」というフラットな状態で聞き入れてもらうような状態に持っていくことが必要となる。

「おじさんがまたなんか古臭いこと言っているよ(フリーズ)…」という状態にさせるのではなくて、「なるほど」と思って貰えるような関係性を構築する。

それが「心を掴む」ということであり、「個別化する」ということである。

「なんでこんなことまで?」と思わないと言ったら嘘になる。

「そんなの自分で考えろよ」と思うことだってよくある。

ただ、そうやって切り捨てていても戦力化できないし、彼ら(彼女ら)を戦力化できないと、弱小チームにおける運営はなかなか厳しいのである。

出荷した状態のままに近い

そして、ベース自体は決して悪くないのだ。

ただ、アプリケーションが少ないというか、OSそのままの状態であるというか、要は、できることが少ないだけなのである。

それを1つ1つ身に付けさせていく。

時間はかかるけれど、こちらがきちんと向き合えば、素直に吸収してくれるのも事実である。

そうやって時間をかけて成長させていく。

いつしか、戦える状態になっているはずだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。


あとがき

多くの人達は現代の若手と話をするとイライラするだろうな、と僕は思います。

それが何から生じるのかはわかりません。

近い歳の部下ですら、Z世代とのギャップは感じるようなので、必ずしも年齢差だけではないようです。

現在時点で僕が思うのは、「入力に即した出力を行うのがコミュニケーションである」と彼ら(彼女ら)が考えているのではないか、ということです。

それは予測可能で、ある一定の範囲に落ちる種類の応答です。

少なくとも、「話の往来を媒介として自分を変容していく」ことを想定しているようには見えません。

色々と苦労も多いですが、粘り強く付き合っていきましょう。