育成には濃淡をつけるべきだ

UnsplashVolodymyr Hryshchenkoが撮影した写真

通念とは違うかもしれないけれど…

今日の話は自分もそう思っていたし、多くの人もそう思っているのではないかという話である。

それは「部下育成は平等に」という概念についてである。

できるだけ偏りがなく、皆均等に部下への愛情を注ぐ。

確かに理想的ではある。

でも、「それって無理じゃね?(というかするべきではなくね?)」というのが今日の話である。

それでは始めていこう。

メンバーを均等にレベルアップさせるのって現実的ではないのでは?

マネージャーの大事な仕事の1つに部下育成がある。

そしてチームの成果を高める為には、部下の能力を高める必要がある。

ここまでは(そんなに)異論はないだろうと思う。

では、その部下育成ってどんな形が望ましいのだろうか?

僕はマネージャーになってから数年は、メンバーそれぞれが均等にレベルアップしていくことが望ましい、と思っていたような気がする。

それぞれのメンバーにはそれぞれの特徴があり、成長のタイミングも異なるから、それに合わせた指導をすべきである、そう考えていたような気がする。

もちろん今だって、この考え方を完全否定している訳ではない。

ただ、とは思うのである。

「現実的ではないのでは?」というのが僕の現在位置だ。

有限なリソースの割り当て方

当たり前の話であるが、マネージャーのリソースは有限である。

そしてそのリソースの中で部下育成に割り当てられるのは、また全体の中の1部である。

それをどのように配分するか?

均等に、というのが今までの考え方であった。

現在は違う。

「思いっきり偏って良いのでは?」

そう思っている。

パレートの法則

これは「パレートの法則」がどうしても仕事をしていると頭をもたげるからである。

パレートの法則とは、特定の20%が全体の成果の80%を生み出している(80:20の法則とも言う)、という経験則のことである。

これは営業にも当てはまる。

チームの成果というのは、均等にはならない。

メンバーのうちの何人かが、チームの大半の成果を上げる。

だったら、その人にマネージャーのリソースを割くべきでは?

僕は今そう考えている。

取り敢えず今シーズンのことを考える

もちろん次の世代の20%を生むべく力を注ぐ、という考え方もないことはない。

でも、どちらかというと、現在時点での戦力の方を僕は重要視しているような気がする。

大事なのは今期の決算であって、現有戦力でどのくらいの成果を出せるのかが最優先されるのだ。

「育成」なんて甘っちょろいことを言っていられない場合も多いから。

贔屓? まあ、確かに…

この話をする時に、カウンターとして思いつくのは、「それは贔屓ではないか?」ということである。

うん、そう、贔屓なのである。

いや、贔屓というと言葉が悪い。

あなたのポジションがトップ下で、ゴール前にFWが2人待っているとしたら、ラストパスは得点の可能性が高い方に出すよね、そういう感じである。

それは贔屓とはちょっと違う概念であるような気がしている。

あからさまにはやらないけれど

もちろん、「固定化」という懸念はある。

特定のメンバーにマネージャーの意識が集中してしまって、他のメンバーのやる気が削がれる、そのようなデメリットはある。

ただ、これは見せ方にもよると思うのだ。

こんな風に書いているけれど、僕は普段からあからさまに特定のメンバーにパスを出し続けている訳ではない。

でも、見る人が見ればわかる、というか。

他のメンバーにもチャンスは与えるけれど、それを決めなければ次はないよね、それは仕方がないよね、そんなイメージである。

甘い考えを排す

これは残酷と言えば残酷である。

マネージャーたるもの、そんなことをすべきではない、そういう話も分からないではない。

でも、現実問題として、できない人はいつまでたってもできるようにはならないし、そこに体力を取られることで、できる人も下方に引っ張られてしまうというリスクもあるのだ、と僕は思っている。

悪平等はいらない。

今シーズンを戦うためにはやむを得ない。

そこを中途半端に考えると、「多くの部下が育成中なので仕方なかったんです」というような言い訳めいた話になってしまう。

それでも成果を出すのがマネージャーの仕事なのだ。

成果が全て

ニュアンスが難しいけれど、部下育成というのは、マネージャーにとっては「逃げ」の言葉になり得る、ということは頭に入れておいた方がいいと思う。

というか、部下育成が上手くいっているなら、成果も出るのである。

裏を返せば、成果が出ていないなら、部下育成も失敗しているということである。

言い過ぎのきらいはある。

でも、そのくらいの厳しさを持っていなければ、部下育成なんてできないのだ。

試合に出られるレベルになるのは部下の責任では?

メンバーを試合に出すのは、試合に勝ちたいからだ。

もちろんそこに育成の要素がないとは言えない。

でも、明らかに試合に出るレベルにない選手を、育成目的だからといって試合に出すのは違うと僕は思っている。

そしてもし試合に出るレベルにないのであれば、それはマネージャーの仕事ではなく、部下の問題であるような気もしている。

上げ膳据え膳で仕事をしようなんて甘すぎる。

まずは自己トレーニングを。

その上に育成があるのだ。

厳しい話になった。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

何かというと、「外部がー」という人にウンザリしています。

もちろん外部環境や運の要素、その他諸々の要因で、その人の成果が上がらない(上がりづらい)ということはあると思います。

でも、いつまでもそれを言っていても始まらない。

そのようなマイナス要素をデフォルトとして、じゃあ何をするのか、というのが大事であるように僕は考えています。

試合に出る為には、基礎トレーニングも重要です。

育成の責任を背負い過ぎないようにしていきましょう。