戦略・戦略・戦略!

UnsplashFelix Mittermeierが撮影した写真

人員が限られた組織で成果を出すために

以前に「人が足りない」という趣旨の記事を書いた。

それは「コロナ以後」の一時的な現象ではなく、今後の人口減少社会におけるデフォルトになるだろうと僕は思っている。

ここにDXの概念が入ってきて、人がやっていたことを何とか置き換えられないか、生産性を上げられないか、という議論に繋がっていく。

それは大前提だ。

でも、もう少し先の未来のような気もしている。

まだまだ人間でしかできない領域は広いし、本格的にDXが浸透するまでの期間(特に日本社会では結構な時間がかかるだろう)においては人が少ないという状況に耐えなければならない。

そして、人が少ないからといって、組織が甘やかしてくれる訳でもない。

そんな人員が限られたチーム(組織)において、高い成果を出すためにはどうしたらいいのか?

戦略しかない。

今日はそんなことを書いていく。

精神論よりも戦略論を

僕がこのブログの最初期に書いたのが、「戦略を考えよう」という記事で、これは内容は稚拙ではあるけれど、その時に感じていた問題意識がよく表れている文章だと自分では思っている。

精神論よりも戦略論を。

それが僕がマネジメントをやる上で大事にしていることであるし、日本組織の問題点であるとも思っている。

そしてその問題点は現在においてもあまり改善されていない。

何か行き詰ると、「気持ちが足りない」「頑張ろう!」という精神論にすぐに向いてしまうのが日本社会(日本組織)の特徴である。

もちろん精神は大事だ。

でも、それは「人事を尽くして天命を待つ」段階、やり尽くしたあとであるからこそ差が表れるもので、それまでにやらなければならないことはたくさんある。

そして、そのやらなければならないことを決める中で重要な幹となるのが戦略である。

ただ、悲しいかな、日本組織はこの戦略策定が苦手だ。

それはもう絶望的なくらい

精神主義と理想論のミックスではなく

戦略というのは、一言で言うなら「どこに資源を集中させるか」ということである。

これは裏を返せば、「どこを捨てるか」という意味でもある。

この「選択と集中」を考えることが、我々マネジメントの仕事なのである。

そしてそこには現実主義的な視点が不可欠だ。

僕たち日本社会は、何かコトが起きると、「精神主義+理想論」の組み合わせによって、その局面を乗り切ろうとしがちだ。

先の戦争も、大震災も、原発事故も、コロナも。

それは(繰り返すようだが)決して悪いことばかりとは言えない。

でも、「もっとやることあるでしょ?」とは思ってしまうのだ。

優先順位をつけることはやむを得ないことである、という観念の醸成

これはトリアージ的な概念に近いかもしれない。

「全ての人を救いたい」

それは誰だって一緒だ。

でも、それが現実的に不可能な時、限られた資源をどこに優先的に配分すべきなのか、を冷静かつ冷酷に考えなければならない。

ただ、日本社会においては、「みんなで頑張れば救えるはずだ!」とか「なぜ全員を救えないんだ! 不公平だ!」という議論がすぐに巻き起こる。

きっといい人が多いのだろう。

だけど、戦略を策定する人はそうではいけないのだ。

現実的に、ある種残酷に、優先順位をつけなければならない。

優先順位をつけるということは、優先順位をつけられなかった誰かは死ぬことを意味する。

それは痛ましい事態ではある。

でも、やむを得ないのでは?

というか、それによって、より多くの人を救うことができたのであれば、その決断は評価されるべきなのでは?

その決断を評価しないから、リスクを取った人を排撃するから、日本社会においてはいつまでも決断が先延ばしされるのでは?

僕はそんなことを思ってしまう。

人的な能力と精神力が優れているのはわかった。でも…

たぶん、僕たち日本人の脳内では、戦略を策定する機能というのがあまり発達していないのかもしれない。

物事を大局的かつ俯瞰的に見る能力が、外国の人と比べて劣っているような気がしている。

それは一緒に仕事をしていると思うことだ。

これは悪いことだけではない。

個別の事象個別の局面において、日本人は物事を具体的に作りこめる点で優位に立っているようには思う。

でも、抽象論となるとてんでダメだ。

ましてやフレームワーク的な概念になると、もうお手上げである。

物事を「仕組化」したり、「自動化」したりすることを考えるよりも、人的な能力や精神力によって乗り切ろうとしがちなのだ。

そして上記したように、それが「できてしまう」のである。

個々の能力は高く、個別の事象に対して圧倒的な力を発揮できるから。

でも、それに甘えてはいけないのだ。

ましてや人口減少社会である。

人が減る中では、個々のマンパワーを集めたところで限界はある。

量よりも質を高める必要がある。

その為に戦略に知恵を絞るのだ。

調整とアップデート

戦略策定の基本は、捨てることだ。

徹底的にやらないことを増やしていく。

断捨離ミニマリズムみたいなものだ。

その結果残ったものに資源を集中する。

そしてそれを仕組化する。

誰がやっても、そんなに成果が変わらないような形を構築する。

それは現場を知らなければできないし、すぐに100%フィットするものでもない。

調整を繰り返し、アップデートしていく。

その繰り返しが、マネジメントのレベルを上げてくれるのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

戦略、というと、机の前でウンウン唸って考えるものだ、と思っている人が多いように感じています。

もちろんそれも大事ですが、出来合いのものをまずやってみて、それをアップデートしていく、くらいのカジュアルなものでもいいのではないか、と僕は思っています。

ただ、そこには「仮説」が不可欠ではありますが。

日本人は「仮説構築」がめちゃくちゃ下手だと僕は思っています。

ここに戦略論が定着しない根本的な原因があるのかもしれません。

完璧を求めず、でも「こうかもしれない」という考えを持って、戦略を作っていきましょう。