評価の伝え方

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厳しいことは言いづらい?

前回、評価方法について書いたので、今回はその伝え方について書いていこうと思う。

僕は人事評価において「ドライに傾斜をつけた評価」をしている。

こう書くと、「それを部下に伝えるのって難しそう…」と思われる人もいると思う。

また、人事評価に限らず、部下に対して「厳しいことは言いづらい」とか「何となくお茶を濁してしまう」「遠回しな表現をする」という人もそれなりにいるように感じている。

ただ、僕が9年近くマネジメントをしてきて思うのは、「変に取り繕うより、ストレートに言った方がいいよ」ということである。

それは「部下を信頼する」ということにも繋がっている。

部下を信頼しているからこそ、厳しいことを言っても受け入れられる。

普段からそのような関係性を築けているか否か。

それがここぞという時に効いてくる。

今日はそんな話をしていこうと思う。

1on1の内容

僕は毎週部下と1on1をやっている。

そこではコーチングなんていう素晴らしいことは全くやっていなくて、ただ下らない話をしているだけである。

長い話になる時もあれば、短く終わる場合もあるけれど、内容としては「雑談」の範疇に入ることが殆どだ。

でも、時折真面目な話をする時がある。

その1つが今回のテーマでもある評価に関する話である。

営業は達否が一目瞭然

僕はそれぞれの部下の成果を目標に対する達成率という形で1表にまとめる。

それを見ながら話をする。

そういう意味では、営業という職種は比較的分かり易いものだと言える。

達否が一目瞭然であるから。

そこに感情が入り込む余地はないから。

ストレートに言わないのは相手のことを慮っているから?

ここで冒頭の話に戻る。

例えば厳しい達成状況の部下がいるとして、あなたはその部下に対して「厳しい達成状況です」とストレートに伝えることができているだろうか?

これは是非思い返して頂きたい。

どうだろうか?

僕自身の(被評価者としての)経験もそうであるが、多くのマネージャーはこのことをあまりはっきりとは言わないと僕は思っている。

また、「言わないことが良いことである」というようなニュアンスを感じることもある。

そうなのだろうか?

僕はここに疑問を持っている。

日本的文化(婉曲表現的な)なのか、コンプライアンスを気にしているのか、単純に嫌われたくないのか、その理由はよくわからないけれど、この部分をごにょごにょと濁してしてしまう人は、やっぱりマネジメントを担う人としてはイマイチなのではないか、と僕は思っている。

でも、このような人ばかりである。

それではマネジメントは上手くいかない。

成果が第一目的

マネージャーは成果を上げるのが仕事である。

というか、部下も同様なのである。

仕事というものは、成果を上げるのがその第一目的なのである。

それ以外のことは、付帯的な物事に過ぎない。

だからこそ、そこにきちんと向き合うべきだと僕は思っている。

もちろん、厳しい現実と向き合わざるを得ない場合もある。

だからと言って、目を背けてはいけないのだ。

成果はただの成果に過ぎない

厳しい成果しか上げられなかった部下に対して、「厳しい評価です」と伝えるのはそれなりにストレスのかかる場面ではある。

もちろん、誰だって嫌なことは言いたくない。

嫌われたくないのは僕だって一緒だ。

ただ、それとこれとは話が違うのである。

成果はあくまでも成果だ。

そこに人格的な要素は関係ない。

ハラスメントの議論や、部下教育の話でも出てくることだと思うが、別に部下の人格がどうとか、性格がどうとか、そういう話をするわけではないのだ。

言うなれば、「ただの成果」である。

個人攻撃をする訳でも、嫌いだということを表明する訳でもない。

ただ、達否を話すだけなのだ。

書くと簡単なことである。

でも、それができているだろうか?

部下を信頼していなければ、厳しいことは言えない

僕は成果が大事といつもこのブログに書いている。

だからこそ、成果を成果としてきちんと評価することも大事なのである。

そこに二面性噓偽りがあってはならない。

余計な感情思いやりは不要なのだ。

もちろん、こんな僕だって、人間としての感情はある。

一緒のチームで戦っていれば、部下にそれなりの情だって湧く。

でも、だからこそ、きちんと厳しいことも言うべきなのだ。

そして、それは部下を信頼しているからこそできることなのである、とも僕は思っている。

変にお茶を濁したり、やんわりと伝えることは、優しさではない。

むしろ、部下を信頼していない証拠であるとすら言ってもいいかもしれない(これはやや言い過ぎかもしれない)。

厳しい現実であっても、そこから逃げずに真摯に向き合うこと。

面談の場が凍り付くような場面であっても、部下を信頼し、そのことをきちんと正面から伝えること。

これが成果を継続的に上げるチームを作る土台になるのだ。

非人間的だという誹りを恐れて、文句だけ言うなよ?

僕は正直者が馬鹿を見るようなチームだけは作りたくない。

その為には公平なジャッジが不可欠だ。

ただ、公平なジャッジには、非人間的な要素が帯びざるを得ない状況がある。

そしてそのような誹りをマネージャー自身が背負わなければならない局面がある。

そのような覚悟なくして、「部下が自発的じゃない」とか「部下が仕事をしない」とか言うなよ、と僕は思ってしまう。

僕は部下を信頼している。

だからこそ厳しいことも言うのだ。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

厳しいことを厳しく伝えることは優しさですらあるのでは?

僕はこのような(もしかしたら一風変わった)考えを持っています。

世の中には「甘い人」はたくさんいます。

でも、「優しい人」はそんなに多くありません。

あなたは甘い人になりたいですか?

それとも優しい人になりたいですか?

僕は圧倒的に後者です。

厳しいことを言って、積極的に嫌われていきましょう。