警戒心を解くには

UnsplashElizabeth Kayが撮影した写真

変わってはいるけれど、気持ち悪くはないこと

僕は営業マンとしてそれなりの成績を上げることができた。

それが何故なのかを自分なりに分析すると、「変な奴ではないこと」があるような気がしている。

と言っても、普段からこのブログを読んで頂いている方ならわかると思うけれど、「変な奴ではない=strangeではない」ということを意味しない。

何と言うか、僕はstrangeではあるけれどweirdではないというか、変わってはいるけれど気持ち悪くはないというか、そんな風に自分のことを思っている。

世の中には気持ち悪い人がそれなりに多くいる。

また、その人たちがその気持ち悪さを直接的に表現する訳でもない。

良い人そうな顔をしていても、気持ちの悪い人は大勢いる。

そのような人たちとは一線を画せるのが僕がそれなりに営業成績を上げられた要因であるような気がしている。

それはまたマネージャーになっても、僕の長所となっている。

なぜなら、部下の警戒心を解くことができるから。

そして、部下の警戒心を解くことができれば、仕事がスムーズにできるようになるから。

今日はそんな話である。

キャリア的に上手くいかなかった人たち

僕の元にはそれなりに傷ついた人たちが送り込まれてくる。

何らかの形で良い評価を得られなかった部下達。

確かに接してみると、それなりに欠点が目に付くタイプの人達ばかりだ。

そのような人たちと僕はチームを組み、仕事をしている。

もちろん、僕だって色々なことを思ったりもする。

対応の仕方やちょっとした仕草、その反応などに対して、それなりの感情が湧いたりもする。

でも、同時に、「まあ仕方ないよな」というか、許容の感情というか、そのようなものも併せて思うことが多い。

そして、そのような感情の混交物を腹の中に入れながら、この人たちを成長させる為にはどうしたらいいのだろうか、と日々考え続けている。

過去の経験則による防御反応

ストレートに言うことは簡単である。

「お前はここがダメだ!」と言うのは誰だってできる。

ただ、それなりの過去の経緯というか、様々な挫折の経験のようなものが部下側にもあって、マネージャーの意見をすんなりと受け入れて貰えるような関係性を築くのはなかなか難しいのも事実である。

そして、そのような関係構築が出来ていない状態において、何を言っても響くことはないのだ。

正しいアドバイスであっても…

もちろん、そのアドバイス、それ自体は有用なものだろうと僕は思う。

芯を喰っているというか、正しいことを言っているのだと思う。

でも、ベースの信頼感がない状態で、どんなに正しいことを言ってあげたとしても、それが部下に響くことはまずないのだ。

警戒心の薄皮を剥いでいく

ここを疎かにしているマネージャーはとても多い(というか、それが疎かにしているということ自体に無自覚なのだろう)。

では、そのような警戒心を解くにはどうしたらいいのだろうか?

「話をする」というのがその答えだ。

それもこちらからの自己開示をすることが大事である。

それを繰り返していくこと。

そうやって警戒心の薄皮のようなものを1枚1枚解いていく。

言行一致

これは一足飛びにできるものではない。

また普段の行動や言動、そのようなものとミスマッチであってもいけない。

以前にも書いたことであるが、「言行一致」こそがマネージャーの信頼感のベースとなる。

自分が思っていることを、曖昧なものも含めて、直接的(感覚的)に表現していくこと。

それが気持ち悪さを生まない要因であるような気がしている。

不気味の谷

この話を書いていて、僕は「不気味の谷」のようなことを連想する。

「人間は、人間のような性質を持ったロボットに対して好感を抱くけれど、そのロボットがあまりにも人間に近づきすぎると逆に不気味さを感じるようになる」

これが不気味の谷である。

そして、それは人間同士の関係においても言えるのではないか、と思っている。

人間のAI化

最近の傾向として、人間味を薄れさせること、合理的な行動をすること、アナログよりもデジタルな考え方をすること、が是とされているように僕は感じている。

これは人間のAI化だと僕は思っている。

確かに、昭和時代のように、曖昧な意思決定によって物事が進んでいくことが良いとは思わない。

でも、あまりにも臭い(昭和時代はきっと悪臭のような概念として捉えられているのだろう)を消し過ぎるのもどうなのかなと思っている。

獣臭のようなもの。

それをデオドラントする行為。

それが人間のAI化で、でもそのようなデジタルな意思決定は、ある一線を越えると不気味なものに変わっていく。

なぜそれが為されたのかが、あまりにも合理的に説明されてしまうと、人間はその意思決定者に信頼感を覚えることができない。

なぜなら、それは代替可能であるから。

誰がやっても同じような意思決定になってしまうから。

デジタルな意思決定とその不気味さ

もちろん、デジタルな意思決定はそれを望んだからこそ生まれたものである。

でも、だからこそ、人間はそこに不気味さを感じる。

そして、それは部下の警戒心を解くことに繋がらない。

そんなことを思うのだ。

ボロを出そう

ある種の人間臭さ。

それは対話によってしか生まれない(嗅ぎ取れない)。

そして対話というのは、繰り返せば繰り返すほど、ボロが出てしまうものでもある。

ただ、そのボロはネガティブなものではない。

それこそがマネージャーの信頼感を生む要素となるのだ。

気持ち悪さを超えるマネジメントを。

それではまた。

いい仕事をしましょう。

あとがき

時折弱みを見せる方がモテる。

そんなことを本文を読み返しながら思いました。

弱点というのは、他者から見ると安心感に繋がる場合があります。

欠損を上手に開示しながら、警戒心を解いていきましょう。